↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/85

第10話「認定試験」


──最初の街レグシア、冒険者ギルド。


 俺は一人黙って様子を見守っている。何のかって? ダイノスとギルドマスターの口論をだ。


「何度言ったら分かるんだダイノス!

 お前にそんな事を決める権限はない!」


「分かってねぇなぁ、マスターは!

 ユージみたいな強者をFランクスタートなんて、ありえねぇだろ!」


 ダイノス、何をそんなに熱くなってるんだ。マスターもそう言ってるんだし、もういいじゃないか。

 何だったら、このまま冒険者登録を拒否してくれてもいいんだよ? 俺としては好都合だ。


「おい、ユージ! お前もなんとか言ったらどうだ!?」


 俺に振るなよ。いや、待てよ? 俺がここで「だったらもういいぜ」って拒否して出ていけば、冒険者にならずに済むのか?

 その足で、商業ギルドへ行けばいいじゃないか。せっかく出会えたダイノスには悪いが、このままじゃ地獄への扉が開いてしまうからな。


 よし、言うぞ──。


「お待たせしました! こちら引き取り代金と、登録証になります!」


 俺が口を開こうとした時、エリスちゃんがお盆に金色に輝く硬貨とカードを載せて持ってきた。

 椅子に座るというより、椅子に乗る方が近いその動作が、また可愛いな……。


「ええと、こちらが素材の引き取り代金になります」


 手渡された金貨は五枚。価値は分からないが、綺麗な色に目を奪われる。


「ごめんなさい。この金貨ってどのくらいの価値があるんですか?」


 エリスちゃんは、口をあんぐりと開けて驚いていたが、何かを悟って説明してくれた。

 きっと、人の少ない危険な地域に住んでいたからお金を知らないんだ。みたいに思ったんだろうな。


 聞けば、金貨一枚あれば宿屋に半年は泊まれるそうだ。おおよそ二十万円程の価値か。

 そして金貨の他に、銀貨、銅貨もあって、それぞれ一万円、百円って感じだな。


 そして、俺の手元には金貨が五枚。一夜にして百万円を手に入れてしまったようなものだ。

 まさに、冒険者ドリームってやつだな。俺にとっては悪夢でしかないが。


「あの……ところであの二人は何を言い争ってるんですか?」


「いいのいいの、気にしないで。ところで、これが登録証?」


「え、あぁ、はい。こちらが登録証になります。

 ごめんなさい、これにはFランクって書かれてますが、ユージさんならきっとCランク、いや、Bランクに相応しいのに……」


 いや、いいよ? Fランクで十分。エリスちゃんもダイノスと同じく、謎の病に冒されてしまったようだ。


「一応、一つ上のランクまで依頼は受けられるので、Eランクまでは行けます。Eランクには討伐依頼もありますので」


 結ッッッ構です! Eランクだったら、スライムとか序盤の敵って感じだろうが、なんせこの俺は、そんな雑魚モンスターにも勝てる要素が無いからな。


 俺は万年薬草採取をして暮らし、いつの日か「薬草ハンターのユージ」と呼ばれるんだ、きっと。

 まぁ、それでもいいよ。地道に筋トレでもして、人並みになるようにはするさ。


「あそこにあるのは、依頼ボードかなんかか?」


 俺は、ギルドの壁に据え付けられた紙の貼られた板を指差す。


「えぇ、そうですよ」


「ちょっと見てこようかな」


「えっ? いいんですか?」


 エリスちゃんはそう言うと、いまだに言い争いを続ける二人をチラッと見る。

 あの二人は放っておいたほうがいいに決まってる。下手に割って入ると、話がどう転ぶか分からないからな。


 俺はこの、Fランクの登録証さえあれば大丈夫。

 もう、恐ろしい魔物討伐には行かなくていい“安全パス”を手に入れたようなものだ。

 何か言われても「だって俺はFランクだし」で乗り切れる。


「いいの、いいの。好きにさせとけばいいよ」


 そう言うと俺は、依頼ボードへと向かった。エリスちゃんの「はわわ……」みたいな表情が気になったが。まさかまた、何か変な誤解を与えたのか?


 気にしてもしょうがない。俺は、依頼ボードを確認する。

 薬草採取は……あった、これだな。

 銅貨五十枚か。まぁたしかに、そんなものか。


 一日中採取して、日給五千円。生活出来るかギリギリだな。

 ちなみにEランクの討伐依頼は……まぁ一応ね、一応。スライム討伐銀貨一枚、ゴブリン討伐銀貨一枚。討伐数で多少値は上がるみたいだな。


 うーん、なんとも世知辛い。一撃で百万円を手に入れた後だから、どうしても少なく感じるなぁ。


「おい! ユージ! 話がまとまったぞ!」


 ダイノスが声をかけてきた。やっとか、随分長いこと話してたな。


「それで? どうなったんだ? 俺はFランクでも別に──」


「今から俺と、ワイバーンを倒しに行くぞ!」


 ちゃんと割って入ればよかった!!




 次話へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。