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ずっとここにいてほしい

まだ夜明け前で、窓の外は暗い。

立ち上がって、そっと窓から外の通りを見ると、

宿屋の前を掃除しているアストリッドの姿が見えて、

胸がドキンと刺すように痛くなる。


――ずっと、ずっとここにいてほしい。

――でも、親父に変装して過ごしたままでいいとは思えない。


(アスティは本気で、宿屋を大事にして、

ずっとここで頑張ろうとしてるんや。

それがアスティの希望なんやから、それでええやん……)


ふとアストリッドが、視線に気づいたように、診療所を見上げる。

カイは、慌てて窓を離れようとして戸棚にぶつかり、思い切り足をひねって床にひっくり返った。


「いったぁぁぁぁ!!!あああああ!!!もう!!!」


戸棚から落ちて散らばった中にある裁縫箱を見たカイは、

床に転がったままソロソロと手を伸ばして、待ち針を突っついた。


「はぁぁ……とりあえず、ヨハネスに兎は取られんようにしとこ……」


これまでのお話▼


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