9-4 世界の差異
ているかはまだわからないが、それでも理解しようとしてくれているようには感じた。
「池下さんの彼氏さんどんな人なの?」
本郷は僕にそう聞いていた。凪ちゃんはカメラロールにある写真を彼らに見せていた。凪ちゃんと生命学部のツーショットが写っていた。
「知らない人ですね」
2人とも彼のことは知らないようだ。自分としてもちゃんと知っているわけではない。
「この人らしい」
僕はこっちの世界の彼のインスタグラムのアカウントを見せた。そのSNSには顔出しで、彼と知らない女性のツーショットが載っていた。
「彼女さんなのかな」
凪ちゃんはそう言った。僕は、正直に誰なのかはわからないと言った。恋愛関係にあるのか、ただの友達なのかは不明だ。
自分は運ばれてきたドリンクを飲む。そして、焼き鳥と魚を注文した。凪ちゃんは野菜炒めを注文していた。
「そっちのスマートフォンでインスタを見るとどうなるんですか?」
本郷はそういった。凪ちゃんは持っていたスマートフォンを開く。彼の画面を開くと同じ画像が確認できたが、投稿や書き込みなどはできないようだ。
「エラーになった」
彼女は実演していた。2人とも不思議と思わざるを得ないようだ。凪ちゃんも飲み物を飲みながら話していた。
「私がパラレルワールドの彼だということを理解してくれましたか?」
凪ちゃんはそういった。自分は聞こうと思っていたが聞けない内容だった。彼らは、本心が何であるかはわからないが、少なくとも装置周りの件については認めざるを得ないと思っているようだ。
僕たちの前に注文していた食べ物が届く。僕はそれを食べた。本郷は僕に質問した。
「池下さんはこっちの世界に来てくれてるけど、逆に凪も池下さんの世界に行ったの?」
自分は彼の質問の意図を理解した。そして先週の土曜日にすでに行っていることを伝えた。
「誰に話聞いてもらったの?」
彼は追加でそう質問した。自分は、元々付き合っていた彼女にあたる人物だと答えた。
「あー、アイドル目指して別れたと言っていた人か」
彼はどうやら自分の彼女の話を覚えていたようだ。向こうの世界ではアイドルとしてうまく行っているようで、もう活動から10年近くになると言っていた。2つの世界の差異を比較すると、客観的にはもう1つの世界の方がうまく行ってそうに思えてならない。大村はそう考えている自分を見ていった。
「うまく言ってるって思う気持ちもわかるけど、凪がこの世界で生きてきたというのもまた事実だから、それは誇りに思った方がいいと思うよ。何か悪いことをしたってわけでもないし」
自分はその言葉に少し心が軽くなったように感じた。




