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館護戦線  作者:
終幕のあとで
64/76

燃え尽きた戦場

凄まじい閃光、暴風、衝撃。


三人の身体が一瞬で吹き飛ばされ、視界が完全な白色へ塗り潰された。


聞こえるのは耳鳴りみたいな不快音だけだった。


そして、その白色の向こう側で、決戦の終わりを告げる音だけが静かに響いていた。



________________



最初に意識を取り戻したのはララメだった。



ぼやけた視界のまま空を見上げながら、自分の身体から熱が消えていく感覚をゆっくり感じ取る。


黒炎が消えていくのは見なくても分かった。


あれほど強く燃えていた力がもう残っていない。


身体は鉛みたいに重く、指先すらまともに動かせなかった。


それでもララメは、残った体力を振り絞るみたいに声だけを零す。


ララメ「…霣、羅……ぁ…あり、がとぉ…」


掠れた声が静かな更地へ溶けていく。


霣羅が力を貸してくれていた証みたいに存在していた大きな刀も、気づけば跡形もなく消えていた。


……もう、会えない。


その事実を、ララメは嫌というほど理解してしまう。


頬を伝う涙だけが、まだそこに感情が残っていることを教えていた。





しばらくしてから、次に身体を起こしたのは蒼柄だった。


全身へまとわりつくような違和感が残っている。


呼吸をしているはずなのに自分自身への生気を感じない。


身体の内側が空洞になったみたいな、不気味な感覚だった。


蒼柄は乱れる視界を押さえながら、なんとか立ち上がる。


崩れた瓦礫に焼け焦げた地面。爆発の痕跡だけが広がる戦場を見回し、その途中で倒れているララメの姿を見つけた。


蒼柄は一瞬だけ息を呑み、ふらつく足取りで近づく。


そして胸元が微かに上下しているのを確認し、小さく安堵の息を漏らした。


生きている、その事実に少しだけ肩の力が抜ける。


…けれど次の瞬間、蒼柄の表情が強張った。


メアリーの姿がどこにも無かった。


蒼柄「…メアリーさん…?」


掠れた声が静かな更地へ落ちる。


蒼柄は倒れたララメの隣へ腰を下ろし、支えるみたいにそっと寄り添った。


ララメ「蒼柄くん…よかったぁ……」


蒼柄「えぇ。ララメさんも、よくご無事で……」


どちらも力のない声だった。

戦いが終わった安心感より、身体の限界が先に来ている。


ララメはほとんど目を閉じたまま呼吸を繰り返していた。けれど、その表情にはほんの少しだけ安堵が浮かんでいる。


ただ蒼柄だけは違った。胸の奥に残る不安が消えない。


メアリーの姿がまだ見つからない。



蒼柄はララメを支えながら、ゆっくり首を動かして周囲を見回した。


白煙の残る戦場。けれどどこにもメアリーの姿が存在していない。


その事実がじわじわと蒼柄の呼吸を乱していく。


もしかしたら、トゥトゥと共に消えてしまったのではないか。



失わないと決めたはずなのに。



守ると誓ったはずなのに。



結局また、自分は誰も守れなかったのではないか。



そんな考えが頭を過り、蒼柄の鼓動が急激に早くなる。


視界の端でノイズが弾ける。

それでも蒼柄は必死にメアリーの姿を探し続けていた。

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