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第4話「〇ボタンの罠」


──転生管理局。


「じゃあ、振り分けていくぞ……!」


 俺は手持ちのポイント1000をそれぞれに振り分けようとカーソルを合わせていく。

 項目は、筋力、敏捷、耐久、魔力、器用、運。


「コントローラーの上下でカーソルを合わせて、左右で数値を変えてね♪」


 じゃあまずは筋力だな。えーっと、ちょっと待て。数値の基準が分からんぞ。


「振り分けるって言っても、どれだけ上げればどうなるのか分かんないんだが?」


「あぁ、そっかそっか♪ 地球には元々無かったんだったね!」


 そうだな、お前がそう言ってただろ?


「例えば、俺はバスケ選手くらいの筋肉量が好きなんだが」


「バスケ選手かぁ。まぁ、多い少ないはあるけど、細身の選手で40くらいかなぁ」


 なるほど、ムキムキの身体は暑苦しいからそのくらいがベストだな。んっ? 40?


「……ボディビルダーは?」


「ボディビルダーは凄いよぉー♪ なんと、100前後もあるんだから!」


「あのー、アルミシア、いや、女神様?

 僕の手持ちポイント、1000もあるんですけど……」


「しかも初期設定でね♪ レベルは当然1だよ♪」


「やっぱりチートじゃねぇか! 全部平均的に振り分けたら最強戦士の出来上がりだよ!」


 するとアルミシアはまたしても不敵な笑みを浮かべながら人差し指を立ててきた。

 チッチッチ、じゃねぇよ。この女神、絶対煽りを楽しんでるだろ。


「それは、地球の基準でしょ? ユージ君っ♪」


「えっ?」


「惑星フォーズの戦士たちは、筋力200超えがぞろぞろいますわよ、オッホッホッホ!」


 この女神……煽りの数値も高いのか。煽り耐性はどこを上げればいいんだ?


「だから、平均的にすれば確かに強いけど、その道の達人には──勝てないね♪」


「なんだ、結局努力しろって話か」


「そうでーす♪ 最初から、俺最強! 魔王もワンパン! じゃあ、楽しくないでしょー?」


 まぁ、それもそうだ。まだ初期レベルなんだし、努力次第で最強にもなれる。要するに、それも俺次第ってことか。


 ……んっ? 魔王?


「今、魔王って言いました?」


「そりゃあ、魔物がいるんだから、それの王様はいるでしょー! もう、ユージ君ったら♪」


「やっぱり別の惑星に……」


「えっ? もう決定しちゃったから戻れないよ?

 そのために最初に説明したんだから♪」


「魔王とは一言も言ってねぇよ!」


 騙された……。素直に地球にしておけば良かった。初期数値高めで現実世界で無双主人公になれたのに……。


「ユージ君? おーい、帰っておいでー?」


 細々と魔物を倒しながら、ゆっくり過ごそう……。そうだ、畑でも耕しながら自給自足も悪くないな。

 家を建てて、彼女とかも作って、のんびり第二の人生を謳歌しよう。うん、そうしよう。


「帰ってこーい!」


 アルミシアに頭を叩かれて正気に戻った。

 あれ? 俺、何してたっけ?


「ちゃんと振り分けて、レベルが上がれば全体的に強くなるから大丈夫!」


「えっ? でも筋トレしないと筋力は上がらないんじゃ……」


「それは地殻の地球! 龍殻では、それと別にレベルアップで全体の数値も変わるの!」


 ほほう。


「その上がり幅が初期数値で決まるから、慎重に振り分けてね♪」


「どういうこと?」


「例えば、初期200と10ではレベルアップ時の上がり幅が違います♪ 倍率は0.5倍です!」


 なるほど、筋力200に振り分けてレベルアップすれば一気に300になる。逆に少ない10だと15にしかならないのか。

 そして初期数値1だとレベルアップしてもほとんど伸びない。


「じゃあ、こんなふうに運に全振りしたら、レベルアップしても運ばっかりしか上がらないのか」


 試しにステータス画面を操作する。


 筋力 1

 敏捷 1

 耐久 1

 魔力 1

 器用 1

 


 そして──


 運 1000


 蜘蛛の巣グラフがもはや蜘蛛の巣ですらなくなっていた。


「うわ、ひど」


「そうでーす! なので、万遍なく振り分けるか、偏らせるにしても多少はポイントを残しておかないと後々詰みまーす♪」


「だよなぁ……」


 どう見ても地雷ビルドだ。

 俺は苦笑しながらステータス画面を閉じようとした。


「えーっと、キャンセルは……」


 そして何も考えずに押した。

 いつもの癖で。

 プレ〇テの〇ボタンを。


「あっ、そのボタンは──」


『ピーッ! ステータス振り分け完了。転生を開始します』


「……は?」


 一秒遅れて理解する。


「いやいやいやいやいや待て待て待て待て!」


「あちゃー、それでは行ってらっしゃーい♪」


「おいぃぃぃぃぃーっ!!」




 次話へ続く

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