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20.初めての魔術

ブックマーク、評価をありがとうございます!

大変励みになります!

ノルディスを庭に連れ出したのは、実は魔術を見てみたいという気持ちもあった。

いやぁだって、せっかくの剣と魔法の国だし!見ないとね!

私のお願いにノルディスは戸惑っていたようだけど、しぶしぶといった感じでうなずいて、少し場所を変えることにした。


庭の中央部からは少し離れた、庭師の管理小屋や道具置き場などのある一角へ。

作業のためか小さな広場になっていて、今は誰もいない。

ここならばもし多少魔術で影響が出ても、庭の花や樹木には支障がないだろう。

花好きの母様が育てておられる花壇に何かあったら、ただじゃすまない・・・想像すると、ちょっと身震いしてしまう。


それに、子供2人とはいえハーディエンス家の護衛の人がちゃんとついてきていた。

ちなみにフロンターレ家の護衛は、基本的には父様にしかついていないのでいない。

母様はたいてい父様と一緒にいるし、父様だけで行動してる時は母様には執事長のヨアンがそばに控えている。彼は、なかなか腕が立つらしい。その技を見たことないけど。

私や兄様がもっと小さい頃は、庭に行くにもニーナや他の使用人がついてきてくれていたけど、今は放置だ。だって、危ないことは別にないからね。


広場に着くと、すぐそばに枯れた葉や折れた枝などが集められている場所がある。

ある程度集まると、たい肥などに利用されるのだ。

そこから数本の小さな枝を持ってきて、ノルディスは地面に置いた。


「ファイア」


呪文と同時に指を軽くこするような動作を一つ。

小さな炎が現れて、集めた枝を燃やし始めた。


「すすす、すごい!!魔法だ!」

「魔法?」

「あ、違う。えっと、魔術、なんだね。これが」

「そうだ」


ノルディスはうなずくと今度は手を炎の上にかざして「ウォーター」と唱える。

コップ一杯分ほどの水がどこからともなく出現して、パシャっと炎を消した。


「うわー・・・ほんとにあるんだ、魔術。すごい、すごすぎる」


この世界に来て初めて見た魔法・・・じゃない、魔術に感動する。

マッチとかライターとかいらないって便利よね。しかも、水出して自分で消せるし!

パチパチと拍手する私に、ノルディスが呆れたように振り返った。


「これぐらいは誰でも出来るだろ。シェアト殿に見せてもらわなかったのか?」

「そうなの?なんだ、兄様に見せてもらえばよかったのか・・・」


全然思いつかなかった。

よくよく考えたら、学院で魔術の授業ももちろんあるんだった。

シェアト兄様のことだから、優秀な成績を修めているに違いない。

ノルディスだったら出来るだろう、って思ったけど、兄様だって出来るな、きっと。


「でも、意外に地味なのね。もっと、『ファイアーボール!』とか『ウォーターシュート!』とかやるのかと思ってた」

「誰と戦う気なんだ、君は」

やれやれ、といった風にノルディスは肩をすくめた。


彼が説明してくれるには、フランズベルト王国は精霊王の加護に恵まれた土地にあり、豊かな上に平和な国で、周辺国との仲も良好。戦争の兆しなんかは一つもない。

魔物と呼ばれる危険な存在もいるにはいるが、この国から遠く離れていて精霊王の力も届かない『魔の国』と呼ばれるところにだけいるらしい。

魔の国には魔の森、魔の海、魔の空などがあり、そこにそれぞれ魔物が住んでいるらしいが、そこから魔物がわざわざ人間を襲いに出てくるとかそういうのも無いのだそうだ。


そういえばそんな設定が、ゲームの中でちらっと出てきてた気がする。

とはいえ、本編に全く関わってこないもんだから、多分騎士団とかそういったのを存在させるためだけのぬるーい設定なんだろうなあと思ったけど。

精霊王が全部どうにかしちゃうんだから、すごい存在よね。


「もちろん、学院へ行けばそういった攻撃魔術の基礎は学ぶはずだ。平和な国ではあるが、万が一に備えることも必要だからな」

「なるほどねえ。騎士団の入団希望者とかもいるだろうしね」

ふむふむ、とうなずいてふと疑問に思ったので聞いてみた。

「ところで、ノルディスはやっぱり土魔術とかそういうのが得意なの?」

ノルディスは眉をひそめて「土魔術?なんだそれは」と答えた。

「うーん・・・なんか、大地を揺らすとか、石つぶてを投げるとか、そういうの」

「知らないな」

ノルディスは首を振って否定する。

「そういった魔術はあるのかもしれないが、わからない。学院で習ったり、騎士団の演習などで使うことはあるかもだが」

「あれ・・・そうなんだ」


土のエレメンタルの加護を受けていても、別に土魔法が得意なわけではないのね。

あれ、まてよ。

よくよく考えたら、土のエレメンタルは別に土属性の魔法が強くなるとかそういう設定はなかったよな。

あくまでも知識とか研究とかそういった分野を発展させるための加護なんだっけ。


「じゃあ、魔術には属性はないの?ファイアは火属性で、ウォーターは水属性でしょ?炎系の魔物にはウォーターとか、あとアイス系の魔術で倒すこと!みたいなセオリーがあるんじゃないの?」

意気込んで聞くと、ノルディスはますます眉をひそめてこちらを見る。

「・・・属性?戦い方のセオリーは騎士団にはあるだろうが、私は詳しくはわからない」

そもそも、と彼は続ける。

「騎士団はあくまでも悪漢から王族や貴族といった者たちを守るために存在するものなのだから、魔物と戦ったりはしない」


「ええー!乙女ゲー、ぬるすぎる!RPGじゃないからなの?!」

「・・・君が何を言っているのかさっぱりだ」

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