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フェルルと魔法少女たちの日々  作者: れんP


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プロローグ

これは、“魔法少女”の物語。



世界は一度、大きな戦いを越えた。

人々は平穏を取り戻し、日常は何事もなかったかのように続いている。


 


けれど、その裏側で。


 


世界には、誰にも知られない“ほころび”が生まれていた。


 


それは、いつから存在していたのかもわからない。

気づいたときには、そこにあった。


 


“エラー”——


 


そう呼ばれるそれは、形を持たず、理由もなく、人を襲う。

まるで世界そのものが、壊れ始めているかのように。


 


そして、その脅威に対抗できるのは——


 


異界から来た存在、“フェルル”と契約した少女たちだけ。


 


力を手にした少女たちは、“魔法少女”として戦う。


 


誰かを守るために。

日常を守るために。


 


あるいは——


 


自分自身のために。


まだ、誰も知らない。


これは、逃げることしかできなかった一人の少女が、

世界の“バグ”に向き合う物語。

――それは、“世界のほころび”から始まった――


 


夜の街は、どこまでも静かだった。


 


唯ヶ原市・桜ノ丘。

人々が眠りにつき、灯りもまばらになった住宅街。


 


その路地裏で――それは“現れた”。


 


空間が、歪む。


 


何もないはずの空間に、黒い“裂け目”が走った。

まるで布を無理やり引き裂いたような、不自然な亀裂。


 


そこから、何かが“滲み出る”。


 


形は、ない。

輪郭は、定まらない。

だが確かに“そこにいる”。


 


それは、音もなく動き出した。


 


「……っ、誰……?」


 


帰宅途中の少女が、その異様な気配に足を止める。


 


次の瞬間——


 


少女の視界が、歪んだ。


 


街灯がねじれ、空気が濁り、世界そのものが壊れていくような錯覚。

足元の影が、自分のものではない形に伸びる。


 


“それ”が、近づいてくる。


 


逃げなければ——

そう思った時には、もう遅かった。


 


少女の身体が、ゆっくりと“崩れ”始める。


 


砂のように。

ノイズのように。

存在そのものが、削られていく。


 


「や、だ……いや……」


 


声も、形を保てない。


 


そのとき——


 


「——そこまでだよ」


 


小さな声が、夜に響いた。


 


白い光が、路地裏に差し込む。


 


少女と“それ”の間に、ひとつの影が立っていた。


 


それは、人ではない。


 


小さな体。

白い毛並み。

つぶらな瞳。


 


そして——尻尾には、“鍵”。


 


「また出てきたね、エラー」


 


その存在は、“それ”を見据えて言った。


 


“それ”は、反応する。


 


形を変え、歪み、膨張する。

まるで世界に拒絶されながらも、無理やり存在しようとするかのように。


 


「……やっぱり、この世界はまだ不完全だ」


 


白い存在は、静かに呟く。


 


「だから——」


 


その瞳が、どこか遠くを見る。


 


「“鍵”を持つ子が、必要なんだ」


 


そして、くるりと背を向けた。


 


まるで、これから出会う“誰か”を探すように。


 


 


世界には、“バグ”がある。


 


誰にも知られず、誰にも理解されず、

ただ静かに、人を蝕む存在。


 


それを“修正”できる者は、まだいない。


 


——いや。


 


まだ、“いないはずだった”。


 


 


これは——


 


ひとりの少女が、

世界の“ほころび”に触れてしまう物語。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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