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館護戦線  作者:
館護戦線
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みんなの朝

狩登場させたかったんですが

文字数の関係で、はい

薄いカーテンの隙間から入るやわらかい朝日。外から聞こえる鳥の声。


どこか遠くで鍋の蓋が鳴った。

目を開けると知らない天井。


綯緒はゆっくり瞬きをした。数秒何も考えない。それから、


「……ああ」


小さく息を吐き、昨夜のことを思い出す。


成り行きで泊まることになった館に騒がしい連中…信じられないくらい当たり前みたいに受け入れてきた館主ハウル。


まだ少しだけ現実味が薄い。

ふと隣を見ると。來菟がベッドから半分落ちていた。


綯緒「…何してるんだお前は」


來菟「んぁ、モテすぎて重力に愛されてる……」


綯緒「ただ落ちてるだけだ」


布団ごと引き上げてやる。その時朝の匂いがした。スープの匂い、焼けたパンの匂い、誰かが生活している家の匂い。


綯緒はぼんやり扉を見て


綯緒「……」


昨日まで自分たちがいた場所には無かった音だ。静かで、冷たくはなくとも暖かくはない必要最低限の空間。


ここは真逆。うるさいくらい皆が生きてる。


來菟「なぁ」


綯緒「なんだ」


來菟「なんかさ」


少しだけ目を細めて天井を見ながら。


來菟「朝があったかくね?」


綯緒「……」


來菟らしくない言葉に一瞬だけ視線を向ける。でも否定はしなかった。

すると…コンコンと控えめなノック


ニア「おにーさんたちー?」


アマネ「おきてるー?」


綯緒「…起きている」


扉がそっと開くと4歳と10歳というちっちゃい二人が、ひょこっと顔を出す。


ニア「おはよー!」


アマネ「ごはんできたよー!」


來菟、がばっと起きる。


來菟「えっっ天使!?朝から天使!?ここ天国!?」


綯緒「朝からうるさい」


ニア「パンいっぱいある!」


アマネ「いそがないとなくなっちゃうよ!」


來菟「戦争じゃねぇか!!!」


秒で支度開始。着替え、シワ整え、前髪かきあげ(?)ポーズ決める


綯緒はその様子を見ていつも通りだな、なんて小さくため息。でも口元がほんの少しだけ緩んでいる。


廊下に出ると、ソラがちっちゃい組を抱えて歩いている。


ソラ「あ、おはようございます!」


ぺこっと丁寧に頭を下げる。


ソラ「よく眠れましたか?」


綯緒「ああ。問題ない」


來菟「俺は夢の中でもモテてた☆」


ソラ「そうなんですか!來菟さんはかっこいいですから!」


本気で感心してる。純粋。


來菟「この子ピュアすぎない???」


そこへ。シロクラが後ろからひょこ。


シロクラ「あ起きた?寝癖やばいぞ來菟」


來菟「イケメンは寝癖すら芸術だから問題ない」


シロクラ「うわめんどくせー」


もう普通にタメ口で距離ゼロ。昨日会ったばかりだろ。


綯緒はそのやり取りをぼんやり眺める。


よそ者扱いも警戒も壁もない。最初から「同じ家の人間」みたいな空気。ハウルの声が食堂から響く。


ハウル「おーい!冷めるぞー!早い者勝ちなー!」


レイズ「うわマジか急げ!!」


ルガ「兄さん走るなうるさい」


ソラ「私達も行きましょー!」


騒がしい。笑い声だらけでうるさいのに、不思議と嫌じゃない。

綯緒は小さく息を吐く。


綯緒「変な家だな」


來菟「ん?」


綯緒「悪い意味じゃない」


少しだけ、本当に少しだけ…目元がやわらぐ


綯緒「…嫌いじゃない」


來菟「へへw素直じゃねーやつー!」


綯緒「俺らも行くのか、朝食」


シロクラ「いや当たり前だろ?ほら早くしねぇとなくなるぜー!」


來菟「うぉー!俺が1番だー!!」


綯緒「……良い館だな」


その言葉は朝の喧騒に溶けていった。



食堂の扉を開けた瞬間。


ふわっと焼きたてパンとスープの匂いが押し寄せた。


長いテーブルの上にはこれでもかってくらい皿が並んでいる。


丸パン、スクランブルエッグ、野菜スープ、ベーコン、果物、ジャム。朝からフルコース。


來菟「ホテルか???」


シロクラ「毎日こんな感じだぞ」


來菟「ここに住ませてくれ」


ハウル「ははは!空いてる部屋いっぱいあるぞー!」


綯緒「軽いなこの館主」


エイル「遠慮しないで。たくさん食べて」


綯緒「…感謝する、ありがとう。」


自然にその言葉が出たことに、自分で少しだけ驚く。感謝なんていつ以来だ。


席はもうほぼ埋まっている。レイズがルガの隣を死守してる。


レイズ「ルガこっち!こっち座れ!」


ルガ「近い兄さん」


レイズ「いいだろ減るもんじゃねぇし!」


ルガ「精神力が減る」


綯緒「…仲良いな」


來菟「愛だな☆」


レイズ「うるせーやい!」


その横ではニアとアマネが同じパンを半分こしてる。可愛い


ニア「こっちおっきい!」


アマネ「ほんとだ!ニアちゃんにあげる!」


ニア「いいの!?」


ソラ「ふふ、けんかしないで分け合えるのえらいですね」


アマネ「ソラさんもたべる?」


ソラ「え、いいの?」


ニア「はい、あーん!」


ソラ「えっ、えっ、あーん……」


ソラ、ほわぁっと幸せ顔。綯緒は思わず目を細める。


來菟「綯緒あそこ見て。尊すぎて俺消えそう」


綯緒「黙って食え」


それらを見た角灯のランタンがほんのり明るい。


……なんだこの空間、

騒がしいのに穏やか。綯緒がパンを一口かじる。ふわっと柔らかくてほんのり甘い。


「……うまい」


ぽつりと漏れる。それを聞いたエイルが少しだけ嬉しそうに笑った。


エイル「よかった」


ただそれだけなのに、胸の奥が少しあたたかい。來菟はというと。


來菟「このスクランブルエッグ作ったの誰!?嫁にほしい!!」


エイル「私だけど」


來菟「お母様でした失礼しました」


全員「「「早い」」」


朝からカオス。笑い声が絶えなくて楽しい。綯緒はコップを持ちながらぼんやり思う。


こんな朝知らなかったかもしれない

そして食後、ハウルがぱんっと手を叩く。


ハウル「さて!今日は特に予定なーし!」


レイズ「雑!!」


ハウル「自由時間だ!好きに遊べー!」


シロクラ「よっしゃ爆発!!」


ルガ「やめてください」


ソラ「洗濯終わらせちゃいますね!」


ニア「おにわいくー!」


アマネ「いくー!」


シュア「角灯!おさんぽ!」


角灯「ああ、付き合おう」


一斉に散る。みんな小動物か


來菟「なにこの家族感……」


綯緒「……騒がしいだろ」


來菟「最高じゃね?」


綯緒「……」


否定できない。


そして中庭…ぽかぽか陽気


洗濯物が揺れて、鳥が鳴いて、平和そのもの。


……の、はずだった。


シロクラ「よし」


レイズ「そのよしが怖い」


シロクラは地面にしゃがみ込んで、小石を指で弾く。

ボンッ!!

小規模爆発で土がぽふっと舞い上がる


來菟「うおぉぉぉぉ!?!?今のなに!?」


シロクラ「能力」


來菟「能力!?かっけぇ!!!」


レイズ「褒めんな調子乗る」


シロクラ「いや今の芸術点高くね?角度と音のキレ味完璧だった」


來菟「わかる!!今のボンッじゃなくてパァンッだった!!」


シロクラ「だろ!?わかるやつ初めて会った!!」


バチィン!とハイタッチ


レイズ「最悪の理解者が現れた……」


來菟、目キラキラ。


來菟「もっと派手なのいける!?」


シロクラ「いける」


レイズ「いくなよ」


シロクラ「ちょっと待ってな」


レイズ「やるな」


シロクラ、両手を合わせて集中…空気がピリッとする。


レイズ「おい、嫌な予感しかしねぇんだけど」


シロクラ「3、2、1――」


レイズ「カウントダウンすんな!!」


ドォンッ!!!とさっきよりデカい爆発で芝生がめくれる。


洗濯物ばさぁぁぁっ!館の窓ガタガタ。鳥の群れ一斉退避。数秒の沈黙。

そして。


ルガ「……何してるの」


超・低温ボイスで全員びくっ。振り向くと、腕組みしたルガとその隣に綯緒。


綯緒「……朝から戦場にするな」


シロクラ「あっルガさん」


來菟「やっほー綯緒とクールボーイ!」


レイズ「いやその……これはだな……」


ルガ「庭で爆発」


綯緒「芝生が死んでる」


ルガ「洗濯物が飛んでる」


綯緒「館が揺れた」


ルガ&綯緒「「言い訳は?」」


三人「「「……」」」


詰み。

來菟がそっと手を挙げて


來菟「芸術活動……?」


ルガ「却下」


シロクラ「実験……?」


綯緒「却下」


レイズ「遊び……」


ルガ「論外」


三人、正座。なぜか綺麗に並んでる。綯緒、こめかみ押さえながら


綯緒「なぜ俺たちが監督側なんだ……」


ルガ「ほんとですよ」


シロクラ「いやでもさ!能力なんだから使わないと鈍るじゃん?」


ルガ「人気のない場所でやれ」


來菟「じゃあもっと広いとこでド派手に!?」


綯緒「火薬庫に放り込むぞ」


來菟「ごめんなさい」


即土下座。レイズが苦笑いしながら頭かく。


レイズ「悪かったって……つい楽しくて」


ルガ「……子供か」


レイズ「お前の兄ちゃんだぞ?」


ルガ「恥」


レイズ「刺さるぅ!?」


そのやり取りに、綯緒が小さく息を漏らす。

…笑った。


ほんの一瞬。自分でも気づかないくらいの薄い笑み。來菟がそれに気づいて


來菟「……あれ、綯緒笑った?」


綯緒「笑ってない」


來菟「今絶対笑ったって!」


綯緒「笑ってない」


ルガ「笑ってたんですね」


綯緒「お前らがバカすぎるだけだ」


でも声は、少しだけ柔らかい。

その時、ソラの声。


ソラ「みなさーん? 何か爆発音しましたけど大丈夫ですか!?」


ニア「どーんっていったぁ!」


アマネ「花火ー!?」


來菟「やぁこの世の美少女ソラちや_」


綯緒即ゲンコツ。


ルガ「説明してきて」


レイズ「え、俺!?」


綯緒「主犯だろ」


シロクラ「俺じゃね!?」


來菟「俺は観客!!」


ルガ「同罪」


來菟「そんなぁ!?」


結局三人まとめてエイルに説教コース。遠くから。


エイル「庭で爆発は禁止です」


三人「「「はーい……」」」


しょんぼりというか圧怖い。綯緒はその様子を眺めながら、ぽつり。


綯緒「騒がしいな、本当に」


ルガ「でも嫌いじゃないでしょう?」


綯緒「…ああ」


短い肯定。中庭にまた笑い声が戻る。爆発の跡すらなんだかもう、この館の「日常」みたいだった。

次狩達の描写からですね

見てくださってる人、ありがとうございます

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