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フェルルと魔法少女たちの日々  作者: れんP


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第十話 「夜に灯る、やさしい光」

これは、“魔法少女”の物語。



世界は一度、大きな戦いを越えた。

人々は平穏を取り戻し、日常は何事もなかったかのように続いている。


 


けれど、その裏側で。


 


世界には、誰にも知られない“ほころび”が生まれていた。


 


それは、いつから存在していたのかもわからない。

気づいたときには、そこにあった。


 


“エラー”——


 


そう呼ばれるそれは、形を持たず、理由もなく、人を襲う。

まるで世界そのものが、壊れ始めているかのように。


 


そして、その脅威に対抗できるのは——


 


異界から来た存在、“フェルル”と契約した少女たちだけ。


 


力を手にした少女たちは、“魔法少女”として戦う。


 


誰かを守るために。

日常を守るために。


 


あるいは——


 


自分自身のために。


まだ、誰も知らない。


これは、逃げることしかできなかった一人の少女が、

世界の“バグ”に向き合う物語。

星宮家の屋敷――夜。


 


広いダイニングには、温かい光が灯っていた。


 


「さ、遠慮しないで食べてね」


 


ソラが微笑みながら言う。


 


テーブルの上には、色とりどりの料理が並んでいた。


 


「す、すごい……」


 


ましろは思わず呟く。


 


「こんなの、初めて見ました……」


 


カナメが笑う。


 


「大げさね」


 


「だって……レストランみたいです……」


 


 


ひかりが小さく言う。


 


「料理人さんが作ってくれてるんです……とっても美味しいですよ」


 


「そ、そうなんですね……」


 


 


フェルルはすでに目を輝かせていた。


 


「いただきます!!」


 


「早いわね……」


 


 


食事が始まる。


 


最初はぎこちなかったましろも、少しずつ会話に混ざっていく。


 


「ましろさんは、学校ではどんな感じなんですか……?」


 


ひかりの問いに、ましろは少し考える。


 


「えっと……あんまり目立たない感じで……」


 


「嘘でしょ」


 


カナメが即座に突っ込む。


 


「めちゃくちゃ目立ってるわよ。変な意味で」


 


「お姉ちゃん!?」


 


 


ソラがくすっと笑う。


 


「人気者なのね」


 


「ち、違います……ただ、声をかけられるだけで……」


 


「それを人気者って言うのよ」


 


 


少しずつ、場の空気が柔らかくなる。


 


 


食事のあと――


 


 


「次はお風呂ね」


 


ソラが言う。


 


 


「お、お風呂……」


 


 


案内された先は、大きな浴場だった。


 


 


「広っ……!」


 


 


「温泉みたい……」


 


フェルルも驚いている。


 


 


ひかりが少し照れながら言う。


 


「い、一緒に入りますか……?」


 


 


「は、はい……!」


 


 


 


湯気の中。


 


 


ましろとひかりは、並んで湯船に浸かる。


 


 


「……あったかい……」


 


 


緊張が、少しずつ溶けていく。


 


 


「ましろさん……」


 


 


「はい?」


 


 


「今日……すごかったです」


 


 


「え……?」


 


 


「戦ってて……怖いのに、前に出てて……」


 


 


ひかりはぎゅっと手を握る。


 


 


「わたしも……ああなりたいです」


 


 


その言葉に、ましろは少し驚く。


 


 


「私なんて……まだ全然です……」


 


 


「でも……」


 


 


ひかりは、小さく微笑んだ。


 


 


「かっこよかったです」


 


 


 


ましろは、少しだけ顔を赤くした。


 


 


「……ありがとうございます」


 


 


 


一方――


 


 


脱衣所の隅。


 


 


ヤミは一人、静かに座っていた。


 


 


そこへ、ましろがやってくる。


 


 


「あ、あの……ヤミさん」


 


 


「……なに」


 


 


少しだけ警戒するような視線。


 


 


ましろは戸惑いながらも言う。


 


 


「さっきは……助けてくれて、ありがとうございました」


 


 


「……別に」


 


 


そっぽを向くヤミ。


 


 


だが――


 


 


「……死なれたら困るだけ」


 


 


小さく、そう付け加えた。


 


 


ましろは、少しだけ笑う。


 


 


「……優しいんですね」


 


 


「違う」


 


 


即答だった。


 


 


でも、その声はどこか柔らかかった。


 


 


 


その夜――


 


 


ましろは用意された客室のベッドに横になる。


 


 


「……すごい一日だった……」


 


 


天井を見上げる。


 


 


フェルルが隣でふわりと浮かぶ。


 


 


「どう?少しは慣れた?」


 


 


「……はい」


 


 


少しだけ考えてから、ましろは言った。


 


 


「怖いけど……」


 


 


「でも、ここにいたいって思います」


 


 


 


フェルルは嬉しそうに笑う。


 


 


「そっか」


 


 


 


窓の外には、静かな夜空。


 


 


だがその一方で――


 


 


屋敷の別の場所。


 


 


ソラが一人、立っていた。


 


 


その手には、淡く光る何か。


 


 


「……やっぱり、増えてる」


 


 


小さく呟く。


 


 


その表情は、昼間とは違い――


 


 


どこか、影を帯びていた。


 


 


 


そして――


 


 


ましろは、静かに眠りにつく。


 


 


新しい居場所と、仲間たちに囲まれて。


 


 


だがその裏で、確実に何かが動き始めていた――。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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