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9-5 自分が見えるもの



 自分は明後日なにに決めるかを考えていた。現状は向こうの世界に相当揺れているというのが現状だが、この世界を諦めたくないというのもまた真理として持っている。この世界で生きてきたというのは1つの事実だからだ。


「池下さん的にはどうしたいんですか?」


 本郷は凪ちゃんにそう聞いていた。当然だが彼女も自分の世界を捨てたくないと言っていた。自分は揺らいでいる中で諦めたくはないと言っているが、彼女は一瞬も揺らいでないと言っていた。


 自分はグラスに残っているお酒を飲みながら、自分がどう思っているかについて整理した。


「変な聞き方だけど、凪的には世界って何だと思う? 聞いてて混乱してきたから、整理させてほしい」


 大村はそう言った。僕は素直に思っていることを伝えた。


「世界が何かと言われると難しいけど、この世界と対になるような世界があって、こっちにも同じような人がいるってことだと思ってる。普通の人は2つの世界で記憶を混同しないけど、何らかの偶然か必然かで生まれてくる2つの世界で記憶を共有する人が自分なのかなって思ってる。それはバグで、そのバグがあると2つの世界が更新してまずいことになるのかなって」


 自分はよくわからないながらもなんとなく自分の考えを述べた。


「なんで2つの世界に同じ記憶を持つ人がいるとまずいの?」


 大村はそう聞いた。僕は、ある種のバグのようなもので、ない方が望ましいからだと思うと伝えた。


「なるほどね」


 彼は納得したのかはわからないがそう相槌を打っていた。


「その2つ以外にも世界はあるのかな」


 追加の質問に僕は答える。


「うーん、あると思った方がしっくりくる。時空のおっさん世界って結局迷い込んだ人を返すための世界で、こことも凪ちゃんの世界とも違う世界だと思うから、他にもあると考える方が自然だと思う。僕と凪ちゃんは意識としては基本的に独立してるから、パラレルワールドでは同一人物でも基本的に独立した意識のもとで動いているのかなって思ってる」


 僕は素直にそう思っていることを伝えた。今までの経験からするとそうなると思ったことを伝えただけだ。


「私も基本的には彼と同じことを思っています。複数の世界のうちこの2つが選ばれたみたいな。他にも似ている世界から、そこそこ似ているが違う世界などが無数にあるんだろうなって思ってますね」


 凪ちゃんはそういった。同じような経験をしていると同じようなことを思うものだと実感する。


 世界には納得できないことが多い。なぜ自分なのか考えても答えは出ないだろう。自分はそう思うようになっていた。


「2つの世界に同じ記憶を持ってる人って何十億人に1人って言ってたから、かなり珍しいけど歴史的には自分だけじゃないんだろうな」


 僕はそう思ったことを伝えてみる。10億人に1人なら130人くらい歴史上に同じ体験をした人がいることになる。多いのか少ないのかよくわからない数字だ。


「1300億人しかいないの?」

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