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8-5 説明

「それで、今日彼を呼んだ理由なんだけど、」


 凪ちゃんはそう言って今までの経緯を話し始めた。


「先週の土曜日だったかな? 私と凪が一緒にいたときに、時空のおっさんをまとめる存在?みたいな人に出会ったんだけど」


 彼女はそういった。レイは表面上は真面目に聞いていそうに思える。凪ちゃんは続けた。


「まあわかってると思うけど、私がいる世界と彼がいる世界の2つの世界が存在していて。2つの世界には本来同じ人がいるはずで、その2人は基本的にほぼ同一だが魂は異なるんだけど、私たちはなぜか魂を共有しているらしくて」


 レイは理解してくれようとはしていそうだが、どうも理解の範疇を越える話に混乱していそうだ。彼女はよくわからないと言っていた。


「簡単にいうと、私の目の前にいるレイと、凪の世界にいたレイには異なる魂が入ってるんだけど、私と凪には同じ魂が入っているってことらしい」


 レイはさっきよりは理解してくれていたようだが、それでもよくわからないようだ。いきなり話されても当然と言えば当然だろう。自分も言われる立場に立ってみると理解できる気が全くしない。


 僕は飲み物をしながら話を続けた。


「理解してもらうために変なこと聞くけど、変な記憶が流れ込んできたことない? 自分が聞いてない話、デジャ・ヴュとか、デジャ・アンタンデュとかいうやつね」


 レイは、私にはないと言っていたが、凪ちゃんが昔そういう話をしていたことは覚えていると言っていた。男友達から聞いていないはずの話、例えば「他校の〜〜と付き合った」をなぜか凪ちゃんだけが知っていたということが何回かあったらしい。


「目の前の凪くんが経験してきたことを共有してきた結果、そのようなことがあった、ということ?」


 凪ちゃんは、多分そうだと思っている、と伝えた。自分は聞いてみる。


「中学校の頃、夏休み台湾に行った子クラスにいなかった?」


 凪ちゃんは、九份に行った大元さんのこと?と聞いていた。多分そうだと答える。自分は彼女から台湾に行くという話を聞いたとき、なぜか(場所はわからなかったが)ホテルの具体的な特徴まで知っていた記憶がある。


 自分は今までの記憶の件について一気に納得した。


「元の話に戻るけど、2つの世界に同じ魂を持つ人がいるって結構まずい、言い換えると不安定な状態らしくて、そのせいでどっちかの世界から魂を消えてもらうと言われたんだけど、急に言われてその場で判断できるわけもないから、お互いの世界で仲良い人に話を聞いてもらおうと思ったってこと」


 凪ちゃんはそう説明した。レイは「魂が消えるってどういうこと?」と聞いていた。彼女は説明する。


「想像できると思うけど、もぬけの殻になるってことらしい」

 

 レイはそう言われてびっくりしているらしい。ただ、肉体が消えるということではない。肉体は空っぽになったままどちらかの世界に残り続けるということだ。


「話は理解したけど、どうするの? 2つの魂を存続させるルートとかないの?」


 凪ちゃんは、そうできればいいけどできるかわからないと伝えた。自分は運ばれてきた食べ物を口にする。


「凪くん的にはどうしたいと思っているんですか?」


 レイは僕に向かってそう聞いた。僕は、自分がいた世界を捨てたくないと思っていると伝えた。その一方で、この世界にも魅力を感じている、感じ始めているというのも事実だ。


「凪ちゃん的にはどう?」


 自分は聞いてみる。彼女は圧倒的にこっちの世界の方が良いと思っていると言っていた。それも当然だ。

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