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リアル=オンライン  作者: 原田まるるん
1章
20/23

星ヶ丘公園(夜)

諸事情で、前書きは次回にまとめて書かせて頂きます!


スー「それって後書きって言うんじゃないのー?」

……次回にまとめて書かせて頂きます!(汗)



「さてと、来てみたは良いんだが……いてて」

 俺は全身のだるさと右膝の痛みに苛まれながらも、公園の水飲み場まで何とか歩く。

 そして、1番傷が深かった右膝から流れ滴る血を水道水で軽く洗い、自分の甘さを自覚する。


「あぐ……っ! ……ここまで来る途中、ここに来るよう指定した人物は誰なのかを考えながら歩いていたのが悪かったな。まさか小石に躓いて転んじまうだけでなく、そんな時に格下とはいえ魔物に襲われただなんてな」

 

 誰かいないかと公園一帯を見渡したが、俺以外には誰もいない。当然か、夜に外を出歩くだなんて、今じゃ死にたがりくらいなものだからな。


「にしても、よ」


 いつも通りのベンチ。

 いつも通りのブランコ。

 いつも通りの滑り台。


 遊具の上から現れるというのも相当シュールな光景だが、誰かが滑り台の上から滑ってやって来る訳でもなく、かといってブランコやベンチからも誰もやって来ないしそもそも誰もいない。


「全く何だよ、俺を呼び出すだけ呼び出しておいて、誰もこないなんてよ。……もしかしてイタズラだったのか?」

 もしかしてやって来る時間を間違えたのか?と思い、もう1度手紙を読み直す。――が、そもそも手紙には時間の指定がされていない。


 はあ、と大きなため息をついた後、俺は【サーチ・アイ】を使用した。


 名前:数宮海人 レベル:6 種族:人間 性別:男 年齢:15歳 アルカナ:――

 職業:《剣士》レベル5

 スキルクラス:《剣士》レベル5


 HP:44/87

 MP:21/21 SP:66/66

 腕力:104

 生命力:81

 俊敏性:38

 精神力:32

 知性:10

 幸運:22

 武器:使い古した木刀(腕力+10)


「やっぱ、結構HPが減ってたんだな……家に帰るとしても、この怪我で夜の街を歩くのは自殺行為――か」


 俺の職業《剣士》は前衛特化型の職業で、生命力と腕力、そしてHPが高く伸びやすい。だから切り込み役にはもってこいの職業なのだが……知性が極めて伸びづらいため、魔法を使う事が苦手だし、同時に魔法を使ってくる敵が苦手な職業だ。


 どうして今この話をするのかと言えば、答えは至って簡単。今が夜だからだ。

「夜は物理的な攻撃が効かないゴースト系の魔物が出現しやすい。それに加え、ゲーム時のような回復系アイテムなしで家まで無事に帰るとか、無理だ」


 食事と睡眠をしっかり取って、患部を安静にし続けていれば回復系アイテムを使わずともHPなんかは回復していくが……どうしたものかと、俺は考えを巡らせた。

 

 まず運良く魔物に遭遇しないよう家に帰るパターン。勿論これは論外だ、夜は魔物の出現率もグッと上がる。100メートルも歩けばすぐに遭遇するだろう。

 次に誰かに救助をしてもらうパターン。これは『誰に』助けを求めるかがポイントだが……親に助けを求めるのはかっこわりいし、かといって警察に助けを求めるのは腹が立つ。ついさっきあんな対応されたばかりだしな。


「ってなると、残りはココで野宿か……」


 この公園には部屋と呼べるレベルの空間が幸運にも存在するからな。半球状の形をした滑り台がそうなんだが……ん?

 俺が半球状の形をした遊具――滑り台の方へと足を運ぼうとした時、うっすらとだが半球の中へと入るための扉の隙間から、一筋の光が漏れた――ように見えた。


(誰かいる、のか? ……もしかして、俺をここへ呼び出した張本人か?)


 俺は足音を殺してゆっくりと扉の前へ近づく。勿論何が出てきても良いように警戒は怠らない。

 (頼む、大山さんであってくれよ……!)

 背筋からはひんやりとした汗が流れ始め、ぞわっとした悪寒が全身を襲う。

 

 そうだ、俺は相手にもよるが今この瞬間に殺されてもおかしくないんだ。残りHPも少ない。相手が魔物や敵ならば……すぐに殺されてしまうだろう。


 殺される――つまり死ぬ。死ぬ事への恐怖が、俺の足をすくませる。

 そして同時に、恐怖に屈しかけていた俺の心の弱さ、脆さ、情けなさに腹が立つ。


「くそったれ! こんな恐怖に負けてたまるかっ!!」


 俺は扉を思い切り開け、半ば突進するような勢いで暗い部屋の中に入った。

 ……入ったはずだった。だが、柔らかい何かにぶつかってしまい、中には入れなかったんだ。


(は?)

 

 むにっ。

 おそらく、擬音にするならばそんな音だっただろう。だが何にぶつかったのかが暗くて良く分からない。

 俺は何にぶつかったのかを確かめるため、手でそれを触った。


(この感触……まさか、胸!?)


 そして、それが何だったのかを俺が理解するのと同時に、女の悲鳴が夜の公園に響き渡った。


「……きゃあぁ! し、シロに何をしているのですか! は、離れなさい!」

「わ、わりぃ! そんなつもりじゃなかったんだ!」


 俺は慌てて後ろへ後ずさり、中から出てくるであろう女の様子を窺う。


「どなたかは存じませんが……このシロを穢そうとした事、身をもって償ってもらいますよ……?」 

 徐々に月明かりに照らされ、その容姿を俺の前に現す女。


 ほんのりと頬を紅潮させながらも、ニッコリと優しそうな笑みを浮かべる銀髪の少女。

「いや違う、これは何かの間違いなんだ。俺はここに呼び出されただけで――」

「そうですか。なら尚更、生かして帰す訳には行きませんね」


 少女が物騒な事を言うのだが、まるで仮面を被っているかのようで、笑みを一時も崩さない。


(……っ!? 体が、動かせない……!?)


 俺はその場から逃げようと試みたが、金縛りにでもあっているかのようで、体が全く動かない。


「逃がしませんとも、ええ。あなたには初級魔法【スロウ】で十分です。移動速度を限りなく0に近い値まで落とさせて頂きましたから、体が全く動かないはずですよ?」


(【スロウ】って、ROの魔法じゃねえか! どうしてお前がそれを使え――ああっ!? お前は!?)

 ――お前は……シロじゃないか?! いつもラティアが「ボクのお気に入りなんだ」って、一緒にいさせていた、NPCの……!?


「それでは、お休みなさいませ」

 シロは懐から俺お手製の特殊アイテム『紅の札』を俺へと向けて放った。


(俺の作ったアイテム、まだ持っていてくれていたんだな……)


 そこで、俺の意識はブツリと途切れた。


《紅の札》

かつてROがゲームだった頃、海人が作った特殊なアイテム。

最大MPが多ければ多いほど威力が上昇し、連続して使用する事が可能。

デメリットとして、消費アイテムなのがたまに傷。職業が《巫女》の者にしか使う事は出来ないが、攻撃を行う事が苦手な《巫女》でも、このアイテムを使えば敵を叩きのめす火力役を行う事が出来るようになる。



海人曰く、「お札を投げて戦う巫女さん以外考えられねえよ! 巫女の武器が杖とか、俺は絶対認めねえ!」との事。

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