生きる力
――生きる力。
燃え盛る炎、
崩れ落ちる屋敷、
剣と鎧のぶつかり合う音、
血しぶき、
累々と倒れる人々……
生きる力……
生きる力……
(生きる力をくださるのは、貴方です。)
そのままカイは、
松葉杖をコツコツ鳴らして待合室に向かう。
寄りかかり合って眠っていた夫婦にカイが話しかける。
「――そう、一度、家に帰って。
他の子もおるやろ?
この子は今日の夕方まで預かるから、
午後診のときに迎えに来て!」
「はい、わかりました。」
「カイ先生、本当に、なんとお礼を言っていいか……」
両親は目を泣き腫らして、コメツキバッタのように頭をさげた。
そして、アスティにも顔を向けた。
「アスティ爺さんも、本当にありがとう……こんなにまで……」
「宿屋もあるのに……ありがとうございます!」
『宿屋』という言葉に、カイの方がピクリと反応する。
が、アスティは親父らしい仕草で、夫婦に向かって『いいよいいよ』と手を横に振る。
これまでのお話▼
◆『元公爵令嬢の小さな宿屋―年下の町医者が、客でもないのに今日も会いに来ます』
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◆続・元公爵令嬢の小さな宿屋―陶器市で年下の町医者と手をつなぎました
https://ncode.syosetu.com/n0955mu/
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