松葉杖のゲルツェン先生
お茶の時間が過ぎた。
アストリッドはチラリと時計を見る。
カランカラン
パッとアストリッドがドアを見ると、
頼んでいたお茶の葉の配達だった。
いかにも親父らしい動きを意識しながら荷物を受け取る。
配達員が去り、閉まる扉から通りをそっと覗いた瞬間、アストリッドは思わず荷物を取り落とした。
松葉杖をついたカイが、ぎこちない動きで通りを渡って来ていたのだ。
「うん、今日もお茶がうまい!」
カイは嬉しそうにお茶を飲む。
「え?なんで松葉杖かって?
いや、あ、それはやな、アスティ見て……
ちゃうくて、朝、家でこけてん。
それで足捻ってもうて。
診察?診察は大丈夫やで……ちょっと時間かかってまうけどな。
食事?食事もまあ、死なへん……わあ?」
アストリッドがカイの目の前に、お菓子やパンをどっさりと置く。
「え!?これを腹の足しに?
え、悪いって、アスティどうすんの?
気に……気にするな?あ――ありがとう。」
嬉しいのと同時に情けない。
あの鋼のようなヨハネスなら、
こんな怪我などするわけがない。
(こういうの、切ないって言うんかな……)
しかし、カイは、そんな気持ちを悟られないように、元気な声を上げた。
「お菓子も、めっちゃうまい!」
これまでのお話▼
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