↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/88

第22話「はじめてのダンジョン探索」


──レグシア近郊、謎のダンジョン1F。


「リディア! ここは危険だ! 帰ろう!」


「コウモリくらいで何言ってんのよ!?」


 ここは俺に任せて、行け! くらいのテンションで言ってみてもダメだった……。

 こいつ、どんだけ冒険が好きなんだよ。


 これはアレか。このダンジョンを踏破するまで帰らない気なんじゃ……

 流石にそれはしんどいぞ。


「どこまで進む気なんだ?」


「どうだろう。このダンジョンがどのくらい広いか分からないけど、早いとこ食料は確保したいわね」


「食料?」


「えぇ。水も必要ね」


 泊まる気じゃん! こいつ、ダンジョンに泊まる気じゃん!


「夕方には帰るんじゃないのか?」


「日帰りなんて勿体ないじゃない」


 なにが!? なにが勿体ないの!? 今日限定のダンジョンだったら分かるけど、明日もあるだろうし良くない!?


「そんな、突然消えたりしないから、また後日探索すればいいじゃん」


「それこそ勿体ないわよ! 誰かが魔核を破壊したらどうするの?」


「まっ……魔核?」


 うん。リディアさん、君の目を見れば何を言いたいのか分かるよ。

 きっと、魔核ってのはこの世界の常識なんだね。


「アナタまさか……」


「うん、知らないね」


「ハァ……。いい? 魔核っていうのはね、言わばダンジョンの心臓なの。魔核が周辺の魔素を吸って、ダンジョンという生き物を成長させてる」


「ダンジョンって、生きてんの!? 成長って……

 じゃあなにか? 明日来たら中が変わってるのか?」


「そんな急激な成長は聞いたことないけど。長い年月をかけて、ゆっくり成長してるの」


 なんと……。じゃあ、ダンジョンの入り口はまさに口ってことか?

 俺たちが歩いてるここは、食道か? なんか、食べられてるみたいで気持ち悪いな。


「おっ、銅貨見っけ」


「ちょっと! 罠かもしれない──」


 カチッ──バシュンッ!


 俺は、まるで硬直したかのように動きを止める。

 銅貨を拾おうと身を屈めた、その瞬間。


 さっきまで俺の頭があった位置を、一本の矢が凄まじい勢いで横切った。


 ドスッ!


 矢は背後の壁に深々と突き刺さり、矢羽だけが小刻みに震えている。

 俺は、わけもわからずリディアに視線を向けると、そそくさと足をどけていた。

 リディアの足があった地面の凹みが、ゆっくりと元に戻る。


「あのー、リディアさん? これは一体……」


「どうやら、罠のようね」


 いや、お前だよな? そこの地面を踏んだら作動するタイプの罠だろこれ。


「罠っていうのはね、ダンジョンが自分の魔核を守るために張り巡らせてるの。

 魔物も同じ。最奥部に近付くにつれて、魔物も罠も凶悪になっていくわ」


「聞いてないことをつらつらと……おいっ!

 誤魔化してるだろ! リディアだよな? 今、罠発動させたの!」


「えぇ、そうよ? 悪い?」


「開き直るのは違くない!?」


 このままじゃ魔物に殺される前にリディアに殺されてしまう……。


 んっ? あれは……


「リディア! 魔物だっ! 魔物がいるぞ!」


「大きい声出さなくても見えてるわよっ!」


『グルルルルッ!』


 あぁ、やっぱり帰れば良かった……。

 ジリジリと近付いてくる狼のような魔物が二匹。

 あっ、二匹の後ろからもう一匹来た。はい、おしまいおしまい。


「リディア、これもう無理だろ……もうヘルフレイムでもなんでもいいから撃ってくれ。

 噛み殺されるより、一瞬で死にたい……」


「何言ってんの、このくらいで」


 そう言うと、リディアが杖を横に構える。

 まるで弓を引き絞るかのように、左手が空中へと伸ばされた。

 その指先と杖の先端を結ぶように、赤い光の弦が張られる。


「──ファイアアロー」


 弦が引き絞られる。

 すると、杖の先に三本の炎の矢が現れた。

 矢じりは白く輝き、その周囲では熱気によって空気が揺らめいている。


「いけっ!」


 リディアが指を離した瞬間、炎の矢は弦から解き放たれた。


 ヒュンッ!


 三本の矢は一直線に飛び出し、宙で扇状に広がる。

 そして──。


 ドスドスドスッ! ──ボッ!


 放たれた三本の矢は、見事に狼の魔物を貫き、その瞬間、小さく爆ぜるように炎が上がった。


「ちゃんと、火加減も出来るのかよ……」


「だから最初からずっと言ってるじゃない」


 これなら、案外大丈夫なのかも──いやいや、騙されちゃダメだ! 戦闘は完全にリディア任せになるから、慎重に判断しなければ……。


「よし、それじゃあそろそろ──」


「帰らないわよ?」


「だから、何でわかるんだよ!」




 次話へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。