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街についた翌日男はギルドにてランクアップの依頼を受けることを伝えた。
そしてさらにその数日後彼はその依頼を受けるためにギルドを訪れていた。
「ということで依頼を受けに来た」
「はい、では次のランクは銀級であっていますか?」
「間違いない」
「では貴方に出された依頼はこちらです」
それを見て男は驚いた。
その依頼は討伐クエストでそれ自体は問題ないのだがそのクエスト目標は先日話に出ていた大型の魔物なのだ。
大型の魔物は強いものが多く基本的には試験に使われたりしない。
「流石にこれはベテランの銀級パーティならいざ知らずソロで試験を受ける俺には難しすぎないか?」
「確かにこのクエストはベテランの銀級パーティ若しくはソロの金級推奨ですが…貴方なら大丈夫だと判断されました」
「どういうことだ?」
「貴方は知らないかも知れませんがそれなりに貴方はギルドの中で顔が売れているんです。真面目でギルド貢献度が高い依頼よりも人々が助かるクエストを受けますし、実は結構腕前が有るのに傲慢でも無いですし」
「俺は当然のことをやったまでだ、それにそんな恥知らずな行いをしてはアイツに顔向け出来ないからな」
「?兎も角これを受けますか?」
「勿論受けさせてもらう」
「では詳しく説明致しますね。とは言っても今回の魔物は記録が見つからなかったため実際に襲われた方の証言が元になっていますが」
「それでもよろしく頼む」
そして受付嬢から聞いた情報を纏めると
・相手の見た目は四足歩行で鱗を持っていた
・竜種では無い
・突進する前に少し体が揺らいでいた
ということらしい因みにどうやって竜種かを知ったかと言うとそこそこの値段で竜若しくは龍が近くにいるかを察知出来る魔道具があるからだ。
ただしそう言った魔物に見つかった場合ほぼ確実に死ぬ為運良く情報を街に持って帰れたらいいなーと思うくらいだが今回は役に立った。
更に体が揺らいでいたというのは揺れていたのでは無く輪郭がぼやける様な感じらしく、恐らく幻覚を使うと思われる。
「これはまた強敵のようだな…」
「えぇしかし倒せれば昇格は間違いないですよ」
しかし強敵とは言え放っておけば被害が出るかもしれない。そう考えると男は受けないという選択肢はないようだ。
「では準備をしたら出発するか」
「はい、ご武運を」
ギルドを出た男は薬屋によって幾つかポーションを買い、冒険者専用雑貨屋によって様々なものを買った。
使い捨てとはいえそこそこ安く有用な相手も多い「投網」や魔法の力が込められており壊れると真下に大きな穴を開ける「落し穴の水晶」と言ったものだ。
とは言え相手は初見な為どれが効くかは使わないと分からないが。
そして準備が整った男は街の門を出て例の魔物が出没するという森に向かった。