8-7 いたはずの恋人
話していると、凪ちゃんと自分が同じ存在というのに納得がいくこともあれば、違いを感じることもある。性別が違うことによる影響なのか、それとも妹の存在が影響を与えているのか、それともそれ以外の理由があるのか自分にはわからない。
「なるほどね、私もわかんないけど」
凪ちゃんは自分がふと思って言ってみたことに対して、そう反応してくれた。
「凪の彼氏さんはそっちではどうしているんですか?」
レイはそういった。僕は答える。
「生命学部の人で、たまにインスタグラムで名前を見るんですけど、何してる人なのかとか詳しくは知らないですね。1回授業で会ったとき彼が僕にデジャヴュを感じたことはあるようですが、この世界と干渉が起きているのか、それとも単に勘違いや人違いなのかは判別できませんでした」
僕はそう答えた。凪ちゃんは、僕の世界の彼に彼女さんがいるのかという話を聞いていた。
「んー、付き合ってるかまではわからないですが、たまに知らない女性の方とツーショットを載せているのを見る気がします。とは言っても、特段接点があったり、仲よかったりするというわけでもないので、細かく自分から話を聞くのも気が引けるところではあるのかなって思います」
僕は素直な印象を答える。彼も僕の名前を認知はしていると思うが、凪ちゃんと彼の関係よりも浅いところにあるのは間違い無いだろう。
「色々違うね」
凪ちゃんはそういった。運ばれてきた唐揚げとトマトがなくなった。レイはピザを注文していた。
2つの世界の違いは人間関係程度のようだ。地震や災害・起きたニュースなどのことを色々きいてみたが、そこでは2つの世界に相違点は無いようだった。お互いが覚えている範囲内での歴史も同じだ。もしかしたら2002年に分岐した世界線なのかもしれない。自分はそう思うようになっていた。
自分は2杯目のお酒を凪ちゃんとほぼ同じタイミングで飲み終えた。顔が少しだけ赤くなっているように見える。凪ちゃんは次いく?とい聞いてくれたが、自分は一旦水を飲んでリセットしたいということを伝えた。
凪ちゃんも同じようにしたいと言っていたので、自分は一旦水を飲むことにした。
「そういえば、そっちの世界にいない人がいるって言っていなかった?」
レイは凪ちゃんに確認していた。僕も彼女の周りの人間関係を聞いたことがあるが、お互い何人か知らない人がいたと思う。
「あれは多分性別の違いのせいで仲良くしてないから認知してないってことなんじゃ無いかな、1回高校の卒アルを比べたことあるけど人は同じだったよ」
凪ちゃんはそういった。どうやらこっちの世界に来た、ついでに卒業アルバムをのぞいていたようだった。それと凪ちゃんの世界と比較した際、差異はなかったということだった。
「なるほどね」
自分はその件については理解した。単に認知していないだけで存在自体はしていたとのことだ。自分はその辺については一安心だ。
僕は運ばれてきたお冷を飲んだ。すると急に落ち着いたように感じた。




