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館護戦線  作者:
館護戦線
37/76

預け合える背中

雷と黒炎と植物が同時に走る。フォドルの周囲の空気が歪み、衝撃が弾け飛ぶ。


その一撃、腕を振っただけ。

それだけで圧縮された空気の塊が砲弾みたいにララメへ直撃コース。


ララメ「……っ、やば」


避け切れない。空中で体勢が崩れている…直撃すれば終わる重さ。


次の瞬間"ドンッ――"と鈍い衝突音。


ララメの視界が白と金色で塞がれた。


來菟「いってぇなマジで!?」


真正面から來菟が両腕で受け止めていた。

衝撃で地面が砕け靴が滑る。

コンクリートに深い溝が刻まれる。それでも來菟は立ったまま。


ララメ「……うゎあのナルシスト!?」


來菟「大正解☆」


歯を食いしばりながら笑う。


來菟「ララメちゃんだよね?軽いんだから吹っ飛ぶぞ!」


軽口だが額に汗をかいている

フォドルが僅かに眉を動かす。


フォドル「……直撃のはずだが、お前はやはりめんどくさい」


來菟がフォドルを見たその瞬間、フォドルの動きがほんの僅かに鈍った。


やはり來菟の能力は強制的に自分より弱者になる。フォドルからしたらこの上ない屈辱。


來菟「悪いな司令官!俺から見えてるお前は、ちょっとだけ弱体化だぜ!!」


その一瞬で死角から風が走る。


綯緒だ。


音がせず気配が薄い。気づいた時にはもう横。


綯緒「遅ぇ」


最小動作でフォドルの関節へ的確な一撃。

鈍い音がフォドルに叩きつけられるが吹き飛ばすためでも壊すためでもない。


“ズラす”。


体勢と重心だけを崩し、無駄のない打撃を打ち込む。フォドルの足が半歩滑って


綯緒「來菟、視線切らすな」


來菟「はいはい!」


來菟はフォドルの前に立ち続けて真正面から睨み続ける。逃げず殴りもしない。

ただ“そこに居続ける”。それだけでフォドルの性能が落ち、綯緒はその隙に滑り込む。腹部、膝裏、肘、喉元。


全部致命傷じゃない場所だが確実に効く場所。


綯緒「代償払うほどじゃねぇが…削るくらいなら十分だろ」


フォドルのコートが初めて裂けた。


ララメ「…うわ、地味にすご」


メアリー「めちゃくちゃ堅実なのです……」


來菟「俺らさいきょーだからな!」


次の瞬間。フォドルの反撃、腕が振られる。空間ごと薙ぎ払うような衝撃。綯緒は紙一重で回避。


だが來菟は避けないまま真正面で受ける。


來菟「……ぐッ……!」


膝が沈む。それでも倒れない。


來菟「……っしゃ!まだ見えてる……!」


視線は絶対に逸らさないまま。その姿は盾そのもの。綯緒が小さく舌打ちする。


綯緒「……バカが」


でも口元は少しだけ笑っている。


綯緒「その根性、嫌いじゃないがな」


二人自然に並ぶ。盾と刃が正面からフォドルを押さえ込む。


フォドル「……鬱陶しいな、貴様ら」


來菟「褒め言葉サンキュ☆」


綯緒「時間稼ぎは任せとけ」


來菟「その間にみんなでボコれ!」


ララメ「了解っ!」


黒炎、雷、植物、銃撃が再び走る。フォドルを中心に包囲がさらに締まった。


爆ぜる雷光の向こう。フォドルへ斬り込む黒い影、霣羅。


黒炎を纏った刀が空気を裂く。炎が第二の刃みたいに伸び、軌跡ごと焼き切る。


霣羅「……っらァ!!」


横薙ぎ。黒炎の斬撃が地面ごと抉る。だがフォドルは半歩で回避。


霣羅「チッ……!」


その瞬間死角からフォドルの腕がカウンターのように振り上がる。


霣羅「っ、!?」


避けきれない。そう思った瞬間。背後から黒い炎が割り込んだ。衝撃が逸れる。


霣羅「……!?」


横を見ると砮裏が両腕を前に突き出していた。黒炎が盾みたいに広がっている。


不格好で出力も荒い上、形も安定してない。でも確実に霣羅を守っていた。


砮裏「ぼーっとするなよ霣羅!」


声は低く掠れている。


砮裏「前見ろ!お前は斬る役だろ?」


霣羅「…兄さん……」


一瞬だけ目が合う。どこか懐かしい目。昔に手を引いてくれた時と同じ目。


霣羅「……っ、分かってる!」


地面を蹴り霣羅が再加速。今度は迷わずに一直線


フォドル「連携の真似事か」


フォドルが迎撃に踏み込む。拳が振られる。だが足元に砮裏の黒炎が這った。


地面を舐めるように走りフォドルの足首に絡みつく。フォドルの動きが一瞬止まる。


ほんの一瞬でも霣羅には十分。


霣羅「もらった、!!」


黒炎の刀が振り抜かれる。縦一閃に炎の軌跡がフォドルの腕を軽く裂く。


初めての明確な“斬撃痕”。フォドルの身体が後ろへ押し戻される。


砮裏「当たったか!?」


霣羅「兄さんのおかげだ」


砮裏「俺は援護しかできねぇし!」


息が荒い。炎の制御もまだぎこちない。戦闘経験ゼロて動きも素人。


それでも霣羅が攻撃に集中できる位置に必ず立っている背中を預けられる距離。


砮裏「さっきはお前に守られてたし」


小さく呟く。


砮裏「今度は俺が守る番だ」


霣羅「……え?」


砮裏「兄だからな」


霣羅「……っ」


一瞬喉が詰まる。記憶を失っていた時間。助けられなかった過去、そしてさっきまで怒り任せに攻撃していた自分。

全部胸に刺さるが、でも今は違う。背中に確かな熱がある。黒炎の温度と兄の存在。


霣羅「……背中、任せた」


砮裏「あぁ」


短い返事だがそれだけで十分だった。霣羅が再び駆ける。黒炎の刀が唸る。その背後で砮裏の炎が道を作る。


迫る攻撃を焼き、軌道を逸らして霣羅の死角を埋める。不器用で荒削り


……さなのになぜか完璧に噛み合う。まるで昔からずっとそうしてきたみたいに。


フォドル「…記憶も戦闘経験もない男がよく動く」


砮裏「知らん」


黒炎が爆ぜる。


砮裏「弟を奪われた恨みだけは、覚えてる」


霣羅「……!」


その言葉で霣羅の踏み込みがさらに深くなる。黒炎が二重に重なる。


兄の炎と弟の炎。


二つの黒が重なって一本の巨大な刃みたいに伸びた。


霣羅「兄弟、舐めんなよ……司令官!!」


同時に踏み込む。黒炎が戦場を切り裂いた。

來菟くん達ほんとに俺ら出番なくね?って思ってたと思います

ごめんね、キャラが多すぎt…

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