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館護戦線  作者:
館護戦線
36/76

"館護戦線"

焦げた匂いと土煙が舞う広場には黒炎や植物、衝撃波…それぞれが必死にフォドルを足止めしている。


だが圧は消えない。

一歩、また一歩と押されていく。


その後方にララメが立ち上がった。まだ少し足は震えているが迷っていない目。


ララメ「……よし」


電撃を纏わせた拳を握り、そして一直線に駆け出した。向かう先は霣羅。


黒炎を纏いながら砮裏と並んで戦うその背中。


ララメ「霣羅!」


霣羅が一瞬だけ振り向く。


霣羅「……ララメ、」


少し驚いた顔。ララメは息を切らしながらでも笑った。いつもの太陽みたいな笑顔。


ララメ「ずっと迷っててごめん!でも今から一緒だよ!」


迷いも理屈もないそれだけの言葉。霣羅は一拍だけ置いて小さく頷く。


霣羅「……わかった」


それだけで十分だった。言葉はいらない。もう同じ側だ。


同時にふわりと隣に降り立つ影。ヤグの前に紫の髪が揺れる。


ヤグ「っ……メアリー、?」


メアリーはいつも通りの顔でスカートを整えながらにこっと笑った。


メアリー「わたくしはどこまでも先輩の味方なのです!」


ヤグ「……は……?」


メアリー「なので、勝手にまけるのは禁止なのです!」


さらっと言い切る。ヤグは前のように呆れながら


ヤグ「…そうかよ。」


メアリー「終わったらぎゅー♡」


ヤグ「しねぇよバカ!?空気読め!」



ララメが振り返って叫ぶ。


ララメ「行くよ、メアリーちゃん!」


メアリー「なのです!」


ララメは雷を纏ってフォドルへ一直線。メアリーは奈子の植物の影に滑り込み、援護へ回る。


戦場がまた動き出し、霣羅も砮裏と並び黒炎を同時に解き放つ。


二つの炎が重なり巨大な弧を描いた。まるで兄弟の証みたい


ヤグも立ち上がろうとするが足に力が入らなずにぐらっと視界が傾く。


ヤグ「……くそ……」


倒れる寸前にがしっと腕を掴まれ支えられる。困惑しつつ振り向くとシロクラだった。


ヤグ「……お前」


シロクラの目は冷たく、怒りも憎しみも消えてない。


シロクラ「…俺はお前を許してねぇ」


そう冷たくはっきり言い切る。


ヤグ「………………」


シロクラ「だから、戦いで償え」


重い言葉はヤグの心に刺さる。

そしてヤグはゆっくり息を吐いて


ヤグ「……わかってる」


シロクラ「命までは言わねぇよ」


間髪入れずにそこだけは否定する。


シロクラ「ただ、お前の犯した事の重さは理解しろ」


ヤグ「……だが、なんでお前がそこまで言うんだよ、」


一瞬の沈黙の後シロクラは視線を逸らして、ぶっきらぼうに吐き捨てた。


シロクラ「……一緒の館に住むはずだった家族、なんだろ?」


ヤグの目がわずかに揺れる。


ヤグ「……お人好しが」


シロクラ「はっwそうだよ」


鼻で笑い、そしてヤグの腕を引き上げる。


シロクラ「じゃ、行くぞ」


ヤグ「あぁ」


二人並んで立つ。敵同士だったはずの背中が、今は同じ方向を向いている。


誰一人諦めない。戦場の空気が変わり、反撃の熱がじわりと広がっていく。




瓦礫が崩れる音。黒炎が揺れる音。雷の弾ける匂い。植物が地面を割って伸びる音。


その広場の中心でフォドルは一人静かに立っていた。


コートの裾が揺れる。周囲は全て敵であるのに、それでも表情は変わらない。


フォドル「……随分と増えたな」


淡々とした声はまるで数を数えているだけ。

最初に踏み出したのはララメ。雷を纏い一直線に距離を詰める。


ララメ「今度は観戦じゃないからね、司令官!」


その横に奈子。足元から植物が爆発的に広がる。


奈子「……もう誰も奪わせません」


地面を割り蔦が走る。

反対側では霣羅と砮裏の黒炎が二つ同時に灯る。


霣羅「兄さん、右頼む」

砮裏「あぁ」


同時に踏み込み交差する黒炎。


後方ではメアリーが静かに両手を構えて


メアリー「近づいたら腐らせますのでお覚悟を」


そのさらに後ろ。


アマネ「回復いつでもいける!」

ニア「ニアバリアはる!まもりたい!」


守りの要は小さいが、その隣で小さく息を吸い込む影、ソラ。


まだ痛みの記憶が身体に残っている上恐怖で足も少し震えているが一歩だけ前に出た。


ソラ「みなさんの後ろは私が支えます」


強く握った拳。視線はフォドルから逸らさない。


ソラ「絶対…誰も倒させたくないですから」


アマネが小さく笑う。


アマネ「うん、ソラさんがいると安心する!」


ニア「うしろはニアたちがまもる!」


三人自然に並ぶ。それだけで背中の不安が少し消えた。


前線ではぐらつきながらも歩き出す二人。シロクラとヤグ。


シロクラ「足引っ張んなよな!」

ヤグ「…うるせぇよ」


軽口を叩きながら同じ方向を見る。

その中央では血だらけのまま立つ男、ハウル。


ハウル「……家族は奪わせねぇ」


その左右にレイズとルガ。


レイズ「父さん一人で行くな」

ルガ「…家族でしょ。」


三人横一線。少し後ろにエイル。手袋をきつくはめ直して


エイル「……今度こそ、守るから」


さらに外側。來菟と綯緒。


來菟「やっと俺らの出番だぜ!!」

綯緒「遅ぇんだよ、ほんと」


軽口でも殺気は本物。


気づけばフォドルを中心に円ができていた。


前衛

中衛

後衛


そして支える者


誰一人欠けていない。ソラはそっと構えながら小さく呟く。


ソラ「……お願い…みなさん無事で……」


祈りみたいな声だが、その瞳はもう逃げていなかった。

フォドルがゆっくり首を鳴らす。


フォドル「……群れるか。弱者らしいな」


ララメが笑う。


ララメ「うん、そーだよ?」


雷が弾ける。


ララメ「でもさ!群れた方が強いんだよね」


次の瞬間全員が同時に踏み込んだ


黒炎、雷、植物、銃撃、爆発、拳、操作、


広場が白く弾けた。


館で始まる総力戦、「館護戦線」が今始まる。

館護戦線です。ようやく、本当にようやくです。


ここまで散々揉めてた人たちがやっと同じ方向を向きました。長い。


あとメアリーちゃんは空気を読みませんね、

終わったらぎゅー♡じゃないのよ

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