燃え尽きた戦場
凄まじい閃光、暴風、衝撃。
三人の身体が一瞬で吹き飛ばされ、視界が完全な白色へ塗り潰された。
聞こえるのは耳鳴りみたいな不快音だけだった。
そして、その白色の向こう側で、決戦の終わりを告げる音だけが静かに響いていた。
________________
最初に意識を取り戻したのはララメだった。
ぼやけた視界のまま空を見上げながら、自分の身体から熱が消えていく感覚をゆっくり感じ取る。
黒炎が消えていくのは見なくても分かった。
あれほど強く燃えていた力がもう残っていない。
身体は鉛みたいに重く、指先すらまともに動かせなかった。
それでもララメは、残った体力を振り絞るみたいに声だけを零す。
ララメ「…霣、羅……ぁ…あり、がとぉ…」
掠れた声が静かな更地へ溶けていく。
霣羅が力を貸してくれていた証みたいに存在していた大きな刀も、気づけば跡形もなく消えていた。
……もう、会えない。
その事実を、ララメは嫌というほど理解してしまう。
頬を伝う涙だけが、まだそこに感情が残っていることを教えていた。
しばらくしてから、次に身体を起こしたのは蒼柄だった。
全身へまとわりつくような違和感が残っている。
呼吸をしているはずなのに自分自身への生気を感じない。
身体の内側が空洞になったみたいな、不気味な感覚だった。
蒼柄は乱れる視界を押さえながら、なんとか立ち上がる。
崩れた瓦礫に焼け焦げた地面。爆発の痕跡だけが広がる戦場を見回し、その途中で倒れているララメの姿を見つけた。
蒼柄は一瞬だけ息を呑み、ふらつく足取りで近づく。
そして胸元が微かに上下しているのを確認し、小さく安堵の息を漏らした。
生きている、その事実に少しだけ肩の力が抜ける。
…けれど次の瞬間、蒼柄の表情が強張った。
メアリーの姿がどこにも無かった。
蒼柄「…メアリーさん…?」
掠れた声が静かな更地へ落ちる。
蒼柄は倒れたララメの隣へ腰を下ろし、支えるみたいにそっと寄り添った。
ララメ「蒼柄くん…よかったぁ……」
蒼柄「えぇ。ララメさんも、よくご無事で……」
どちらも力のない声だった。
戦いが終わった安心感より、身体の限界が先に来ている。
ララメはほとんど目を閉じたまま呼吸を繰り返していた。けれど、その表情にはほんの少しだけ安堵が浮かんでいる。
ただ蒼柄だけは違った。胸の奥に残る不安が消えない。
メアリーの姿がまだ見つからない。
蒼柄はララメを支えながら、ゆっくり首を動かして周囲を見回した。
白煙の残る戦場。けれどどこにもメアリーの姿が存在していない。
その事実がじわじわと蒼柄の呼吸を乱していく。
もしかしたら、トゥトゥと共に消えてしまったのではないか。
失わないと決めたはずなのに。
守ると誓ったはずなのに。
結局また、自分は誰も守れなかったのではないか。
そんな考えが頭を過り、蒼柄の鼓動が急激に早くなる。
視界の端でノイズが弾ける。
それでも蒼柄は必死にメアリーの姿を探し続けていた。




