第8話【盗品持ち込みの惨めな末路】
明朝、7:30 に、【インターミッション】
および第9話を投稿します。
土曜日の深夜。
ディスカウントショップ経営のXが、
ウキウキとした手つきで
『嘲笑する被害者たち』のスレッドに
書き込みを行った。
『X:皆さん、朗報です。
今日、うちの店に
「トクリュウの末端」と思われるバカが
自爆しに来ましたwww』
速攻でレスが跳ね返ってくる。
『Y:お、Xさん! 何があったんですか?』
『Q:ワクワク。正拳突きもののバカですか?』
『Z:ほう、詳しく聞かせてください』
Xは冷えた缶ビールを傾けながら、
キーボードを叩いた。
『X:昼過ぎにな、
19歳か20歳くらいのガキが、
新品の高級ブランドバッグ3コと
最新のスマートウォッチを
「すぐ現金化したい」って
持ち込んできたんだよ。
査定中にチラッと見たら、
バッグの奥に「盗難防止タグ」が
そのままついたまま(笑)』
『Y:ブッwww
タグ外す脳みそすらないのかよwww』
『Q:素人すぎるwww
闇バイトの指示役に
「売ってこい」って言われて、
何も考えずに
店に駆け込んだパターンですね』
『X:まさにそれ。
俺は平静を装って
「高額査定になるので奥で確認しますね〜」
って言って、裏で即110番。
警察が来るまで10分くらい
「今の買取相場はですね〜」って
適当な世間話で引き延ばしてやった』
『Z:素晴らしい連係プレーです(笑)。
で、警察が来たときのガキの反応は?』
Xは画面の前で思わずニヤリと笑った。
『X:店に入ってきた警察官を見た瞬間、
ガキは顔面蒼白になって
ガタガタ震えだしてさ。
「俺は頼まれただけです!
知り合いのアニキに
売ってこいって言われただけで、
盗品とは知らなかったんです!」って、
店内で大声で泣き叫びやがったwww』
『Y:ダッサwww
「知らなかった」で済むかよwww』
『Q:タグがついたままのブランド品を
持ち込んでおいて「知らなかった」は
無理がありすぎるwww』
『Z:警察官も苦笑いだったでしょうね。
盗品等関与罪、あるいは
窃盗の共犯で即現行犯逮捕ですか』
『X:おうよ。
手錠をかけられて
パトカーに押し込まれるとき、
近所の野次馬にジロジロ見られて、
情けなく泣き顔晒してたわ。
これでうちの店の
「盗品持ち込みルート」がまたひとつ潰せた』
スレッド内は賞賛と嘲笑の渦に包まれた。
『Y:Xさん、GJすぎる!
バカが自分で警察の罠にかかりに来るとか、
最高のエントメですね!』
『Q:指示役も
「タグすら外せないバカ」に
品物を預けた時点で詰んでますねwww』
『Z:全くです。
楽して金を稼ごうとした結果が、
店内で泣き叫んで逮捕される惨めな姿とは……
これ以上ない自業自得ですね』
Yは自分の部屋で画面を見ながら、
冷えたチューハイを飲み干した。
世の中には、努力もせず、
他人の迷惑も顧みず、
安易な悪事に走る連中が溢れている。
だが、そんな連中には
相応の末路が待っているのだ。
自分の浅はかさで警察に捕まり、
一生消えない前科を背負って
惨めに落ちていく。
「……本当に、自業自得だな」
Yは画面に向かって小さく呟き、
満足感に浸った。
自分たちは何の手も汚さない。
ただ、ルールを守らない愚か者たちが
勝手に自滅していく様を、
安全な高みから見下ろして酒のサカナにする。
今夜もスレッドの夜は、
愚か者たちの惨めな末路を肴にして、
最高に愉快に更けていった。
明朝、7:30 に、【インターミッション】
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