壊される側へ。
ララメとメアリー、そして蒼柄の三人は紙一重で攻撃を避け続けていた。
トゥトゥ「あ”ーーー!!! うざったい!!!」
叫び声と同時に、トゥトゥの周囲から黒紫の毒液が四方八方へ撃ち出される。
蒼柄「っ! 伏せて!!」
三人は即座に反応した。
ララメが身体を低く沈め、メアリーは滑り込むように回避する。
蒼柄も崩れかけた身体を無理やり倒し込みながら毒液を避けた。
その間にも銃声が響き腐敗弾が飛ぶ。
黒炎を纏った電撃斬撃が空気を裂く。
押され続けていたはずなのに、少しずつ流れが変わり始めていた。
ララメ「まさかだけど、行ける可能性大?!」
メアリー「油断は…できないですが!!」
トゥトゥは苛立った表情のまま毒液を撒き散らし続ける。
けれど蒼柄だけは黙っていた。
避けては踏み込む。崩れかけた身体を引きずりながら、ずっとトゥトゥの動きを見続けている。
そして攻撃を避けた直後、蒼柄が低い声で言った。
蒼柄「自分の合図と共に、攻撃を叩き込んでください!!!」
トゥトゥ「……ふん、私にも聞こえるし……馬鹿なんじゃないの!」
鼻で笑う。
それでも蒼柄は視線を逸らさない。
メアリー「了解なのです!」
ララメ「おっけー!」
二人が即答する。
蒼柄はすぐに合図を出さなかった。
ララメとメアリーも理由を聞かない。
ただ蒼柄を信じながら、三人で絶え間なく攻撃を繰り返していた。
踏み込んで避けては撃ち込む。
一瞬だけ距離を取って呼吸を整え、また次の瞬間にはトゥトゥへ飛び込んでいく。
トゥトゥ「あ”っ、もう!!しつこいってば!!!」
怒声と共に拳が振り抜かれる。
ララメが黒炎を纏った刀で受け流し、その隙へメアリーの腐敗弾が撃ち込まれる。
さらに蒼柄が死角から短刀を突き立てようと飛び込む。
連携は荒いけれど止まらない。誰も退かない。
トゥトゥも流石に表情へ苛立ちを滲ませ始めていた。
そして、その瞬間が来た。
蒼柄が近くに残っていた木を勢いよく蹴り上げる。
砕けた幹を足場にし、そのまま一気に空中へ飛び上がった。
トゥトゥ「……は?」
視線が上へ、ちょうど真上へ向く
蒼柄はトゥトゥを見下ろしながら、限界寸前の喉で叫んだ。
蒼柄「今です!!!」
その声が響いた瞬間、三方向から殺意が重なる。
トゥトゥは反射的に頭上の蒼柄へ拳を振り上げた。
けれどその隙を二人は逃さない。
ララメが黒炎と桃色の電光を纏った刀を振り抜く。
メアリーが腐敗を宿した弾丸を真正面から撃ち込む。
そこへ蒼柄自身も、纏ったバグごと落下するように突っ込んでいった。
宿された意思、背負った想い。三人分では終わらない力が、一斉にトゥトゥへ叩き込まれる。
トゥトゥ「!?」
左右から叩き込まれる。
メアリーの腐敗弾。ララメの黒炎を纏った斬撃。そして蒼柄自身が纏う崩壊寸前のバグ。
三方向から同時に押し潰され、トゥトゥの表情が初めて大きく歪んだ。
トゥトゥ「や”っ、やめっ”!!」
叫び声と共に、トゥトゥの周囲から猛毒が噴き出す。さらに身体強化まで重ね掛けし、無理やり押し返そうとしていた。
空気が震え、地面が砕ける。更地になった戦場へ亀裂が広がっていく。
それでも三人は止まらない。
メアリー「協力してください、先輩っ!!」
腐敗銃へ込められた意思がさらに強まる。
ヤグの面影を宿した瞳が、真っ直ぐトゥトゥを見据えていた。
ララメ「ゔっ……お願い……霣羅!!!」
黒炎が爆発的に膨れ上がる。
刀身へ絡みついた炎と電光が混ざり合い、凄まじい熱量を放っていた。
蒼柄「二人を……失わない為にっ!!!」
崩れかけた身体がさらにノイズを撒き散らす。
存在そのものを削るみたいに、蒼柄は最後の力を無理やり叩き込んだ。
その瞬間だった。
ララメ、メアリー、蒼柄、そして…霣羅とヤグの五人分の意思が、一斉にトゥトゥへ流れ込む。
失いたくない。
終わらせたい。
守りたい。
そんな感情が濁流みたいに押し寄せる。
トゥトゥ「ぁ……もう……いっか………」
それは諦めにも似た、小さな声だった。
直後、核破壊みたいな爆発が戦場全体を飲み込む。
でもトゥトゥに他に流れ込んで来たものは、古い過去の記憶だった




