【最終話】
永久保存版の道化(最終話)
【著者:邪矮小(Jamini)】
週末の深夜2時。
非公開スレッド
『嘲笑する被害者たち』は、
今夜も最高の盛り上がりを見せていた。
画面上には、
Xが投稿した新しいニュース動画と、
Zが整理した
「今週のバカ逮捕者まとめリスト」が
並んでいる。
『X:今週のトップニュース!
貴金属店にハンマー持って殴り込んだ
18歳と19歳、
防犯ガラス一枚割れずに
店員に催涙スプレーかけられて号泣
御用www』
『Q:動画見ました!
ハンマー振った反動で
自分が転んでましたねwww
運動神経ゼロかよwww』
『Z:指示役には
「ガラスは簡単に割れる」と
騙されていたのでしょう。
自分の頭で物理の法則すら
計算できない人間が、
犯罪など
成功させられるはずもありません』
『Y:ほんと、
闇バイトに応募しようとしてる
予備軍のガキどもに、
このスレのログをそのまま
送りつけてやりたいですよwww』
Yは
冷えたビールを喉に流し込みながら、
キーボードを力強く叩いた。
『Y:『自分だけは上手くやれる』
『捕まっても執行猶予がつく』とか
思って応募ボタンを押そうとしてる
バカどもに教えてやりたい。
『お前らが捨て駒として捕まった後、
どんな顔して泣いてるか、
俺たち被害者が特等席で
酒の肴にして大爆笑してるぞ』ってね
www』
『X:ガハハハ! まさにそれ!!』
『Q:ニュースで
『若者の貧困が背景に……』とか
言われてるのを見ると反吐が出ますよね。
ただの強欲と浅はかさで
他人の人生を踏みにじりに行った奴らが、
捕まった途端に
『被害者面』して泣いてるだけなのに』
『Z:ええ。彼らは
『社会の被害者』などではない。
ただの『嘲笑されるべき道化』です』
Zは画面の前で、
静かに冷めたお茶を口にした。
世間やメディアがどれほど
「闇バイトの危険性」を
倫理的に訴えようと、
甘い汁を吸いたい愚か者には届かない。
だが、
「お前が捕まって手錠をかけられ、
鼻汁を垂らして泣いている惨めな姿は、
お前が被害を与えた人間たちによって
『最高のエンターテインメント』として
永久に笑いものにされる」という事実。
それこそが、
奴らの肥大化したプライドと
浅はかな
幻想を打ち砕く一番の劇薬なのだ。
『X:今日もどこかで、
新しい『しっぽ』が
『即金100万』の文字に
目を輝かせてるんだろうな〜』
『Q:で、
明日には警察に突っ込んで逮捕されて、
ここで僕たちに
『今週の爆笑大賞』に選ばれる、とwww』
『Y:最高の循環ですね!
バカが消えて世の中がキレイになり、
俺たちは美味い酒が飲める!』
『Z:ええ。彼らが自分の愚かさに
気づくことは一生ありません。
だからこそ、
我々は彼らが自滅し続ける限り、
この密室で
永遠に彼らを笑い続けてやるのです』
『X:よし、じゃあ今夜も行くぞ!
自滅した愚か者どもに――』
『全員:カンパーイ!!!www』
画面の上で乱舞する乾杯の
AAと、
止まらない「www」の文字列。
彼らは決して
「正義の味方」にはならない。
改心もしない。聖人ぶった説教もしない。
ただ、
ルールを破り、楽をして
他人を傷つけようとした愚か者たちが、
自分の浅はかさで手錠をかけられ、
人生を詰ませていく姿を、
安全な密室から見下ろし、
永久に笑い飛ばし続ける。
今夜も
『嘲笑する被害者たち』の明かりは、
闇バイト予備軍の愚かさへの
強烈な皮肉を乗せて、怪しく、
そして最高に痛快に灯り続けていた。




