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聖女無双  作者: 水無月 黒
第二章 ドラゴンゾンビ

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ドラゴンゾンビ対策会議2

 しばらくエルマギカの関係者と歓談していると、エルフィロソフィア側の人間が到着した。

 「遅れてすまない。儂がエルフィロソフィアの賢者、ラウル=ツェラーである。」

 やたらとがたいのいい爺さんが現れた。

 「ちょっと、どういうことですの! (わたくし)、最年少賢者のヨアン様を期待していましたのに!」

 マリエル王女が小声でアッカーマン教授に詰め寄る。どこまでも自分の趣味を優先するマリエラ王女であった。

 「いやー、さすがのアタシでもエルフィロソフィアの人事にまでは口を出せなくてネ。一応若くて体力のある者を、と注文を付けておいたんだが、あの爺さん、下手な若人よりも体力あるんだよな、ハハハハ。」

 エルフィロソフィアにおいて『賢者』の称号は、賢者たちによって構成される『賢者の会』によって認定される。賢者の認定基準は非公開であるが、分野を問わず新規性のある知的活動を行った業績が評価されることが多いと言われている。このため、若くして賢者と認められるものも少なくない。

 現在最年少の賢者はまだ十代のヨアン = ヴィーデナーである。

 その一方で、長年に渡って続けてきた研究活動が認められたり、若い頃に賢者と認められそのまま知的活動を続けてきた年老いた賢者ももちろん存在する。

 賢者ラウルはそろそろ七十代という高齢ながら、若者にも負けない体力を維持し、また『世界の危機』対策の責任者を任されるだけの実力と実績と頭脳を持ち合わせていた。世界の危機を乗り越えた後には『大賢者』の候補になるだろう。

 「あのようなご老人相手に何をどう萌えればよいと言うのですか!」

 マリエラ王女はそういうが、勇者、聖女、賢者ラウル(美化、若返り等無し)にドラゴンゾンビ(擬人化なし、腐っている)を加えた四つ巴の愛を描いたBL本(しかも18禁)が作られたのは翌年のことである。腐界はマリエラ王女が思うよりなお深くて広い。

 「ドラゴンゾンビの出現予定地点の近くには、竜峰と呼ばれる山があり、かつては聖竜と呼ばれたドラゴンが住んでいたそうである。今回ゾンビとなって甦るのは、その聖竜であろう。」

 エルフィロソフィアには世界中の書物やあらゆる記録を集めた大図書館が存在する。その蔵書はエルアカデミアに建設された図書館を上回る。エルマギカ国内の出来事となれば、当時の人が直接調査した記録が残っていても不思議はなかった。

 「聖竜は千年ほど前に謎のモンスターと戦い、相打ちになったらしい。死体は地下に埋まって回収でかなかったそうである。あの辺りには地下洞窟も多いので、その一つに落ちたと思われるのである。そしてその先の地下深くに存在すると言われている地下大空洞まで落ちた可能性が高いのである。」

 ドラゴンの素材は高価で貴重で優秀なものだ。ドラゴンの死体が転がっていたら、ゾンビになるまで放置されるはずはなかった。地下に埋もれて回収不能と言うのはドラゴンゾンビの候補として妥当な線だった。

 「しかし、聖竜がゾンビになるとは、皮肉なものだな。」

 『死者の谷』でゾンビとは縁の深くなった優太。珍しく聖女らしい発言だった。

 「ドラゴンと相打ちになるなんて、どんなモンスターだったんだろう?」

 こちらは大介の発言。勇者としてはそこが気になるらしい。

 「聖竜と戦ったモンスターであるが、同じ時期にエルマギカの研究機関から人為的に作られたモンスターが逃走したという記録があったのである。この件についてはエルマギカにも調査の協力を求めるのである。」

 エルマギカの関係者が一斉に目をそらした。千年前の出来事に責任はないが、日頃から傍迷惑な研究者を取り締まり切れない負い目はあったのだ。

 「なるほどー、ありそうな話だわネ。最近は下火だけど、人造モンスターなんて古くからある研究テーマの一つだわサ。」

 一方、傍迷惑な研究者の一員であるアッカーマン教授はその辺りまるで気にしない。良くある話で済ましてしまう。

 「そうであるな。ドラゴン並みの戦闘力のあるモンスターならば制御できなくなっても不思議ではないのである。」

 賢者ラウルも特にエルマギカを責める意図はなかった。エルフィロソフィアの研究者だって似たようなことを行ってきたのだ。

 「残念ながら、聖竜が毒を使用するという記録はなかったのである。千年に渡る腐敗かゾンビ化の影響で毒素を溜め込んだのか、相手のモンスターの影響が考えられるのである。」

 残念ながら、過去の記録からは猛毒の正体までは分からなかったようである。

 「それじゃあ、アタシらは当面千年前のモンスターの調査と避毒アミュレットの量産だネ。」

 千年前のモンスターは古い話だし、不祥事案件だろうから証拠隠滅済みかもしれないが、研究データだけでも残そうとするのが研究者である。何か資料が残っている可能性はある。避毒アミュレットは作った分だけ参戦できる人間が増えるし、世界の危機が終わった後でも使い道はある。量産して損はなかった。

 「儂等は引き続き聖竜の詳細の調査と、正確なドラゴンゾンビ出現地点の特定であるな。」

 ドラゴンゾンビの元となった聖竜の調査を行えば、ドラゴンゾンビの攻撃方法、行動パターン、弱点などが推測できる可能性がある。また、出現場所は神託でおおよそ判明しているが、より正確で詳細な場所が分かれば監視もし易いし罠を仕掛けるなど戦いを有利に進めることができる。

 「フィールドワークを始める時は合同チームを作ろうか。既に毒が漏れ出しているかもしれないから、避毒アミュレットのテストも兼ねればいいサ。」

 こんな感じで次の行動が決まって行った。


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