第111話:転移事故、魔族の城へ
ギグスが投げた転移壺は、壇上に当たった瞬間、
眩い光を放ちながら転移魔方陣を広げた。
その光を見たマリアンヌは、反射的に壇上から飛び降りる。
次の瞬間──
アメリア、クラリッサ、バックス、エレン、ローラの五人が
光に包まれ、壇上から消えた。
講堂には、生成魔導士たち数十名だけが取り残される。
ギグスは固まったまま、震える声でつぶやいた。
「……あ……やっちゃった……」
マリアンヌはギグスの胸ぐらを掴まんばかりに詰め寄る。
「……ギグス! どこに飛ばしたのよ!!」
「……レヴィアス城内……」
「アホかァァァ!!」
マリアンヌの絶叫が講堂に響き渡った。
---
■ レヴィアス城・地下ホール
石造りの巨大なホール。
壁には古代魔族の紋章が刻まれ、
鎧をまとった魔族たちが整列していた。
「お! 来たな!」
魔族士長が声を上げる。
彼らは“生成魔導士”が転移してくるのを待っていたのだ。
転移光が収まり、現れたのは五名。
アメリア、クラリッサ、バックス、エレン、ローラ。
互いに顔を見合わせ、状況を掴めずにいる。
魔族士長は首をかしげた。
「……あれ? 少ないな……まぁいいか」
クラリッサは周囲を見渡し、眉をひそめる。
「ここは……どこだ……?」
魔族士長は胸を張り、堂々と告げた。
「レヴィアス城へようこそ。
さぁ、ついてきてくれ」
アメリアはローラを担ぎながら、バックスに小声で尋ねる。
「……レヴィアス城って……」
バックスは低く答えた。
「……ああ……おそらくだが、
俺たちを“生成魔導士”と勘違いしてる」
エレンも頷く。
「……そのようですね……」
アメリアはローラを抱え直し、深く息を吸った。
「……とにかく、ついていきましょう」
五人は魔族士長の後ろに続き、
レヴィアス城の深部へと歩みを進めた。




