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聖女無双  作者: 水無月 黒
インターミッション

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勇者のプロフィール

 青木 大介、十八歳。

 彼の人生は常に人々の先頭に立ってきた。

 あいうえお順の出席番号は常に1番か2番。始業式直後の日直とか、暫定クラス委員とか、何かあればとりあえず呼ばれるポジションだった。

 背の順で並べば常にトップ。前へならえで前にならったことのない男。それが彼だ。

 出席番号順の暫定的なものでも、身長を考慮して決められたものでも、席順は常に前の方。遅刻して後ろのドアからこっそり侵入とか、教師に隠れてこそこそ早弁、などと言う真似は彼には無縁だった。

 『大きな人間になるように』そういう思いを込めて名前を付けた御両親の願いは、こと身長に関しては叶わなかった。もちろん御両親の願いと言うのは物理的に大きくなることではないので、全く問題はない。全く問題はないのだが、それでも気になるからこそコンプレックスなのだった。

 それでも小学生の時はまだよかった。この時分は女子の方が成長が速いものだし、まだまだ成長が期待できた。

 だが、その後もなかなか身長は伸びなかった。さらに童顔が目立つようになってきた。

 中学の頃、彼はクラスのマスコットの地位を独占した。可愛らしい女子がいるにもかかわらずだ。しかも、そのことに対して(本人を除けば)どこからも文句は出なかった。なにしろ、彼さえいなければクラスのマスコット間違いなしの可愛らしい女生徒自ら率先して彼を可愛がろうとしたのだから。

 高校の時、彼は女子の間で秘かに行われていた「弟にしたい男子ランキング」で、三年間不動の一位だった。三年目はまだ中間集計だったが、それでも二位以下を大きく引き離していた。後輩ですら彼を弟にしたがっていたのである。

 彼はある意味ものすごくモテた。上級生から下級生まで満遍なく好かれた。当人は、からかわれているだけ、子ども扱いされているだけ、と思っていたが、案外それだけでもないことは周囲の者は気付いていた。どれだけブチ切れていても、絶対に女子に手を挙げなかった彼は、漢としても高く評価されていた。

 本人の意識していない所でモテまくっていた彼だが、それでやっかまれることはなかった。皆知っていたからだ、彼がひたむきな努力家で、頑張り屋さんであることを。

 彼は努力を惜しまず、自らの運命に立ち向かった。

 彼は小学生の頃から、毎朝牛乳を大きなコップで二杯飲んだ。その習慣は今でも続いていた。背は伸びなかったが、健康で頑丈に育った。

 小学生の頃、放課後の校庭で、一番高い鉄棒にぶら下がる彼の姿が頻繁に見られた。背は伸びなかったが、ジャンプ力は付いた。

 中学生の頃、秘かにシークレットブーツなるものを購入した。周囲にはすぐにばれたが、皆気が付かないふりをした。彼もすぐに虚しくなり、封印した。今では黒歴史である。

 高校の時、武道の選択授業には剣道を選択した。誰かに、剣道やっていると背が高くなる、と吹き込まれたらしい。大きな相手にも臆することなく、上段からの面打ちを狙っていく彼の姿に、男女問わず多くのファンがいた。

 身長はともかく、せめて漢らしくなろうと体を鍛えたこともあった。実は見た目以上に筋肉質で力持ちである。マッチョにならなくてよかった、と女子を中心に周囲の人間は安堵した。

 他にも、コンプレックスをばねに、学業にも、スポーツにも、精一杯頑張った。真面目に努力した。全て一番とはいかないが、いつも上位にいた。

 成績優秀、スポーツ万能、真面目な努力家で、紳士な漢。勇者として、選ばれるべくして選ばれたと言えよう。ついでに可愛い(禁句)とくれば女子にモテるのもうなずける。

 人として、優太よりもよほど優秀な人物だった。


 「へー、大介君、剣使えるんだ。俺、剣はさっぱりだったからうらやましいよ。」

 代わりに素手か鈍器を振り回する優太がうらやましがる。やはり剣はかっこいい。漢のロマンだった。

 「その代わり、魔法はさっぱりなんだけどな。魔法、使ってみたかったな。」

 大介の勇者としての能力は剣技に偏っていたらしい。魔力はあるが、攻撃力や防御力、身体能力の向上に使用され、攻撃魔法には使えなかった。まあ、魔力がある以上は練習すれば簡単な魔法ならば使えるようになるらしいから頑張れ。

 勇者としての能力が剣に偏っているだけあって、大介の剣の才能は確かだった。優太が戻って来るまでの間、王都に残っていた王宮騎士団員と訓練していたのだが、数日の内にめきめきと腕を上げていた。

 「けれど、オレ、勇者の力より背丈が欲しかった。」

 いや、それだとこの先死ぬから。勇者の悩みは深い。


 「こんな所においででしたか、勇者様。」

 「うわぁ、いきなり抱き着くなよ!」

 突然現れたマリエラ王女が、大介を背後から抱きしめていた。身長差があるので抱き着くというより、抱え込むように見える。ハニトラ王女の猛攻は、既に始まっていた。

 「はぁ~、勇者様可愛いですわ。」

 紳士な大介が女性に手を挙げなのをいいことに、禁忌に踏み込みまくるマリエラ王女であった。本気で勇者を落とす気があるのだろうか?

 「誰が三年間連続弟にしたい男子ナンバーワンだ、コンチクショー!」

 当然荒れる勇者大介。それでもマリエラ王女は笑顔のまま、大介を放そうともしない。

 しかし、女子生徒内の秘密だったはずの「弟にしたい男子ランキング」、本人にまで知れらていたんだね。強く生きろ、大介君。


 「フフフ、勇者様と聖女様のツーショット、いただきましたわ。」

 勇者大介を存分に堪能したマリエラ王女は、彼らと別れると自分の趣味に没頭していた。

 その手にした画像クリスタルには、いつの間に撮影したのか、優太と大介の姿が映っていた。

 「聖×勇? 勇×聖? アル兄様も入れてドロドロの三角関係と言うのも良いですねぇ。聖女様が殿方と言うだけで、どうしてこうも美味しいのでしょう。」

 恋人(予定)であろうと、実の兄であろうと容赦なく毒牙にかけるマリエラ王女。腐女子の業は深かった。


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