来訪者
少し長いです
すみませぬ…
館の外。ほんとすぐそこ。
「だから言ってるだろ、俺は迷子じゃない」
聞き慣れた、冷めた声。
レイズ「……ルガ!」
無事。……ただし。
見知らぬ二人と一緒だった。
金髪の男がキラッキラの笑顔でルガの肩に腕を回している。
來菟「いや〜でもさ!こんなイケメンが歩いてたら目離せないだろ普通!」
ルガ「離れて。普通にキモい」
來菟「ヒドクネ?」
その横にもう一人。メガネをかけた紫髪の男が深いため息。頭抱えてて苦労人オーラすごい。
綯緒「お前は本当に…5秒目を離すとこれだな……」
シロクラ「……え、誰?」
全員ぴたりと止まる。
初対面の視線に空気が少しだけ張るが、來菟はにこっと笑って、
來菟「やぁ!(シュタッ)俺は來菟!(シュタッ)通りすがりのスーパーイケメンさ!(シュタッ)」
イケメンポーズ決める。3パターンある。
シロクラ「うわぁ……」
レイズ「うわぁ……」
同じ反応。
綯緒「…綯緒だ。こっちのバカが絡んですまない」
ルガ「助けて」
即座にレイズが駆け寄る。
レイズ「ルガァァァ!!怖かったよな!?大丈夫か!?怪我ない!?」
ルガ「うるさい兄さん近い」
いつものやり取り。
綯緒は館の面々をじっと見る。
大家族。笑ってる顔があるあたたかい空気。
ほんの一瞬だけ表情がやわらいだ。
綯緒「…いい場所だな」
小さな独り言みたいに。
來菟「だな!なんか楽しそうだし!俺も混ざりたい!」
レイズ「いや混ざんな」
シロクラ「うるっさくなりそー、」
まだこの時は、この出会いが未来を少しずつ動かしていくなんて誰も思っていなかった。
ただの偶然の午後だった。
館へ歩いて数分後
レイズ「で、なんでお前らもついて来てんだ?」
來菟、キラァッ。
來菟「それはもちろん!運命が俺を導いたからさ☆」
シロクラ「うわテンションうっざ……」
來菟「ははは!いいんだぜボーイ!イケメンは妬まれる宿命だからな!」
くるっと髪かき上げポーズ。割と物理的にうざい。
一方、綯緒は後ろで静かに歩いている。
綯緒「すまない。本当はすぐ離れるつもりだったんだが」
ルガ「別に。あの金髪置いてったら迷惑かかりそうだし」
綯緒「…察しが良くて助かる」
なんかすでに若干打ち解けてる。
ガチャっと館の扉が開く。
レイズ「ただいまー!」
ハウル「お、帰ったか!って、お?」
見知らぬ二人を見て一瞬の沈黙。普通なら「誰だ?」ってなる空気。
……でも、ハウルはにっと笑って
ハウル「客か?」
レイズ「えーっと、道でルガが絡まれてて」
ルガ「語弊がある」
シロクラ「ナンパナルシスト魔と苦労人です」
來菟「紹介雑すぎね!?」
綯緒「大体合ってる」
來菟「あってないあってない」
ハウルは数秒ふたりを見る。
値踏みとか警戒とかじゃなく、ただ人を見る目
それから
ハウル「あー、いいよ!」
全員「?」
ハウル「部屋あるし、泊まってきな!」
軽っっっ。
エイルがくすっと笑って
エイル「この人、昔からこうなの」
ハウル「困ってるやつはとりあえず飯と布団。これ常識!」
來菟「ふー!!」
突然ガッツポーズ。
來菟「やっぱりこのフルスペックイケメンのおかげだな☆ この顔面が世界を救ってしまったか……!」
シロクラ「いや絶対違う」
レイズ「100%的外れ」
ルガ「むしろマイナス」
來菟「泣くぜ?」
綯緒は一歩前に出て軽く頭を下げた。
綯緒「…感謝する」
静かで真面目な声。
ハウルはにかっと笑って、
ハウル「礼とかいいって。腹減ってるだろ?ちょうどパンあるぞ」
その一言で綯緒はほんの少し目を見開く。まるでそんなふうに当たり前に受け入れられることに慣れてないみたいに。
ちょこっとニアとアマネが顔を出し、袖を引っ張る。
ニア「おにーさんたちも、パンたべる?」
アマネ「おいしいよー!」
來菟「天使がいるー!!?!?!」
秒で屈む。
來菟「いや君ら可愛すぎるだろ俺が抱きあげてあげr」
綯緒「やめろ」
來菟「ぐぇーーー」
首根っこ掴まれて強制停止。それを見て館の中に、笑い声が増える。
机の周りに椅子が増えて、顔が増えて、名前が増えて…少しだけ家族が増えたみたい
ハウルはその光景を見て、満足そうに腕を組んだ。
ハウル「ほらな」
エイル「?」
ハウル「賑やかな方が、いいだろ?」
知らない人間まで当たり前みたいに迎え入れるこの館
やっぱりどこまでもお人好しで
どこまでも……あたたかかった
夕焼けのオレンジ色の光が窓から長く差し込んでいる。
キッチンではエイルとソラ、そして綯緒が夕食の準備中。コトコト煮込みの音や包丁のリズムが聞こえる。
ソラ「すみません、手伝ってもらっちゃって……」
綯緒「気にするな。泊めてもらう側だ。これくらいはやらせてくれ」
なんか手際が異常にいい。野菜がトントントンッと綺麗に刻まれていく。
エイル「…上手ね?」
綯緒「昔取った杵柄だ」
落ち着いた者達の会話。
…の、はずが
ばたーーーん!!!
來菟「レディーーーー!!」
ソラ「ひゃっ!?」
某ナルシスト、キッチンに乱入。
來菟「この館にはこんな美しいお姉さんが存在していたとは!運命か!?いや運命だな!」
ビシッ。×3のキメポーズ。
ソラ「え、え、えっと……」
完全にフリーズ。
來菟「俺、來菟って言うんだ!よかったらこの後ふたりであの美しい夕焼けを見に_」
するとそこにゴンッ。
綯緒の拳、無言で後頭部直撃。
來菟「っっ痛ァ!?」
綯緒「調理場でナンパするな。邪魔だ。失せろ」
低温ボイス。
ソラ「た、助かりました……」
來菟、床に転がりながらも親指立てる。
來菟「でも照れ顔は最高だったぜ……☆」
ソラ「……//」
綯緒「次やったら口縫う」
來菟「ハァイ!!!」
全然反省してない。その頃近くの廊下にどすどすと重たい足音。來菟がキッチンを出て
來菟「……ん?」
角を曲がった瞬間。
視界いっぱいの巨体。ランタンの頭。片翼。The人外の角灯
角灯「……あぁ、客人か」
來菟「」
角灯「?」
來菟「うわァァァァァァ!?!?」
館中に響くレベルのガチ悲鳴。
角灯「!?!?…す、すまない…⤵︎ ︎」
來菟「しゃ、しゃべったァ!?!?」
後ずさる。
シュアがぴょこっと顔出して來菟の近くにとてとて。
シュア「ストーップ!角灯やさしいよ!」
來菟「かくとう、?え、あ、そ、そうなの……?」
角灯→しゅん⤵︎ ︎
ランタン弱火。その様子見て
來菟「あっ待って待って待って!!今のは俺が悪い!!ごめん!!めっちゃいい人オーラ出てる!!」
角灯「……そ、そうか……?」
シュア「角灯、ほめられた!」
ちょっと嬉しそう。
來菟「なにこのコンビ可愛い……」
次は中庭。
あの爆発魔シロクラは今日も元気に
ボンッ!
レイズ「だから庭で爆発させんなって言ってんだろ!!」
シロクラ「小規模だって!」
來菟「おっ、爆発!?なにそれカッコよ!!」
シロクラ「ん?うわさっきのやつ」
数秒目が合う。
來菟「お前、絶対面白いタイプだろ」
シロクラ「お前もうるさそうだな」
来た。同類判定。
來菟「気が合うな親友!」
シロクラ「早くね!?」
來菟「よし爆発見せてくれ!」
シロクラ「いいぜ!」
レイズ「やめろうるせぇバカが増える!」
ボンッ!!
來菟「うおおおおテンション上がるーーー!!!」
シロクラ「だろ!?爆発は芸術なんだよ!!」
2人「「いぇーい!!!」」
ハイタッチ。
レイズ「最悪のタッグ組まれた……」
夕焼けの中笑い声があっちこっちから響く。
ナンパ魔が走り回って、爆発魔が騒いで、苦労人が頭抱えて、子どもたちが笑って。
ハウルはそれを眺めながら、呟く。
ハウル「さ、さらに賑やかになったなぁ」
エイル「…ええ…ま、まぁ、いい日ね」
この館の光景は、あまりにも平和で、幸せで…まるでこの時間が、ずっと続くみたいに思えてしまうほどだった。
一応いるかはさておき、キャラの読み方を
來菟→らいと
綯緒→なお
でございます!




