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10-17 決意


 絵画は難しい。キュビズムといえばピカソだとか、印象派(『印象・日の出』)といえばクロード・モネだとか、そう言った知識はなんとなく持っている。しかし、絵の出来を判断できていない状況だ。格付けチェックを行われたら確実に落第だろう。


 自分は先ほどのゴッホの絵を見てみた。確かに『ひまわり』『星月夜』などと色の雰囲気や質感は似ているような気がしなくもない。


「俺中高生の頃絵を描いてたんだけど、今はもう無理だな」


 父はそう言った。父親は美術部出身で、美術部の中では絵が上手いと言われていたらしい。芸術大学に進みたかったらしいが、自分で考えた結果絵だけだと不安だということで通常の大学に進学したということだ。


「凪も芸大とか音大とか、そういう方向に進みたかったとかある?」


 父はそう聞いた。音楽理論は嫌いではない。理系の人間として、体系の中である程度ロジックや論理が通っているものはすきだ。ただ、音楽理論はよくわかっていないというだけだ。


 僕は運ばれてきた生ビールを飲み終わる。両親も同じくらいのタイミングで飲み終わっているようだ。両親は追加でハイボール3人分と、唐揚げとトマトを注文していた。


 自分は父親よりも母親の方が身長が高い。父親は165cmだが、母親は170cmだ。僕は169cmなので、父親の身長は超えているが、母親の身長は超えていない。


「私が大学の頃、今でいうところの二郎系ラーメンをよく食べてたんだけど、男子によく驚かれた記憶がある」


 母親はそういった。二郎系ラーメンは僕も味自体は好きだが、量が多すぎるように感じる。父親も食べたことはあるようだが、かなり重くて諦めたらしい。


「多いと感じたことないんだよね」


 母はそう言った。「多いけど食べ切れる」ではなく「多いとも感じない」は驚きだ。凪ちゃんのスポーツ少女的な性格は母譲りなのかもしれない。自分はふとそう思った。


 店員がハイボールを運んでくる。僕はそれを飲みながら、両親の話を聞き続けた。


「今までありがとうね、向こうの世界でも頑張って」


 母親はそう言ってくれた。お腹を痛めて産んでくれた自分がこの世界を立つことを伝えても、母親は自分の選択を理解した上で尊重してくれた。両親が冷たいような人間だと思われるかもしれないが、自分はこの両親のもとに産まれれて心から良かったと思っている。


 僕はそう言いながら、届いた野菜を食べていった。そして、食事が終わった僕たちは居酒屋を出て家まで帰って行き、そのまま布団で眠りについた。


 もうすぐ自分の人生が終わる。それにもかかわらず、自分は良い人生だったとなんとなく思えるようになっていった。


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