蒼き再会
どれほど時間が経ったのだろうか
ふたりは何かを話してたのか
それとも、ただ無言が続いていたのか
どちらにせよ、過ぎた時間は短くは無い
そして
ふたりが無言で座り込んでいるその少し後ろ。
瓦礫の影からひとつの人影がゆっくりと歩み寄る。
足音はほとんどしない。風に紛れて気配すら薄い。
「はぁ、困りますねぇ。“司令官さん”。最後まで始末してくれないと」
軽い口調にどこか呆れたような声の人間の青年の片手にはありふれた小さな刃物。
戦場では頼りなく見えるそれが、なぜか不自然なほど“確実”に見える。
触れれば終わるとでも言うように、静かに存在を主張していた。
青年は歩みを止めない。まっすぐ二人の背中へ向かっていく。
ララメは空を見上げたまま動かない。
メアリーもまた前を見つめている。誰も振り返らないから誰も気づかない。
背後から近づく“それ”に。
距離が縮まる。一歩。また一歩。あと数歩で、届く。
それでも二人はまだ気づかない。自分たちの命を奪う存在が、すぐそこまで来ていることに。
人影は何の迷いも足音もなく二人へ近づいていく。
呼吸音すら風に溶けていく
青年はそのままララメの真後ろで立ち止まり、ゆっくりとナイフを振り上げた。
細い刃先が景色を鈍く反射する。その瞬間。
ララメ「――っ」
背筋が粟立った直後遅れて本能が警鐘を鳴らし、反射的に振り返ろうとする。
……だが、もう遅い。
距離が近すぎる。避けられない。
メアリーも同時に異変へ気づいた。目が見開かれる。
メアリー「ララメさん――!!」
間に合わない。そう確信した瞬間
ぐにゃりとララメと青年の間が急激に歪む。
空間が壊れたみたいにノイズが走る。
景色が捻れ、色が混ざり、人の輪郭のような“何か”が強引に生成されていく。
_" バグ"
存在そのものを無理やり捻じ込むような不自然な出現。
そして次の瞬間。
キィンッ!!
鋭い金属音。振り下ろされたナイフが、別の短刀によって受け止められていた。
ララメ「……え」
目の前。自分を庇うように立っていたのは、一人の蒼い青年。
見覚えのある和服の背中。見覚えのある蒼い髪。見覚えのある立ち姿。
メアリーの息が止まる。
メアリー「……あ……」
その青年は振り返らない。
ただララメを守るように前へ立ち、短刀でナイフを押さえ込んでいた。
現れたのは本当に一瞬。まるで“どこか”から無理やり割り込んできたみたいに。
戦場の跡地の中で、その姿だけが異様なほど鮮明だった。




