表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
99/103

11-1 約束の日

 時というのは無情にも流れ続けていく。残り3日、2日となっていくたびに、自分は急に恐怖を感じるようになっていた。感じたと言っても何かができるわけではない。自分は今まであったことを改めて書き留めておいた。


 そしてついに約束の日がやってくる。僕は今までかいた文章を印刷して、実家の僕の部屋の机の上に置いておいた。


「今までありがとうございました」


 朝起きて僕は両親に伝える。両親はこっちこそありがとうと言ってくれた。


「もし決定をする前だったらお前を止めていたと思うけど、決定しちゃった後、もう引き返せないなら仕方ない」


 両親はそう言ってくれた。


「僕の死亡が確認されたら、これを読んで」


 僕は今まであったことをまとめた書類を印刷したものを見せて自分の机の上に置いた。両親はわかったと言ってくれた。


 僕は家を出る。そして僕は人気の少ない海岸に向かった。肉体的には死亡したという状態になるということで、自分はその名所である、とある場所まで向かった。もしこちらの世界で誰かに迷惑をかけていれば申し訳ないが、迷惑のかからない方法が思いつかなかったというのが現実だ。


 自分は海岸に横たわった。覚悟していたことだが非常に心拍数が高くなる。今まで未練はないと思っていたはずなのに、急に戻りたいという意識が心を駆け巡った。


 ここだと処理する人に迷惑だろうかと考える。海に揺られて仕舞えば本人の確認も困難だろう。自分は近所の店で浮き輪を買って、それを膨らませて海に浮かんだ。自分はできるだけ遠くに向かったのち目を瞑り、そのタイミングが来るのを待ち続けた。


 波の音が一定のリズムで聞こえてくる。なぜか心地よくなっていた。空がほの暗くなってきた。そろそろ覚悟の時間だ。


 体が揺れる。体感では10分ほど経っているが、実際どれくらいかはわからない。まだその時間が来ないことに急に不気味になる。引き返せるのならば引き返したいという欲求を抑え、自分は目を瞑っていた。


 体内時計での数分後、自分は海が底からひっくり返るような振動を感じた。その数秒後、今まで聞こえていた木々や鳥、さざなみの声が急に聞こえなくなった。そして、一瞬体に痺れたような感覚が襲った直後、体がすっと軽くなるのを感じた。


 目が開かない。というより、目の感覚さえない。周りが明るいか暗いかということも分からない。そもそも分かるという感覚さえないかもしれない。今までの人生に重要だった何かが自分の中から解放されていくのを感じた。その解放された何かはここではないどこかにあるようだった。


 全てが終わったような感覚に襲われたが、自分はやけに落ち着いていた。


 体感で数分後、体の感覚が戻ってきた。自分の意識に反するように体が動く。気づいたら周りが都会のようになっていたが、全ての建物に光がない街並みだった。どうやら身体は僕のようだった。


 体は自分の意識に関せず街の中を歩いていく。見覚えのない景色だが、体はどこを目指しているか知っているようだった。体はとある病院の前で止まった。知らない病院だった。見た記憶もない病院だ。


 病院の前には謎の女性がいた。

 

「今までお疲れ様でした。これからも頑張ってください」


 その女性はそう言ったのち、ふっと目の前から姿を消してしまった。体は病院の中へと歩いていく。誰もいない廃病院のようであるがやけに清潔で、怖さというよりも神聖さを感じる。体は1つの病室をノックしたが誰も出ないので扉の横に腰掛けた。数分後、病室から知らない女性が出てきた。自分と同い年か、それより少し若いような外見だった。なぜ病院にいるのかもわからないほど健康的に見えた。


「ごめんね、そしてありがとうね」


 彼女はそう言って病室のドアを閉めた。


 自分の意思に反して僕は彼女に話しかけた。


「お名前はなんでしたっけ?」

 

 彼女は答える。


「今の私には名前はありません」


 彼女はそう答えた。ないとはどういうことかを聞きたかったが、僕の意思に反して動く体はその質問を聞いてくれなかった。僕はその後意識を失ってしまった。


 気付いたら僕は暗いトンネルのような場所にいて、体が動かせるようになっていた。古いトンネルに見えるが、なぜか汚れておらず綺麗だった。周りを見渡してみると、片方の遥か遠くに光がさしているのが見えた。僕はその光の方向に向かって走って行った。走っても走ってもその光に近づかない。すると僕の意識は徐々に朧げになり、そのままフェードアウトして行った。そこからどのくらいの時間が立ったかわからない後、私は浜辺で意識を失っていたことに気がついた。波の音が聞こえてくるが、体や服は濡れていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ