第3話「特典その二、おまけでその三」
──転生管理局。
「それじゃあ、まずはステータスの説明からねー♪」
「ステータスってことは、ゲームみたいに筋力とか魔力とかが数字で見えるのか?」
「そうそう♪」
「いや、待て」
「ん?」
「それっておかしくないか?」
「何が?」
「人間を数字で表せるわけないだろ」
「あー、そこ引っ掛かる人結構いるんだよね♪」
アルミシアは人差し指を立てる。
「じゃあユージ君。地球にいた頃、筋トレしたら筋肉ついた?」
「そりゃつくよ」
「勉強したら知識増えた?」
「当たり前だ」
「つまり成長したんだよね?」
「まぁな」
「それがレベルアップ♪」
「は?」
思わず間抜けな声が出た。
「いやいやいや。筋トレは筋トレだろ。レベルアップじゃない」
「見えなかっただけだよ♪」
「見えなかった?」
「地球だってレベルはあったの。筋トレしたら筋力が上がる。勉強したら知力が上がる。剣の練習をしたら技術が上がる」
「まぁ、それはそうだな」
「ただ、地球には魔素が無かった♪」
「魔素?」
「だから確認できなかったの♪」
アルミシアがパチンと指を鳴らす。
目の前に透明な画面が現れた。
「龍殻の惑星では、魔素を使って魂の成長を可視化できるの♪」
「つまりステータスって……」
「元からあったものを見えるようにしただけ♪」
「マジかよ」
てっきり神様が適当に数字を決めてるのかと思った。
「じゃあ何か? 地球で毎日筋トレしてたボディビルダーは、実際に筋力値が高かったってことか?」
「高いよー♪」
「東大生は?」
「知力高いよー♪」
「プロ野球選手は?」
「敏捷と器用、筋力も高いねー♪」
「へぇ……」
思ったより納得してしまった。
ということは。
「レベルアップって何なんだ?」
「成長したってこと♪」
「いや、それは分かる」
「分かってないねー」
アルミシアはニヤリと笑う。
「地球は自己研鑽だけ♪」
「うん」
「でもフォーズには魔物がいる♪」
「うん?」
「魔物は魔素の塊♪」
嫌な予感がした。
「まさか……」
「倒すと魔素が出る♪」
おい。
「吸収する♪」
おいおい。
「レベルアップ♪」
「ゲームじゃねぇか!」
思わずツッコんでしまったが、アルミシアの説明で妙に納得してしまった。
でも、一つ疑問が残る。
「じゃあみんな筋トレして勉強してってやってたら、全員同じ数値になるじゃないか」
「良いところに気付きました♪ 女神バッチがあったら進呈してるよ、ユージ君っ♪」
あぁ、コイツはあれだ。元気の数値が高いんだ。
「全ての生き物には得意、不得意があるの♪
そして、成長限界も。だからみんな違って、みんな素敵なんだねー♪」
なるほど、人によって必要経験値が違う。そして限界もある。
だからどれだけ勉強しても、筋トレしても、トップになる奴には追いつけないってことか。
「なんだか、悲しい気持ちになるよ。どれだけ頑張っても報われないじゃないか」
「そんな事ないよー♪ 限界突破っていうスキル覚醒があれば、上限を超えて成長出来るの♪」
スキル? 限界突破? またゲーム的な話だな。
「そんなのも、地球にはあったってか?」
「あったよー♪ ほとんどの一線級で活躍している人たちは、本人の知らない所で限界突破していたの。まさに、努力は裏切らないってやつだね♪」
なんと。じゃあ俺の知ってるあの人も、テレビで見たあの人も、努力で限界突破してたのか……。
「そこで! 最後の特典、その三!
『成長限界無し』のスキルを差し上げまーす!」
ん? なにか聞こえたぞ? 成長限界無し?
さっきまで話してた努力はどうした。
「そんなの、チートじゃん」
「チッチッチ。甘いよ、ユージ君」
アルミシアは人差し指を立てて、余裕そうな表情で煽ってくる。自然と拳に力が入る。
「限界が無いって言っても勝手に成長はしないのだよ♪ 魔素を多く含んだ魔物、これを倒さない限りレベルは上がらない。まぁ、自己研鑽で努力してもいいけどね♪」
「なるほど、成長するもしないも自分次第ってことか」
「そういうことっ♪ もうステータスは理解出来たかな? じゃあ初期数値を振り分けてみよう♪」
コントローラーを握る手に、力が入る。
手汗で滑りそうになったコントローラーをズボンで拭きながら、画面を見つめる。
『振り分けポイント1000』
これを各ステータスに振り分けていくんだな。
「なんか、ゲームの初期設定みたいで楽しいな」
次話へ続く




