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【新感覚!?ウェブ小説だから出来る、コメント参加型小説!】『今日から魔王軍広報部!魔王軍の評判を上げるだけの簡単なお仕事……のはずでした』  作者: 佐武ろく
第一部【魔王軍広報部発足】

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『魔王軍広報部』3

次に、ニナが勢いよく手を挙げる。


「はい! あたしも異議ありです!」

「どうぞ、ニナさん」

「記録整理は無理です! 文字をずっと追ってると、途中で外に出たくなります! そしていつの間にか夢の中でウサちゃんと走り回ってます」

「それは業務上、かなり困りますね……」

「ですよね! でも現地なら任せてください! 人に話を聞くのは得意だし、聞いた話はけっこう細かいところまで覚えてるし。それにあたし、転移魔法が使えるんです!」


 ニナは胸を張った。


「魔王軍でも使い手が少ない魔法です。遠くの現場にもすぐ行けるし、目撃者が別の町にいるなら、そこまで飛んで話を聞けます」

「転移魔法まで使えるのですか。それは確かに、現地取材では大きな強みですね」

「でしょ!」

「ただし、転移先の安全確認と、取材の目的の事前共有は必須です。現場に着いてから何をするか考える、という進め方は避けてください」

「……はーい」


 返事が、少し小さくなった。


「ニナ。今、絶対聞いてなかったでしょ」

「聞いてたってば!」

「じゃあ、今の説明を繰り返してみて」

「えーっと。安全確認と……目的の共有!」

「ギリギリじゃない」

「ミル、厳しい!」


 聞いていなかったのではなく、答えるまでに時間がかかる質問の仕方だったらしい。レムは二人のやり取りを見ながら、配置案の「記録整理」の欄を消し、ニナの名前の横に新しく書き込んだ。

 現地取材、証言収集。

 続いて、ユノアが静かに手を挙げた。


「僕も、いいですか」

「はい、ユノアさん」

「記事や校正が必要なのは分かります。ただ、僕の魔法は潜入向きです。姿や声、雰囲気を変えて、相手の警戒を避けながら情報を集められる。魔力の痕跡を隠すこともできるから、表立って聞きにくい話を調べるには、向いていると思います」

「それは貴重な能力ですね」

「ねぇねぇ」


 ニナが身を乗り出した。


「それって、誰かに化けたら、その人の頭の中も分かるってこと?」

「もし分かったとしても、ニナは何も分からなそうだね。空っぽそうだし」


 ユノアは小さく笑った。

 そんな彼に対しニナは声を上げて反論していた。

 だがユノアはそれを無視して続けていく。


「声や姿は真似られても、その人が昨日誰と何を話したかまでは分からない。だから化ける前に、相手のことを調べておく。調べずに化けたら、一言目で見抜かれるよ」


 笑ったままの口調だったが、その中身は準備の手順の話だった。


「つまり事前の調査が前提になる、ということですね」

「そう。変装しただけで信用されるわけでもないしね」


 レムは配置案を引き寄せ、ユノアの名前の横に書き込んだ。

 潜入調査、情報収集。

 残るのは、ユリウスだ。

 丁度そのと時、机の上の通信水晶が淡く光った。


『皆さん、お集まりでしょうか』


 落ち着いた男性の声が響く。続いて紙をめくる音と、何かを書きつけるさらさらという音。

 ユリウス・エルネスト。別の業務が立て込んでいるため、通信魔法での参加になると聞いていた。


「はい、ユリウスさん。本日はよろしくお願いいたします」

『こちらこそ。皆様、お忙しいところ恐縮です』


 声は終始、丁寧だった。


「配置案では、ユリウスさんに潜入調査と情報収集をお願いする予定になっているのですが」

『その件ですが、レム様。申し上げにくいのですが、私は編集官として配属されておりますので、潜入調査を主業務とするのは難しいかと存じます』

「やはり、そうですよね。失礼しました。編集官として、どのような業務をお願いするのが適切でしょうか」

『記事の執筆、構成の整理、表現の確認。それから、公開前の原稿審査であればお力になれるかと。記録文書に魔法的な改変が施されていないかを調べることも可能です』

「じゃあさ」


 ニナが水晶に向かって身を乗り出した。


「ユリウスが改変なしって言った記録は、本物ってこと?」

『書かれたとおりに残っている、というところまでは申し上げられます』


 水晶の向こうで、ペンが止まる気配がした。


『ただ、文章に改変がないことと、書かれた内容が真実であることは別でございます。最初から事実と異なることが記されていれば、改変されていない誤りがそのまま残るだけですので』


 ニナが「あっ」と小さく声を漏らした。


「……そっか。本物の紙に、嘘が書いてあることもあるんだ」

『ご理解が早くて助かります』

「ありがとうございます。非常に重要な点だと思います」


 レムは、その一文を余白に書き写した。


『いえ。事実を扱う以上、確認できることと、確認できないことを分けておくのは当然のことです』


 レムは配置案の最後の欄を書き換え、全体を見渡した。

 線で消した箇所と、書き直した箇所で、紙面は継ぎはぎのようになっている。レムは白紙を一枚取り、五人分の担当を清書した。

 ミルが記録管理と資料照合。ニナが現地取材と証言収集。ユノアが潜入調査と情報収集。ユリウスが記事の執筆と編集、公開前審査。そしてレム自身が、全体の方針策定と進行管理。

 書き終えて、ペンを置く。

 そこで、ふと気づいた。

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