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21ー3

21ー3


「基本的な性能……?」


「そうです! 私達ドールは武装の性能が大きな比重を占めますけど、AIやMOD(モッド)でも性能が変化します。それに日々の訓練で動作性能はより最適化されますし、チームワークも高い精度で発揮できるようになれば……」


 アルテミスは身振り手振りを混じえて必死に訴えかける。なるほど、彼女の言うとおりドールの戦闘AIはある程度自由にカスタマイズが可能であり、またディープラーニングによって射撃や格闘戦技術は毎日の訓練が重要と言われている。


「デスが、本戦まであと二週間とちょっと。この短期間で黒風白雨を上回る性能の底上げは難しいデスね……」


「……いえ、先生。それでも無駄にはならないはずです。それに武装のカスタムも並行して行いますし、その間に何かいい手立てが思いつくかもしれません」


「そうですよ! もうすぐ夏休み、これから毎日バトルしてバトルして、バトルしまくって沢山経験値積みましょう! 叢雲、頑張ろう!」


「いいじゃない、やってやろうじゃないの。吹雪こそヘタレんじゃないわよ?」


「ま、何もせずに対策考えてるよりかはマシ……デスかね」


「そうね〜バトルに関しては私も賛成よ〜。それに、バトル相手にはちょっと心当たりがあるわ〜」


「よっし! それじゃあ私と真理センパイはバトルで叢雲たちと特訓、美空と先生は武装の改良とシューちゃん……じゃないや、黒風白雨の対策を考える!」


「ええ、それでいきましょう。新しい武装のコンセプトは既に練り上げてますから後は製作に移るだけです」


「やれやれ、仕方ねーデス。とびっきりの作戦を考えてやるデスかね!」


「ふふふ、歯応えのあるチームを呼ぶからみんな、期待して待っててね〜?」


「ヴェルグちゃんは今のままでも強いけど、マスターの為ならもっと強くなる」


「わ、私だって真理の為にもっと、もーっと強くなります! ふんす!」


「……個人的に負けたままってのも嫌だし。それに吹雪の為でもあるから……次こそは勝ってみせるわ」


 三人のマスターと、三人のドールは互いに目を合わせ、その意志を再確認する。目指すは黒風白雨の打倒、そして大会優勝。


 あくまでも手段であった目標だが、今ではただの手段ではなくなっていた。どうしても勝ちたい、自分の相棒と一緒に戦って頂点を目指したい。その気持ちが日に日に強くなっている。


 もちろん簡単な道のりではない。黒風白雨以外にも手強いチームが多く参加しているはずだ。それらを打ち破り、初めて決勝戦で秋華たちと、陽炎たちと再び相見えることが出来る。


 ブロッサムメイツは結成してからまだ数ヶ月のチームだ。だが、その強い意志と結束はどんなチームにも負けていない。


 吹雪は言葉にこそ出さなかったが、このチームなら。美空とフレイスヴェルグ、真理とアルテミス、そして叢雲なら。


(かならずシューちゃんと陽炎を倒せる……そして、優勝する!)





 * * *




「あ、美空! ちょっといい?」


「なんですか、吹雪さん」


 下校時刻が迫り、部室を後にしようとした美空を吹雪が呼び止める。どうやら叢雲は専用のケース内でスリープモードにしているのか、目に見える所には居なかった。


「あのね、ちょっと美空にお願いがあるんだけど……その、叢雲ちゃんにはナイショにしてて欲しいんだ……」


「ええ、別に構いませんが……それで私は何をすれば?」


「うん、私にドールの武装の作り方を教えて!」






 * * *





「もしもし、麗華さん〜?」


 下校途中の住宅街。閑静な、という枕詞がぴったりのそこを真理はスマホで通話しながら歩いていく。相手はあの聖マリアンヌ学園、チーム・ロイヤルメイドナイツのリーダーである鳳凰院麗華だ。


「あら、真理さん。お久しぶりですわ!」


「お久しぶりです〜。あの、いきなりで申し訳ないんですが〜」


「真理さん、みなまで言わなくても分かりますわ。この前、仰っていた件のことですわね? お声を掛けた方々はみ皆さん快諾してくださいましたわ!」


「本当ですか〜? ありがとうございます〜!」


「フフフ、いいのよ。これもあの黒風白雨を倒すため……貴女方ブロッサムメイツを応援するため、お安い御用というやつですわ」


「麗華さんたちなら私達も安心です〜」


「ビシビシいきますわ! あ、それとちょっとした私からのプレゼントがありますの。まぁ予選大会突破のお祝いとでも思ってくださいな。来週にはそちらの学校へと着くはずですわ」


「プレゼント〜?」


「何が届くかは……その時のお楽しみとしましょう。それではまた後日。ブロッサムメイツの皆さんに宜しく伝えておいて」


 通話が切れたスマホを片手に、真理は首を傾げる。麗華の言うプレゼントとは何なのか? 麗華の性格上、生半可なものではないと予想するが……後日、部室に届けられたソレは真理の予想を遥かに上回る代物だった。



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