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番外編 1-1 久しぶりのキャンパス

本番外編は拙小説『僕のクラスの女子が元アイドルだったらしい件 〜僕だけが知っている、彼女の秘密〜』において、長谷川翔(主人公)が池下先輩から聞いた内容となります。


https://ncode.syosetu.com/n4984fz/139/

 2027年6月。私は無事に大学院を卒業し、現在は都内にある、とあるIT系の中小企業で働いている。あの日から4年以上の月日が経つが、時空のおっさんと出会うことも、謎の記憶が紛れ込んでくることも一切なくなっていた。


 彼氏とは今から半年前に別れることになってしまった。彼が勤めていたベンチャー企業がそこそこ大きい企業に買収され、その流れで会社の大阪支部に配属されてしまった結果転勤した。その結果として、彼と出会う頻度が大幅に減ってしまい、その間に恋も覚めてしまっていた。自分から言い出せないでいているうちに彼氏から関係を断ち切りたいという連絡が来て、そのまま別れる形となってしまったという経緯だ。


 SNSを見ていると、大学の後輩からInstagramでメッセージが届いていた。大学3年生の子で、私と同じ高校・同じ大学・学部のHくんだった。どうやら私が行っていた研究室に興味を持っているらしく、話を聞かせて欲しいとのことだった。


 彼曰く、高校の頃から私の名前を聞いていたらしい。私には自覚はないが、どうやら大阪先生が「池下凪さん(私)は数学的なセンスが優れている人だった」という紹介をしていたようで、名前だけ認知しているようだった。


「次の土曜日、大学院受験生向けの説明会が行われるときに研究室の説明会にOGとして行きますが、よかったらそのとき来てくれませんか? 14:00です」


 私はそう伝えた。彼は、わかりました、と伝えてくれた。


 当日、研究室にOGとして向かう。大学のキャンパスに来るのは約3ヶ月ぶりだ。6年間通っていたはずなのに、妙に懐かしく感じてしまう。私は研究室の方まで向かっていった。


 私の修士論文のテーマは「大規模言語モデルを用いた手話認識の自然言語翻訳」だ。手話というのは独立言語であり、音声言語とは全く異なる文法や語法が存在する。当然日本語と1対1で対応できるわけではない。その一方で、手話は言語である以上、文法は存在し、「手話で伝えたい内容」というものも存在する。それをLLMを用いて自然言語に書き起こすというのがタスクだ。


 もちろん、手話にも言語は複数存在し、決して簡単なものではない。それでも、翻訳で使用されるBLEUといったスコアは少しであれ確実に減少しているのが現状だ。


 自分は今日のために作ったスライドを用いて、OGとして研究結果の内容を報告した。Hくんはまだ来ていないようだったが、SNSを見てみると12時頃に来るといっていた。私は彼を待ち続けていた。

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