10-6 少し前に聞かれたこと
彼は僕の質問について、特に困ったような表情を見せることなく答えてくれた。
「そうですね。前よりも信じているとは思いますが、正直いうと内心では今でも信じきれていないのが現状ではあります。それはあなたの人格や話し方を根拠にが嘘だと言いたいわけではありません。内容は内容なので、どうしても実感として湧きにくいというものはありますね」
彼はそういった。今でもそれは当然だと思っている。自分が今まで書いてきた文章を先日改めて読んだが、内容を客観視するとやっぱりどこか現実ではないように感じてしまうのも事実だ。
僕は信じてもらいたいと思っているわけではない。自分が体験してきたことを誰かに伝えたかっただけだ。
「正直、信じてないのは普通だと思っています。もしあなたが『信じていない』ということに対して言い出しづらいと感じているのであれば、それは気負わなくて大丈夫です」
僕はそういった。
「理解していただけるのは嬉しいです」
インタビュワーはそういった。自分は目の前にあるお菓子を1つ手に取って口にした。僕が食べ終わったことを確認して、彼は話し始めた。
「作品内の世界観について現状私が考えていることについて、実際の認識と会っているかを確認願いたいです。前回話されていた不思議な記憶の件ですが、あのけんはパラレルワールドのあなたの記憶だったということで良いでしょうか?」
彼はそう質問する。僕は、その通りだと認識していますとコメントした。
「やはり、もう1つの世界はあると見て良いのでしょうか? 」
「そうですね、あると思っていただけると嬉しいです。前にも話しましたが、時空のおっさん世界は結局迷い込んだ人を元いた世界に返すためにある世界で、こことももう1つの世界とも違う世界だと思います。世界はその2つだけではなく、他にもあると考えています」
彼は、なるほど、と言っていた。
「前回、なぎさんは『時空のおっさん世界は緩衝材のような世界』だとおっしゃっていたと思いますが、今でもその認識ですか? 前回は世界の間にある森のようなものでで、森自体が存在する理由はない的なことをおっしゃっていたと思いますが」
彼の質問に対して、僕は今でもそう思っていると伝えた。
「やっぱり森自体は自然なものなんですかね?」
彼はそう言った。僕は、もしかしたら世界間の干渉が起きなように森は人工的に作られたものかもしれないといった。
「なるほどです」
彼は本当に納得したのかはわからないがそう言ってくれた。彼は僕に質問する。
「もう直ぐあなたは死ぬことになると言っていましたが、そのことについて怖くはないのですか?」
自分は彼の質問に対し、怖くはないといえば嘘になるが、それで終わりだというわけではない以上、今までほどの恐怖感はないということを伝えた。




