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フェルルと魔法少女たちの日々  作者: れんP


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第七話 「鏡写しの世界、未熟な力」

これは、“魔法少女”の物語。



世界は一度、大きな戦いを越えた。

人々は平穏を取り戻し、日常は何事もなかったかのように続いている。


 


けれど、その裏側で。


 


世界には、誰にも知られない“ほころび”が生まれていた。


 


それは、いつから存在していたのかもわからない。

気づいたときには、そこにあった。


 


“エラー”——


 


そう呼ばれるそれは、形を持たず、理由もなく、人を襲う。

まるで世界そのものが、壊れ始めているかのように。


 


そして、その脅威に対抗できるのは——


 


異界から来た存在、“フェルル”と契約した少女たちだけ。


 


力を手にした少女たちは、“魔法少女”として戦う。


 


誰かを守るために。

日常を守るために。


 


あるいは——


 


自分自身のために。


まだ、誰も知らない。


これは、逃げることしかできなかった一人の少女が、

世界の“バグ”に向き合う物語。

星宮家の広大な庭。


手入れの行き届いた芝生の上に、ましろは立っていた。


 


「ひ、広い……」


 


「訓練にはちょうどいいでしょ?」


 


カナメは軽く肩を回しながら言う。


 


ソラは少し離れた場所で様子を見守り、ヤミは木陰に寄りかかり、ひかりは不安そうに見つめていた。


 


フェルルがふわりと宙に浮く。


 


「じゃあ、まずは基本からだね」


 


「は、はい……!」


 


 


「ましろの魔法、“空間移動”って言ってたよね?」


 


「はい……鏡の中に入って移動できるみたいで……」


 


「うん。でも、それだけじゃない気がするんだよね」


 


フェルルはじっと、ましろの武器――大きな鏡を見つめた。


 


「その鏡……ただの通路じゃない」


 


 


「“空間そのもの”に干渉してる」


 


 


「え……?」


 


 


カナメが一歩前に出る。


 


「とりあえずやってみなさい。さっきみたいに鏡、出せる?」


 


「は、はい……えっと……」


 


ましろは手を前に出す。


 


 


「出てきて……!」


 


 


淡い光とともに、大きな鏡が空中に現れた。


 


 


「……よし」


 


カナメは地面に落ちていた小石を拾う。


 


「これをその鏡に映してみなさい」


 


「映す……?」


 


 


「意識するの。“取り込む”って」


 


 


ましろは鏡を見つめる。


 


小石をそっと近づけると――


 


 


「……あっ」


 


 


小石が、鏡の中に“沈む”ように消えた。


 


 


「消えた……!?」


 


 


「違うよ」


 


フェルルが目を輝かせる。


 


 


「“記録した”んだ」


 


 


「記録……?」


 


 


その瞬間――


 


 


「出してみて」


 


 


カナメの言葉。


 


 


ましろは戸惑いながらも、鏡に手をかざす。


 


 


「えっと……出てきて……!」


 


 


すると――


 


 


ぽとっ、と音を立てて小石が現れる。


 


 


「で、できました……!」


 


 


だが、その直後。


 


 


ぽとっ。ぽとっ。


 


 


「え……?」


 


 


同じ小石が、もう一つ、さらにもう一つと現れた。


 


 


「ええええええ!?」


 


 


地面には“同じ小石”がいくつも転がる。


 


 


フェルルが確信したように言う。


 


 


「やっぱりだ……!」


 


 


「ましろの魔法は――」


 


 


「鏡を媒体にした“空間のコピー”だよ!」


 


 


 


「コピー……!?」


 


 


「うん。映したものを、そのまま再現できる」


 


 


ソラも静かに頷く。


 


「物質だけじゃないわね……たぶん」


 


 


カナメがニヤリと笑う。


 


「じゃあ試してみましょうか」


 


 


「えっ?」


 


 


「私を映してみなさい」


 


 


「えええ!?」


 


 


 


恐る恐る、ましろは鏡をカナメに向ける。


 


 


「……取り込む……」


 


 


鏡の表面が揺らぎ、カナメの姿が吸い込まれるように映る。


 


 


「で、出します……!」


 


 


 


次の瞬間――


 


 


「……っ!?」


 


 


ましろの隣に、もう一人のカナメが現れた。


 


 


「うわっ……!?」


 


「……ほぉ」


 


 


本物のカナメと、もう一人のカナメ。


 


 


「これ……分身……?」


 


 


「すごい……!」


 


ひかりが目を輝かせる。


 


 


しかし――


 


 


「……あれ?」


 


 


分身のカナメが、ふらりと揺れる。


 


 


そして――


 


 


「消えた……!」


 


 


光となって消滅した。


 


 


ましろはその場にへたり込む。


 


 


「はぁ……はぁ……」


 


 


「魔力切れね」


 


 


ソラが静かに言う。


 


 


「まだ不安定。維持もできていない」


 


 


フェルルが頷く。


 


 


「でも可能性はすごいよ!」


 


「敵も、味方も、空間ごとコピーできるかもしれない!」


 


 


カナメが腕を組む。


 


 


「つまり――戦い方次第で化ける能力ってことね」


 


 


ましろは息を整えながら、鏡を見つめた。


 


 


「私……こんな力……」


 


 


その時――


 


 


ピリッ、と空気が震えた。


 


 


ヤミがゆっくり顔を上げる。


 


 


「……来る」


 


 


「え?」


 


 


「エラーの気配」


 


 


空気が一気に重くなる。


 


 


ソラの表情が変わる。


 


 


「場所は?」


 


 


「……近い。ここから北東」


 


 


カナメが即座に動き出す。


 


 


「行くわよ」


 


 


「は、はい!」


 


 


ましろも立ち上がる。


 


 


心臓が強く鳴る。


 


 


(今度こそ……)


 


 


(ちゃんと戦わないと……!)


 


 


フェルルが肩に乗る。


 


 


「大丈夫。さっきの力、使えばいけるよ」


 


 


「……はい!」


 


 


こうして――


 


 


新たな力を手にしたましろは、再び戦いの場へと向かう。


 


 


まだ未熟なその力が、どんな結果を生むのか――


 


 


それは、まだ誰にもわからなかった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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