9-8 学籍番号
2人が同じくらいのタイミングで飲み物を飲み終える。自分はカシスオレンジを注文するけど凪ちゃんは何にするか聞いてみた。凪ちゃんも同じものを頼むと言っていた。
「同じもの頼むんだ」
本郷はそういった。
「前彼が私の世界に来たとき、彼が気を遣ったのかはわからないけど同じものを頼んでくれていたから、今回もそうしようかなって」
彼女はそういった。ある意味で気を遣っていたのは間違いではないかもしれないが、特段気にしてはいなかったことを伝える。彼女は、なるほどね、と言ってくれた。
「学部とかその辺は2人とも同じなの?」
自分は学籍番号も含めて完全に同じだということを伝えた。学籍番号は入学年度2桁+在籍課程アルファベット1文字+入学時学院番号1桁+学院内五十音順番号3桁+チェックディジット1桁で構成されるが、それが完全に一致しているということは細かいところまで同じということになる。
他に合格した人が同じかまではわからないので、もしかしたら学籍番号の五十音番号が違っていた可能性はある。自分の五十音順番号は004だ。レイが合格していようがいまいが、他の人が同じであれば自分の番号に影響は与えない。2つの世界の相違点が学籍番号からはわからないのが現実だ。
「2人より前の人は同じってこと?」
本郷は聞いた。自分は人数が同じだけで、誰が合格したかまではわからないと伝えた。本郷はそれもそうかと言っていた。
時間差で注文していた焼き鳥と魚が届く。凪ちゃんをみているとよく食べているなと思う。
「好きな食べ物とかあるの?」
自分は凪ちゃんに聞いてみる。彼女は、一部の匂いや癖が強い食べ物や、刺激が強い食べ物(わさび・激辛系・酸味が強いレモン)などを除いて大体のものは好きだと言っていた。一部の食材も苦手というわけではなく、食べ物として出されたら食べるとのことだった。自分は苦手な食べ物が多く、彼女が挙げていたものの多くを避けることが多い。
「基本同じだと思うけど、こうやって話聞いてるとやっぱり細かいところに違いはあるなって思う」
大村はそういった。本郷もそれに賛同しているようだった。
「で、結局選択はどうするの?」
本郷はそう聞いていた。自分は話しているうちに、この世界に残りたいと思うようになっていた。やはり向こうの世界にも良いところはあるといえ、ここが自分が生まれ育ってきた世界であるというのは疑いようもない事実だ。
「どうしても世界を諦めることを回避できないと言われたらどうする?」
本郷はさらにそう質問した。凪ちゃんに世界を諦めろとは言えない。彼女は明確に彼女の世界の方が良いと思っているようだ。
自分は正直どうしたいのかよくわかっていなかった。現実逃避で自分はアルコールを口にしていた。
「とりあえず時空の門番に話聞いてきな」
本郷はそういった。彼の言葉で少し楽になった気がした。話し合ってなんとかなる気もしないがとりあえず話してみようと思えるようになった。




