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9-12 理解していても

「2人で飲めるの何かないかな」


 凪ちゃんもそう思っているようだった。自分は日本酒をお猪口3つで注文した。凪ちゃんも本郷も飲むようだった。


「そういえばレイって今どうしてるの?」


 凪ちゃんは聞いた。僕は彼女がアイドルを目指していると言ってから、連絡をとっていないと伝えた。


「こっちの世界の彼女が私を認識できるのか気になるな」


 凪ちゃんはそう言っていた。自分としてはできるはずがないと思えてしまうが、パラレルワールドのレイは僕に対して見覚えがあるが会った覚えがない的なことを言っていた記憶がある。何を言っているのかという話だが、雰囲気や外見は知っていると思ったが、実際に会ったことはないと思う程度のことだった。


 もしかしたらこっちの世界の彼女も凪ちゃんにデジャヴュを感じるかもしれない。聞いてみたくはあるが、アイドルを目指している彼女に連絡してもいいのかが不明だ。


「僕的にはやめといた方が良いと思う」


 僕は素直に思ったことを伝えた。凪ちゃんは不服そうではあったが、自分の言っていることも理解はできたようだった。


「2人は凪ちゃんに見覚えあるんだっけ?」


 自分は聞いてみる。彼らはないと言っていた。


「細かい条件とかあるのかな」


 2つの世界観で記憶が共有される条件とされない条件がはっきりとはわかってはいないのが現状だ。もしかしたら両方の世界で仲良い人などとの関係もあるのかもしれない。


 そんなことを考えていると日本酒が届いた。一合と聞くとかなり多めに感じるが、僕たちのペースであればそれなりに早く飲み終わってしまいそうだと考えると恐ろしい。僕達はお猪口にお酒を注ぎ、ゆっくりめなペースでお酒を口にした。


「日本酒って米しか使ってないのにフルーティーな味するのってどうなってるんだろうっていつも思う」


 本郷はそういった。麹菌がそのような風味を作り出していると聞いたことがあるが、確かに果物を感じる風味がどのようにできているのかということは不思議だ。調べてみると醗酵時に起きる化学反応で生じる物質が、果物の匂い成分と類似しているからということらしい。


 理屈を理解できたとしても不思議なものは不思議だ。将来、パラレルワールドが存在する科学的根拠がわかる日が来るのかもしれない。しかし、仮になにかしらわかったとしても、それが不思議だということは変わらないだろう。自分はそう思うようになっていた。


 明後日で自分がどうするか決めなければいけないという重みが実感として枠ようになっていた。

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