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第6話「第一フォーズ人、ダイノス」


──ジャイアントボアの巣。


 目の前には屈強そうな戦士。兜を被ってはいないから、男だという事は分かる。頬に一本傷があり、目つきからは何度も死線を越えてきた自信が見える。


 あぁ、この惑星の人間の見た目は、地球と変わらないんだなー。と、現実逃避をしていると、男が話しかけてくる。


「おい、聞こえないのか? こんな危険な森で一体何をしているんだ?」


 ……危険な森? そりゃそうか、あんな馬鹿デカい猪が出る森、危険に決まってるか。

 アルミシア? ちょっと話があるから出てこいよ。


「おーい! 何をずっと黙ってるんだ?」


「あぁ、いや、ちょっと迷っちゃって。

 ここ、どこなんですか?」


 森に、静寂が落ちた。チュンチュンと鳴く鳥のさえずりだけが俺と戦士の間を繋ぐ。


「どこって、ここはジャイアントボアの巣って呼ばれてる森だよ。って、おい! これは……」


 男の視線は、倒れている巨大猪に釘付けになっていた。ジャイアントボアの巣? これよりデカい猪がいるってことかよ。

 やっぱり地球にすれば良かったな。


「コイツは……ジャイアントボア」


 そうなんだ。これが、ジャイアントボアだったのか。

 ……これがジャイアントボア!? 良かった。これより大きいのがゴロゴロいるわけじゃないんだ。

 でも、次出くわしたら絶対死ぬな。これだって、勝手に死んだだけだし。


「まさか、この森の主をお前が? 単独討伐だと? しかも手ぶら、それにその服は……」


「いやいや、俺は何も。討伐だなんて、って服?」


 いきなり猪──いや、ジャイアントボアに追いかけられていて気にしてなかったが、俺の服装はスーツだった。え、じゃあそのままこっちに来た感じなの?

 転生ってそんな感じ?


「しかも顔もよく見たら中々男前じゃないか。

 ……アンタ名前は?」


 姿形は変わってるのか。俺の顔は良くも悪くも普通だからな。男前か、むふっ。


「俺は、大石裕二。ユージでいいです」


「そうか、ユージ。俺はダイノスだ。

 家名もあるのか、ユージは貴族かなんかか?」


「いや、そんなんじゃ……俺の田舎がそう名乗ってるだけです」


 貴族以外は家名が無いのか。これからはユージとだけ名乗ろう。

 っていうか、何で言葉が通じてるんだ? この惑星は日本語が通じるのか?


 そうだ、ステータス画面に何か書いてないかな。

 ステータス画面ー、出てこーい。


 そう頭の中で言うと、出てきた画面。スキルの欄を見てみる。


 所持スキル 『成長限界無し』、『言語理解』


 あぁ、これか。言語理解はありがたいな、ナイスだアルミシア。飛ばした先は最悪だがな。


「おい、ユージ? また黙ってどうしたんだ?」


「あぁ、ごめんなさい。ちょっとステータス画面を……あれ、消えない。おい、消えろ消えろ」


 手で振り払おうとすると、フッと消えていく画面。


「何やってんだ? ステータス画面は頭で考えるだけで出たり消えたりするもんだぞ?」


 あ、そうなの?


「そうなんですね、ウチ田舎で……。

 あっ、俺のステータス画面見えちゃいました?」


 俺は恐る恐る尋ねた。あんな貧弱ゴミ能力を見られたなら恥ずかしすぎる。


「はぁ? お前、どんだけ田舎にいたんだ?

 他人のステータス画面は見えないってのは、常識だぞ?」


 常識? 知るかよ。俺はさっきこっちに来たんだよ。


「ははは……」


「それよりユージ、このジャイアントボア、どうやって処理するんだ? 見たところ、何も持ってなさそうだが」


「へっ? 処理?」


「ジャイアントボアだぞ? 毛皮も高く売れるし、魔石だって取れる。おい、まさかそれも知らないのか?」


「ははは……」


「どんだけ田舎者なんだお前。じゃあコイツの処理は俺がしてやる」


「えっ、いいんですか?」


「なぁに、ここで会ったのも何かの縁だ」


 そう言うとダイノスは慣れた手つきでジャイアントボアを解体していく。


「ユージ、お前これからどこに行くんだ?」


「それが、全然地理に詳しくないので。

 この辺りに街はありますか?」


「そうだな、ジャイアントボアの脅威が無くなった報告がてら、俺が拠点にしてる街に行くか!」


 おぉ、優しすぎるぞダイノスよ。俺、この男に付いていこう。


「よろしくお願いします」


「ハハハハッ! 良いってことよ!」


 ダイノスの解体ショーを見届けたあと、二人でダイノスが拠点にしている街に行くことになった。

 これも、運に全振りしたおかげかもしれないな。




 次話へ続く

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