第二十九話「ちょっ?! だ、誰が悪の手先よ?!」
久しぶりの本編!
第二十九話
「くっ……なんてことなの?!」
「叢雲、ここは一旦退くべき」
「わ、私もヴェルグちゃんさんに賛成でーす!」
BDG東日本大会、二日目。バトルフィールドの中央、激しい攻撃に思わず叢雲の端正な顔が歪む。容赦ない敵の猛攻に、ブロッサムメイツは大ピンチに陥っていたのだ。
「覚悟なさい、悪の三幹部!」
「アナタ達のような悪いドールは!」
「私達、マジカル☆ミラクル♡フェリーチェが!」
「「「 やっつけちゃうんだから!!! 」」」
* * *
「いやー、よく眠れた〜! 朝ごはんもいっぱい食べたし、すこぶる快調だね!」
「まったく、あんたが戦うわけじゃないでしょうに……」
「でもマスターも体調を整えておかなければ、咄嗟の判断に迷いが生じますよ」
大会二日目の朝、選手や関係者らが宿泊しているホテルのロビーで吹雪と叢雲はチームメイトを待っていた。このホテルは大会運営である企業が経営しているものらしく、吹雪たちのような選手はタダで泊まれるのだ。
「おはよう〜みんな、よく眠れたかしら〜?」
待ち合わせ時間ピッタリに現れた真理。準備はバッチリのようだ。
「おはようございます! 今日もはりきって頑張ろう!」
「……吹雪は元気デスね……。ふぁ〜あ」
真理の影から出てきたのはやけに眠たそうな顔の先生だ。吹雪は小さな声でそのワケを同室の真理に尋ねる。ちなみに二人一部屋で、吹雪は美空と同じ部屋だ。
「先生、一体どうしたんですか?」
「あのね〜、先生ったら夜遅くまでアニメを観てたみたいなの〜。なんでも、昨日からネット配信が始まったとかなんとかで〜」
「ええ……」
「先生、夜ふかしは駄目ですよ?」
「ふっ……お前らヒヨッコどもに心配される私じゃないデス……こんなもん、いつものエナドリをキュッと一気飲みすれば眠気なんか簡単に吹き飛ぶデス。というわけでちょっとコンビニ行ってくるデス!」
徹夜明けテンションのせいなのか、やけに元気よく走っていく先生。吹雪たちはどっちが引率者なのかわからないよ、という顔で互いに肩をすくめてみせた。
「それで、今日の対戦相手はどんなチーム?」
ゆっくりと大会会場のあるホールへと向かう一行。今日も朝から気温が高く、暑い夏の一日になりそうだ。もっとも、会場内は空調が完備されているので選手は快適に過ごせるのだが。
「もう、吹雪ちゃん~! 昨日説明したでしょう~!」
「二回戦目はチーム・マジカル☆ミラクル♡フェリーチェですね。マスター全員が中学生ですが、侮れない強さのチームですよ」
「へぇー! それは負けてられないね!」
「あら……? なんだか周りの人たち、慌ただしいわね~」
真理がざわつく周囲を見渡す。確かに大会へと向かう観客らしい人たちや、通勤途中らしいサラリーマンが急ぎ足になっている。
「きっとみんな急いでるんですよ。さ、私達も行きましょう!」
「それもそうね~。って、先生を忘れてるわよ~!」
「ふぅ、急いで倒したからなんとか間に合ったみたいだね! ユイ、サオリ!」
「もう、ワルドール帝国の人たちったら! こんな日にまで暴れなくてもいいのにっ!」
「まあまあ、落ち着いてください。それに、今日の対戦相手はおそらくワルドール帝国よりもずっと強いかもしれませんよ?」
「ふっふーん! どんなチームが相手でも、私とミラクルスターの敵じゃないもんね!」
『ちょっとリエ! 油断してると大ピンチになるって、この前の戦いで懲りたばっかりでしょ! あの時はワルドール皇帝の卑怯な作戦で……』
「ミラクルの言う通りです。チーム・ブロッサムメイツは最近結成されたチームのようですけれど、その戦績はベテランチームに引けを取りません」
「そーよ、リエ! いくら私達がバトキュアでも、BDGのバトルには関係ないんだからねっ!」
「わ、わっ! ユイ、大きな声でバトキュアの事は……!」
「あっ?! …………ほっ、大丈夫みたいね?」
「もう、私達がバトキュアってこと、みんなに知られちゃダメなんだよ!」
『そうよ、ユイ。あなたたちがバトキュアということが周囲にしられたら、ワルドール帝国はどんな手段を用いてくるか分からないわ。みんな、改めて気をつけてね』
「はーい!」
『リエ、本当に分かってる……?』
「さぁさぁ二人共、そろそろ会場に着きますよ。あんまり騒いでいると他の方に迷惑になります」
チーム・マジカル☆ミラクル♡フェリーチェ。とんでもなく重大な秘密を隠したチームだが、その実力とは如何に。
そんな事とは露知らず、ブロッサムメイツとマジカル☆ミラクル♡フェリーチェは同時に大会会場へと足を踏み入れたのであった。




