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9-14 わずかな訛り

凪ちゃんを見ていると、実在しない姉や妹の顔が浮かんでくる気がする。それくらい自分に似ているということだと思う。自分は彼女に、改めてパラレルワールドの自分が僕だと心の底から自分と同じ存在だと思えているかということについて聞いてみる。


「ん-、なんか妙に気が合ってるなとは思うね。凪と喋ってても特段妹っぽいとは思えないから、やっぱり私の方が性格的にはあってるのかもしれない。少なくとも生まれなかったはずの妹だったと言われるよりは、私と対になる存在と言われた方がしっくりくるかな」


 彼女はそういった。なんとなく言いたいことはわかる気がしなくもない。


「性格とか喋り方、アクセントとか、なんとなく似てるなって思わなくもないかもしれない」


 大村はそういった。本郷はそれに賛同していた。


「アクセントそんな似てる?」


 自分は2人に聞いてみる。少なくとも自分は標準語に近い言語を話しているつもりであり、特段意識はしてこなかったことだ。


「2人ともあいうえおって言ってみて。その中にアクセントとかあると思うから」


 僕も凪ちゃんも同じように「あいうえお」って発音した。2人ともなんでそんなことをさせたのかわからないでいると、大村はいった。


「やっぱり2人とも、『え』がyeっぽく、『お』がwoっぽくなってない?」


 自分は改めて発音してみる。自分では全く意識していなかったが、大村と本郷の発音を聞いてみると確かに微妙に違う気がする。そして、確認してみると僕も凪ちゃんも同じように発音しているようだ。


「方言の問題なのかな」


 凪ちゃんはそういった。とは言っても、僕の父親も母親も共に関東生まれだ。標準語かはわからないが、少なくとも特有のアクセントを感じたことはないと思う。


 自分は日本語の微妙な母音の違いという今まで指摘されてこなかったことを急に指摘されて怖くなってしまった。そして、そのことが自分と凪ちゃんが同一存在だということを裏付ける1つの根拠となったということもまた事実だ。


「千織さんもそう?」


 自分は凪ちゃんに聞いてみる。彼女は微妙な表情をして、今まで意識してこなかったと言っていた。


「千織って誰?」


 本郷・大村はそう言っていた。僕は、凪ちゃんにいる妹の名前だと伝えた。


「言ってなかったっけ」


 自分はそう聞いてみるが、2人とも聞いたことないと言っていた。トークに夢中になっているとそろそろ全員が飲み終わっていた。そろそろお会計にしようという話題となったので、僕たちは店員を呼び出して会計をしてもらった。

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