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10-7 帰省


「むしろ、死ぬことによって終わりが来ないかもしれない、という方が怖いです」


 僕は死という事象によって、違う人生と統合されることになる。その類推でいけば、仮に自分が亡くなったとしても、また違う世界でやり直すことになるのかもしれない。


「仏教における輪廻転生の考え方に近いのかもしれません」


 僕は彼に伝える。


「仏教は輪廻転生から抜け出す方法を説いているらしいですよ」


 インタビュワーはそういった。自分の家は仏教系の家系だとは思うが、そこまで敬虔な信仰徒というわけではない。ちゃんとは理解できていないのが現状だ。


「ただし、抜け出した結果が単なる無だと言われると、それはそれで怖いかもしれないです」

 

 今回自分が経験することになる死はかなり特殊なものなので、通常の人間に訪れるものと同じかはわからない。その意味で言えば自分は2回死ぬことになる。


「いずれにせよ、僕が経験することになることは、あなたには連絡できません。しかしながら、もう1つの世界にもあなたはいるようです。そちらの方には連絡しておきます」


 僕はそう伝えた。彼は、ありがとうございます、と言ってくれた。


「他に聞いておきたいことはありますか」


 お互いに何か追加で聞いておきたいことがないかを確認する。僕は大丈夫だと伝えた。


「今日はここまで話してくれてありがとうございました。残り短い人生とおっしゃられていましたが、ぜひ楽しんでください」


彼はそう言った。僕は、ありがとうございました、と言ってインタビュー室を出て行った。


 残るところあと4日だ。僕は今から急遽福井県の実家に戻り、残りの人生を家族と過ごすことに決めた。


 自分は一旦家に帰り、着替えとPCを持って、急遽福井県までの切符をとった。自分は新幹線と電車を組み合わせて、電車で向かっていく。その道中、今日のインタビューを記録しておいた。


 家族には伝えないつもりだと言ったが、どうするべきなのかはいまだによくわかってない。色々考えていると、名古屋駅まで辿り着いた。ここからバスで3時間程度で着くらしい。僕は何もすることがなかったが、移動する車両の中では寝られないタイプなので、引き続き今日のインタビュー周りの文章を推敲しておいた。


 気づいたら福井駅まで到着していた。家はここから徒歩20分程度のところにあるらしい。僕は歩いて家の方まで向かっていった。


 池下という看板が書かれた家を見つけた。考えてみると、今まで1回も来たことがなかったかもしれない。僕はインターフォンを押した。

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