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25.お手伝いでステータスアップ

その後、アームズ様とシェアト兄様は言い合いの果てにまた一戦繰り広げていたけれど、さすがに日が暮れてきて風がかなり冷たくなってきた。

そろそろ両親も戻るだろうから、と兄様が先導して邸へと戻る。

どうやら今日は、ハーディエンス家の兄弟はうちへ泊っていくらしい。

確かに、今から帰るのは夜道になるし、治安の面でもよくないよね。

平和なフランズベルト王国とはいえ、盗賊や不逞の輩なんかはそれなりにいるし。


同年代のお客様を迎えての夕食は、大変楽しかった。

あらためてお爺様たちの話題が出たりして、なかなか興味深かった。

両親と3人での食事も楽しいけど、シェアト兄様が帰ってきたときの食事はもっと楽しい。

そして、お客様たちと大勢で食べる食事はもっともっと楽しい。

それはきっと、ハーディエンス家のアームズ様もノルディスもいい人だからなのだろう。


ノルディスは、ゲームでとことん冷たくあしらわれていたので、正直プレイヤーとしてはいけ好かない奴としか思えなかった。

顔を合わせたら嫌味を言われて、二言目にはマリーアンジュ王女を見習ってうんぬん~とお説教。

・・・あ、お説教は今日も何回もされたんだけどさ。

ただ、やっぱり1枚絵と違って顔の表情も豊かで、別に私を嫌いであれこれ文句を言っているわけではないのだとわかる。

今も、穏やかな顔で両親の話を聞いたり、兄様たちのやり取りに少し笑ったりと色んな顔を見せてくれている。

やっぱり百聞は一見に如かずってのは事実なんだなあ、としみじみ思う。

ちょっと意味が違う気もするけど、私の心情的にはってことで。


アームズ様は、ゲームの中で少しだけ話題が出ていた。

ノルディスと仲良くなっていくと、兄に対する複雑な感情を吐露する場面がある。

マリーアンジュルートだと、特に彼女の傍に立ちたいがために兄を蹴落として自分が宰相になろうと決心するシーンが出てくるのだ。

それに対して微笑みながら応援すると言うマリーアンジュに、「そんなことを後押ししていいの?!」と画面越しにツッコんだ記憶がある。

実際には確かに微妙な関係ではあるみたいだけど、アームズ様の態度は弟をからかいながらも愛情持ってるお兄ちゃんの姿だし、ノルディスも兄の婚約者候補だと思っていた私を警戒するぐらいだからちゃんと愛情を感じているんだろう。

王女様が絡まなければ仲のいい兄弟のままでいれるのかな?どうなんだろうね。

兄弟そろって親しくなったからにはあまり仲たがいしてほしくはないけど、こればっかりは私にどうこう出来る問題でもないからなあ・・・。



楽しい晩餐を終えた翌日、朝食を終えるとシェアト兄様、アームズ様、ノルディスの3人は父様に連れられて領地視察へと出かけて行った。

もちろん私もついていくつもりだったのだけど、母様からストップがかかったのだ。

あなたが行くと、あの2人のどちらかがお嬢様のお相手か?!なんて領民に騒がれちゃうからダメ、と。

確かに、ノルディスが勘違いしてたぐらいだしね。余計な噂は立たない方がお互いのためだ。

仕方ないので、母様のお手伝いをすることになった。


このお手伝いに関しても、昨日の夕飯がきっかけとなった。

アームズ様が私を謎に褒めまくった挙句、エレメンタルプリンセスを目指しているのも納得だ、なんて言いだすから!

当然両親は驚くし、なぜかシェアト兄様までシャルならできると謎の太鼓判。

そんなにあの時に気を利かせたのが高評価だったの?!

大変気をよくしてさすがうちの娘、と親バカ全開だった父様に対し、母様は「じゃあこれからは色々鍛えなくちゃね」と恐ろしいお言葉をおっしゃったわけでして。

その結果が、本日の母様の執務の手伝いとなったわけだった。


執務の手伝いと言っても、私の出来ることはしれている。

せいぜい書類の数値を再計算して、合っているかどうか確かめるぐらいだ。事務仕事が苦手だった私とはいえ、さすがに四則計算ぐらいは問題なくできる。

エクセルとかでやれたら簡単なんだけど、この世界にはさすがにパソコンはない。

いや、実は魔道具として似たものがあるらしいけど王都の中枢部でしか使われておらず、国宝級の物らしい。そりゃそうだよね。

昔見たアニメに出てきたマザーコンピューターみたいなものを勝手に想像している。

ちなみに、そろばんのようなものは普通に普及している。

日本で小児科の待合とかに置かれていた知育玩具に、木の輪っかを左右に動かすものがあった。なんか、それと似たような感じ。

でも全く使い方がわからず、仕方ないので懐かしの九九を使いながら紙で計算だ。

「シャルは、12歳になってから一気に成長したわね」

ひたすら計算を続ける私に、母様が満足そうにうなずきながらつぶやいた。


本来の私、というか転生した記憶がよみがえるまでのシャルリアは決して勤勉な子供ではなかったと言える。

だって遊びたい盛りだもの、無理もないんだけど。

だからこそ学院入学時はあれもこれもマリーアンジュに教えてもらう立場だったのだろう。

両親もシェアト兄様に対しては後継ぎということもあり、執務の手伝いなどは将来の指導を兼ねてかなり早くから教え込んでいる様子だったけど、私に対しては女の子だしまだいいか、みたいな甘さがあった。

それに対して兄様が不満を言えばよかったのだろうけど、兄様も私に甘いという悪循環。

そりゃ、ゲームのシャルリアは学院で周りに迷惑かけまくりな劣等生になるよね、と納得。


現在の私だって、別に勤勉なわけではない。

ただ、エレメンタルプリンセスを目指すという明確な目的があるのとないのでは大違いなのだ。

せっかく素質はあるっぽいのに、このまま腐らすのはもったいない。

それに、もともとステータス上げが好きだというのもある。

RPGでコツコツレベル上げたり、黙々と素材を集めたり、シミュレーションであれこれ計画を立てて国力を上げたり、そういう作業が好きなのだ。

努力が数値に表れるのが好きというかなんというか。

このお手伝いだってエレメンタルプリンセスを目指すためのステータス上げだと思えばいい!


千里の道も一歩より。小さなことからコツコツと。

目の大きいおじさまじゃないけど、それが大事だよね、うん。

明日は日曜日なので投稿お休みします。

また月曜日から再開しますので、よろしくお願いします!

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