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8-9 難しい2択を迫られて


 自分は今年の5月で21歳になる。人生の5分の1は終わっているだろうが、4分の1はまだ終わっていないと思いたいくらいの年齢だ。あと1年〜3年で4分の1がちょうど終わったくらいの年齢になると思うと恐ろしい。それと同時に、4分の3もまだ残っているのかという驚きや恐怖といった感情が湧き上がってきた。


 もしデッドラインの選択で凪ちゃん世界に統合されることになった場合、自分の人生はもう9割、いや99パーセントが終わっていることになる。ただ、統合というものが妙に想像できていないのが現実だ。自分の想像力が足りていないのか、それとも自分の脳の防御機構が想像させないように食い止めているのか、それとも他に何かあるのか、自分には判別できなかった。


 自分が今まで生きてきたということがなかったことになる。時空のおっさんという映画に協力できた。それだけが唯一の残してきたものとなるかもしれない。何か自分が自分として存在していたものを残したいという気持ちが、ふと自分の中に湧いてきているのが現状だ。


 自分はお冷を口にして心を落ち着かせた。


 お水を飲むと今まで泣きそうだった心が急に落ち着いたように感じる。そして自分はまだこの世界でやりたいと思うことがあることをふと思い出した。それが具体的に何かはわからないが、少なくとも何かはあるように感じる。


 もしこの世界に未練がないのであれば、自分はもっと早く決断できていたはずだ。凪ちゃんが自分に統合される未来は期待できない以上、実質的な2択は、この世界を諦めるか、それとも2つの世界をそのまま残すかのどちらかになるだろう。


 自分はそんなことを考えながら喋っていた。その間に凪ちゃんは〆の台湾まぜそばを注文していたようだった。僕たちはそれを3人で分けて食べた。


「これ美味しいですね」


 凪ちゃんはそう言いながら半分ほど食べていた。小学生の頃、自分が女性だったらどのような人生になっていたのかを考えていたことがある。その答えがおそらく目の前にいる凪ちゃんだと言うことだろう。僕あ結構お腹いっぱいになったように感じる。話すことがなくなっていると、そろそろ会計しますか、といって、凪ちゃんは会計のボタンを押してくれた。


「次回そっちの世界に行った時は払ってもらうつもりだから、今回は自分がお金を出す」といってくれて凪ちゃんが会計してくれた。2人とも同じ値段のようだ。僕は店の外に出て行った。


 外は寒いが、空を見上げるとうっすらオリオン座が輝いていた。宇宙は人類が想像するよりも何倍・何十倍どころか10の何百倍も大きいものなのだろうと考える。人類が地球上に誕生したことを奇跡と感じるが、それが起こる確率が何分の1であっても、宇宙はその分母をはるかに上回る惑星が存在するのだろうと考える。


 自分のような魂は数十億に1人と言われたと思う。今まで生きてきた人類の人数は1180億なので、それで言うと30人に1人のようにも感じるが、宇宙は広い。自分は宇宙の星のどこかでは(ここから見えない世界かもしれないが)自分と並行して自分と同じ悩みを抱えている人がいてもおかしくないと感じるようになっていた。


 自分は人気の少ない場所で元の世界に戻り、家まで帰って行った。そして、今日の食事について覚えている範囲でのメモを行った。



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