見たことのない部屋
大通りは、朝靄でうっすらと白んできている。
アストリッドはハッと目を覚まし、急いで身体を起こした。
そこは、見たことのない部屋だ。
見回す限り、手作りらしい布製品が飾られている。
寝ていたソファにもアストリッドにもキルトが掛けられていた。
アストリッドは慌てて立ち上がり、
近くのドアからそっと出る。
そこは診察室で、寝台では子供に聴診器を当てているカイがいた。
「起きた?」
聴診器を外して、カイが微笑む。
「わ、わたくし、寝てしまって……
あちらの部屋は……?」
「あ、あっち?
ああ、あっちは僕の居間や。」
アストリッドはカイの目をパッと見る。
カイは泡を食って言い訳をする。
「いや、あの、アスティ、今日も宿屋あるやん。
うとうとし始めたから、徹夜やったら大変やし、
ちょっとグッと深く寝たらええんちゃうって、聞いたら、
その、うん、って頷いてたから……あの、その、ちょっとおまじないを……」
これまでのお話▼
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