表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/165

13.兄様の親友

父様は立ち上がって私のところまでやってくると、私の肩に手を置いて訪問者であろう2人の少年の方を向いた。


「アームズ様、ノルディス様。娘のシャルリアです。学院でご一緒するときは、ぜひご教授お願いいたします」

父様の言葉が終わると、同じく立ち上がっていた母様がそっと私の腰のあたりを叩く。挨拶しろ、の合図だ。


「お初にお目にかかります。シャルリア・フロンターレと申します。よろしくお願いいたします」

目線って合わせていいのかな・・・とりあえず相手の鼻のあたりを見ておこう。

再びカーテシーをして、目の前の2人の姿を確認する。


1人は先ほど廊下で出会ったノルディスだ。さすがというか、何もなかったかのようにこちらをただ静かに見つめているポーカーフェイスぶりに感心する。

そしてもう1人。ノルディスよりは少し淡い茶の瞳に、銀の髪。メガネはかけていないが、よく似た印象。おそらく長男のアームズ様とやらだろう。


「シャルリア嬢、よく来てくれた。私はアームズ・ハーディエンス。横にいるのが弟の・・・」

アームズ様はよく通る大きな声であいさつを返してくれ。横のノルディスの背中を叩く。

「・・・ノルディス・ハーディエンスです」

ノルディス様は少し顔をしかめつつ、そう答えた。


無事に自己紹介が終わったことに満足するように父様は大きくうなずくと、

「ではアームズ様、ノルディス様。私共はこちらで失礼させていただきます。あとはシェアトとシャルリアがお相手いたしますので、どうぞごゆっくりお過ごしください」

そう言って一礼し、私よりも遥かに美しいお辞儀をした母様を伴って部屋を出て行った。


・・・え、いいの?お客様なのに当主がいなくなっちゃったよ?

そんな気持ちで兄様を見ると、兄様は私を安心させるようににこりと笑って自分の隣のソファを手のひらで指し示した。

「父様たちがお忙しいことはアームズたちも理解してくれているよ。大丈夫だから、シャルはこちらにおいで」

「・・・はい」

アームズ様とノルディスに黙礼して席に着く。相変わらず何を考えているのか機嫌悪そうに見えるノルディスに対し、ニコニコ顔のアームズ様がどうぞどうぞというように兄様と同じように席をすすめてくれた。


「しかし、フロンターレ卿と奥方殿は相変わらずお忙しいのだな。フロンターレ領が豊かでよく発展していることも納得だよ」

アームズ様は大げさなぐらいに両手を広げ、そんな風に称賛してくれる。

「今は秋の月なので、1年で1番忙しい時期だから。他の領も似たようなものだと思うよ」

苦笑しながら答えた兄様に、アームズ様は身を乗り出して言う。

「シェアト、謙遜は良くないぞ?僕の代ではもっと発展させてみせるとか答えろよ」

「なんでそんなこと言わなきゃいけないのさ。自信家のアームズじゃあるまいし」


シェアトにアームズ、か。様付けじゃないんだ。

ハーディエンス家は侯爵家というだけでなく、宰相一家だ。国の中枢のど真ん中を担う一族なので、王族に近い高位の貴族。

学院では同じ貴族ということで侯爵家だろうと男爵家だろうと爵位の差をつけず、皆が平等に学友として同じように接するという不文律があるらしい。

とはいえ、兄様が、ハーディエンス家の次期当主に向かってこのような軽口を叩けるとは・・・意外だ。

相手のアームズ様もとてもリラックスした表情で、からかい口調ではあるものの自分たちより低位の貴族を蔑んだ感じは全くない。

多分、とても仲のいい関係なんだろうというのが私にもわかった。

ふと、その顔をこちらに向けてアームズ様がにっこりと笑った。


「改めて・・・初めまして、シャルリア嬢。シェアトの親友で、アームズと言います。噂の妹御にお目にかかれて光栄だよ」

「は・・・初めまして!シャルリアです。いつも兄がお世話になっております」

ぴょこり、と頭を下げると、アームズ様もそしてなぜかノルディスもきょとんとした顔でこちらを見た後、アームズ様がぷーっと吹き出した。

「え?」

なんで笑われているのかがわからない。

ノルディスは笑っていいのかどうしようかと考えているのか、なんか変な顔だ。

憮然としていると、シェアト兄様がクスクス笑いながら答えてくれた。

「シャルは・・・時々、大人みたいな言い回しをするよね。小さい奥様みたいだったよ」

そういって兄様が頭をなでてくれるが・・・釈然としない。

12歳でもいつもお世話になっておりますぐらいは言うよね?言わない?

社会人としてのお約束の挨拶だから気にしたことはなかったけど、子供のセリフではないかも。


「笑いすぎだぞ、アームズ」

兄様が軽く睨むと、アームズ様は「確かにレディに対して失礼だった」と謝ってくれた。

今更な気もするけど、ちょっと頭を下げて返しておく。

そんな私を、目を細めながらアームズ様が眺めている。

「うちには女の子がいないから、連れて帰ったら母上が喜ぶだろうなあ」

連れて帰るって・・・ハーディエンス家に?!無理無理無理!

思わず目を見開いてブンブンと首を振った後、固まる。

めちゃくちゃ嫌がってるように見えるよね、この態度は。

「あの、失礼しました!嫌なわけではないのですが、その・・・」

慌てて言い訳をしかけるのと、再びアームズ様がぷーっと吹き出すのは同時だった。

今度は、ノルディスもそっぽを向いたまま肩を震わせているので笑っているのがわかる。


完全にからかわれている。

なんなんだ、一体。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ