"自由"の成れの果て。
それは、まだ世界がまともに成立していた頃の話
トゥトゥと呼ばれる存在は、もともと戦闘のために作られた人形ではない。
趣味として生まれた、ただの“飾られるための人形”だった。
だがその完成と同時に、父親である“製作者”は命を落とした。
理由は明確ではない。
しかしその場には抵抗の痕跡が残り、崩れた作業台と散乱した道具の中で人形だけが残された。
その瞬間瀕死の製作者が最後に触れたことでトゥトゥに奇妙な現象が起こる。
“命”と“製作”という概念そのものが、その人形へと流れ込んだ。
それが、トゥトゥの始まりだった。
目覚めた彼女が最初に見たのは、製作者を殺した者たちの姿だった。
だが恐怖も悲しみも、そこには存在しなかった。
ただ、「自分は最終的に壊される存在として生まれた」という事実だけが残っていた。
トゥトゥはその事実から逃げた。
そして“自由”という概念に執着するようになる。
与えられるだけの存在ではなく、自ら作り出す存在へ。
その結果としてトゥトゥは製作能力を基盤にして"自身の自由そのものを成立させる能力”を独自に構築した。
それは、世界に存在しなかった力だった。
やがてトゥトゥは自らを“母親”と定義し始める。
生み出す側に回ることで初めて自由になれると考えた。
その実験の対象は、次第に“生きた存在”へと移っていった。
拉致、改造、変質、再構築。
人としての形を保ったまま別の存在へと作り変える実験。
その過程でいくつもの失敗と死が積み重なったが、彼女にとってそれはただの“素材の消耗”でしかなかった。
感情ではなく実験結果としての扱い。
そしてついに、彼女の実験は“成功”に近い成果を見せる。
一部の対象は生存し、変質に耐え、能力にすら適応し始めた。
だがその成功は同時に世界との決定的な断絶を生む。
彼女の作り出す“自由”は、あまりにも異常だった。
存在の形を曖昧にし、生命の定義を崩し、肉体と概念の境界を壊していく。
やがて彼女は二人の存在と出会う。
「シュア・ノーツァ」「燈 角灯」
この二人は彼女の実験において特異な耐性を見せた存在だった。
そして同時に、初めて“逃げた実験体”でもあった。
トゥトゥはそれを理解できなかった。
なぜ壊れないのか
なぜ離れていくのか
それでも彼女は追った
そして追跡の末、雷と崖の狭間で二人を見失う。
その瞬間、初めて彼女の中に空白のような心の隙間が生まれた。
気づけば彼女はひとつの建物の前に立っていた。
記憶は途切れ、衣服は血に濡れていた。
その前で出会ったのが、現在"狩"と呼ばれる組織の人物だった。
怒りと混乱、そして壊れた認識のまま。
この世にトゥトゥとして存在してから、まともな学習なんて、心の教育なんて受けてるわけがない。
トゥトゥはこう結論づける。
「壊すことこそが正しく、愛情である」と。
学びも矯正もなかったトゥトゥには、それが"本物の愛情"だと思ってしまっていた。
その日から、彼女は“狩”の一員として活動を始めた。
それは任務でも使命でもなく、ただの気分だった。
破壊し、奪い、壊れたものを見るたびにわずかに満たされる空白。
そしてあの日。彼女は再び二人と再会する。
角灯とシュア。
だがその瞬間に起きた結果は、もはや戦いではなかった。
ただの“破壊”だった。
そしてトゥトゥはその後目の当たりにした絆のようなものに飽きる。
そこには意味も、興味も、遊びもなかったからだ。
それ以降、彼女は“退屈”を抱えたまま生き続ける。
破壊はできる。
生み出すこともできる。
それでも何も満たされない。
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そして現在。更地と化した戦場で、私は初めて“押し返される感覚”を味わった
鬱陶しいララの電撃と、兄がどうたらこうたらと語っていたあいつの黒炎。
いつもうるさかったメアの腐敗と、変に家族の絆だとかを語って無様に消えた奴の銃。
アオはいちばんめんどくさい。消えかけのくせに。世界から孤立した存在のくせに、
……消えたくせに。
失わないためだとかほざいて立ち上がってきた。
でもそいつらは、かつて私が作り上げてきたどの実験結果とも違ってた。
“壊れながらも立ち続ける意思”
それは、私が最も理解できない概念だった。
壊したらそこで終わり。立ち上がる事も、ぴくりと動く事もなくただのごみになる。
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トゥトゥは笑う。
しかしその笑みは、かつてのような純粋な遊びではない。
初めて知ってしまった"敗北の気配"を隠すためのものだった。
そして壊れた世界の中心で彼女は理解する
__自分は結局「壊される側」に回る。
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あぁ、くだらない
本当にくだらない存在もいたものね
でも
反省も後悔もする気はない。
私は"自由に生きた"から。
ちょうどこの世界にも、戦闘にも、破壊にも飽きたところだし
やめるかぁ。
……つまんなかったし。




