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リアル=オンライン  作者: 原田まるるん
1章
14/23

写し身の鏡

 あの後。ボクは『シロの傷を治したい』と思いながら回復魔法【ヒール】を使いたいと念じることで、シロのHPを回復させる事が出来た。

 ただ……倒れたままで気絶していたから、談話室に気絶したシロを運ぼうとしたんだけど……3つの困った問題が起きてそれどころじゃなくなったんだ。


 あ、資料室が使い物にならなくなった事も問題だけどさ、それよりももっと困ったことなんだよね。



 まず1つ目の問題。ボクが持ってた本なんだけど、あれは誰かの日記らしくて『――の日記』っていうタイトルが付いてた。


 ただ……さっきの戦闘で護符と接触し過ぎたみたいで、中身が半分以上焼けちゃっているんだよね。だからまともに読めるページが全くないんだよ。

 折角、此処ーー『レジスタンスのお家』はなぜ存在するのか?いつから存在していたのか?っていう手がかりを得られるかもしれない日記を手に入れたと思ったらこれだもんね、また振り出しだよ……。


 ……そ、それで2つ目の問題なんだけど、これは戦闘中だったからこそ気付かなかった事でね。

 ……ボクの服とズボン、破れているんだよ。……折角シロとスーが2人がかりで見繕ってくれたのに。こうなった原因は護符の雨あられの中を特攻したからだっていう事くらいは分かるけど……ROならこんな事起きなかったから、失敗した。

 

 ボクが着ていた薄桃色の髪に合わせた白色の服は、見るも無惨な布切れ同然になってしまい、とても服とは呼べる代物じゃなくなった。

 楽で着やすかったスカイブルーのスウェットは、かろうじて短パン状態を留めているから大事な部分を守ってくれてはいるんだけど……パンツが見えないか心配で心配で仕方がないんだ。

 ……うん?そうだよ、パンツは女物だよ……。本当は男物が良かったんだけど、そんな事を言ったら全員に変な目で見られたからね、もう諦めたよ。

 

 えーと、つまり何が言いたいかっていうね。その、胸とか脇とかがね……見えちゃっててとても恥ずかしい。

 感覚としては全裸で近所を歩いている感じ。痴女というか変態みたいだし……いや、もう変態なのかな……?


(うー、こんな事ならブラジャーってやつを着けるべきだったのかな……。でも、それは流石に――)

 流石に男として無理。姿形が女の子になっても変態っぽくて着けられない。例え変な目で見られようが罵られようが、それだけは阻止したい、絶対にね。



 シロはボクのお腹にしがみつくように抱きつき、ビクビクと体を震わせながらも、喉から絞り出すような声をあげた。

「な、何をぶつぶつと呟いているのですか……? ラティア様?」


 こっちの(・・・・)シロはよほどの怖がりなのか、少し涙目気味になりながらもボクに自然な上目遣いを向けている。


 ――対して、向こうの(・・・・)シロはと言えば。

「もう! ……そっちの(・・・・)シロ、早くラティア様から離れなさい!」

 見るからに怒り心頭といった感じで、向こうの(・・・・)シロは恐怖とは別の意味で体を震わせていた。

 体に力を入れすぎているのか顔が真っ赤になっているんだけど、大丈夫かな?


 そう、最後の3つ目の問題っていうのが1番厄介で……結論から言うと『シロが増えた』んだ。


 ええっと、ついさっきの事でね……ボクが気絶したシロを介抱していたら、部屋の外から誰かの足音が聞こえてきたんだ。ボクはレンジさんが戻ってきたのかな?って思ったんだけど、姿を現したのはなんと『もう1人のシロ』だったんだよ。


 もう1人のシロが気絶していたシロの顔を見るなり、気絶していたシロの頬に突然ビンタをして……今に至る訳だね。


 

「い、いや! シロはラティア様から離れたくないです! ……うう、そっちの怖いシロは来ないで下さい……」

 ええっと……こっちの、ボクのお腹にしがみついてぷるぷる震えている方がさっきボクに襲いかかってきた方のシロ。襲いかかってきた時とは態度が全然違うから、一応肉体強化の魔法をボク自身に使って警戒はしているよ。


 ……でも、このシロは小動物みたいで少し可愛いかも。


「……な、なな! 貴女は何を言っているんですか!! シロは怖くありません!」

 それで、こめかみ辺りをぴくぴくさせていかにも怒ってますよオーラを出しているのが……本物のシロ。


 不思議な事に、ボクにはどっちが本物でどっちが偽物なのかが今はすんなりと分かってしまうんだよね、直感ってやつで。

 ……だって、ずっと一緒だったんだもの。


 うん?じゃあ何でボクが襲われた時は分からなかったんだろう?……まあいっか、本物がどっちか分かっただけでも良しとしよう。


「……そろそろ良いかな? どうして2人に増えちゃったの? ……いつもの(・・・・)シロ?」

 少し離れた所からボク達を見ているあっちのシローーもとい本物のシロに向かって、ボクはどっちが本物かは分かっているよという意図を込めてそう言った。

 

 シロはボクの言った事の意図を理解したらしく、嬉しそうに顔を綻ばせながら説明を始めた。

「……! こほん、そうですね。宝物庫で使えそうなものが無いかと探していたのですが……『写し身の鏡』を見つけてしまいまして」

「写し身の鏡?」


 ボクは顎に手を当て、そんな名前のアイテムがROにあったか思い出してみたけど思い当たる節はなかった。となると、

「その鏡に写した者の記憶と姿を真似て、本人に成りすまして悪さをする鏡の事です」

「そうなんだ。確かにシロが来る前は襲われたね」


 偽物のシロ、略して『偽シロ』はあわあわと口を開けたり閉じたりを繰り返し、今までより一層体を震わせ怯え始めた。多分、この後自分がどんな目に遭うのか想像したんだと思う。ボクの背中に回り込み、自分の身をシロから隠している……つもりらしい。

 うん、悪さをしないのなら連れて帰りたいくらいに可愛い。


「でも、この偽シロは襲ってきた時と態度が全く違うんだけど……これはどうして?」

 もしかしたらボクの隙を窺っているだけで、襲うタイミングを狙い定めているだけなんしゃ?とも考えたんだけど、それならもう襲われているはずだよね。

 今のボクって肉体を強化しているとはいえ、無防備だし。 


「それは……ラティア様の隙を窺って――」

「……ひっぐ、うわあぁぁん! ラティア様ぁ~!」

 シロが最後まで言葉を言おうとする前に、偽シロが大声で泣き出してしまい、言葉はそこで中断された。


 ……本当にこの子、悪い子なのかな?


「……シロ、用も済んだことだしさ。もう戻らない?」

 ボクはある決意を胸に、真剣な眼差しでシロと目を合わせる。

「えっ? シロの偽物はどうするので……まさか」


 シロはボクの決意を理解したようで、「それはダメです」とばかりに首を横に振る。そりゃそうだよね、ついさっきまで敵だった子を仲間にしようだなんてさ。普通は考えないと思う。

 でも……


「どっちみち手がかりはないんだし、手ぶらよりは良いでしょ?」

 ボクはシロに微笑みかけながらそう言った。

「分かりました。やっぱりラティア様には敵いませんね」

 シロはため息を1つ吐いて、哀愁漂う儚げな笑みを浮かべた。

《偽シロさんもとい鏡さん》

宝物庫のガラクタに紛れてポツンと捨てられ……保管されていました。

その保管方法が気に入らなかったのか、鏡に人が写されると姿を借りて鬱憤晴らしをします。

鏡が本体で、偽シロのような姿を借りている者が鏡の化身……という設定、のはず。

ちなみに、某青いハリネズミの持つ7つの宝石の1つくらい大事なアイテムが写し身の鏡です。


Q.仲間増えすぎじゃね?

A.違うんや、これでも仲間は少ない方なんや……!(突然のエセ方言

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