95 再び蜥蜴型獣人のまちで 12
次の日は,温泉も落ち着いたんで,ズィルバーとあたしが作ったお風呂のお試しだよ。
う~ん。ちょっと熱い。
「あっちあっち・・・」
うん?シュバルツの声・・
「うわっヴァイス!!!氷を入れるな。!!!」
あっちは楽しそうだにゃあ。あたしだけ一人でつまんにゃい。
いいもん。泳いじゃうから・・・ばしゃばしゃ・・・・・
「おい。泳ぐな。」
誰・・・て声の主かあ
「声の主ってなんだ?」
だって名前知らないもん。
「う~ん。俺様たちは名前を知られちゃいけないからな。」
なんで?
「知られると,俺様たちは俺様たちでいられなくなるのさ。」
へえ? でも不便だよ。適当に付けていい?
「しかたないな。」
じゃあねえ・・・うんとうんと・・・・
「まだか?」
え~とえ~と・・・
「後で聞きに来るわ。」
あらどっかに行っちゃった。
お風呂から上がってその話をしたら,
「オレサマと,ワタクシだろ。」
ははは・・・確かに。それでいいか。
「よくない。」
あれ?いたの?
「オレサマとはなんだ。もっと優雅な名前を付けろ。」
え・・・無理だぁ・・・あたし達ほとんど色の名前にゃんだ。あなたは何色にゃの?
「俺様は虹色だ。もう一人は金色だ。」
へえ・・・
ロートとズィルバーにそう言ったら
「虹色のはレーゲンボーゲン。長いのでレーゲですね。
金色はゲルドだけどゲリューでいいでしょう。」
ってことで,俺様はレーゲ,もう一人はゲリューって呼ぶことににゃったよ。
温泉の使い心地は最高だけど,熱すぎることが玉に瑕。
でも真っ白にゃお湯と,真っ黒にゃ温泉玉子の白黒はっきりしたところが名物ににゃるね。
辺りは木が所々生えてて,花も咲いてるよ。何の木だろうねえ。肌が白いのと黒いのがあるね。白い木には赤い花が。黒い木には白い花が咲いてるよ。どっちも小さい花だねえ・・・木も白黒・・・花は赤白かあ・・・
ロートはいつもの伝言鳥を飛ばしてた。
あたし?脱衣所の建物は,蜥蜴型獣人が建てるはずにゃので,のんびり温泉三昧だよ。一人じゃ寂しいって言ったら,ヴァイスとシュバルツも一緒に入ってくれるようににゃったよ。ばしゃばしゃばしゃ・・・・・楽しいね。
その晩あたしはまた夢を見たよ。金色に輝く花の中で,懐かしい人に会ったよ。ご主人様?でも,すぐ消えてしまったみたい。
「おい。」
はい?
「おまえ泣いてんのか?」
まさか・・・
「その目の水はなんだ?」
気のせいですよ・・・たぶん。
「まあいい。おまえ達あと1ヶ月もしたらここから立ち去るんだろう?」
いつも通りにゃらそうかにゃあ。
「その前に俺様たちの国に案内する。来い。」
ええっ
あたしは飛んでいた。うそぉ・・・
しばらく飛んで,着いたのは金色の花畑の真ん中に建つ,大きな家?の前だったよ。う~ん。何だったけ・・・ほら・・・うん。ご主人様の絵本に出てきたシンデレラのお城みたいだにゃ・・・でっかいし・・・
「入れ。」
きぃ・・・
おそるおそる入ったら,ま・・・眩しいよ。
広間の真ん中に椅子があるみたい。その椅子に誰かが座っている。だれ?
「ミャアコちゃん。良く来たね。あたしの代わりににゃあにゃあの活動してくれてるけど,どうだい?あの二人はいいやつだろ?」
まさか・・・亡くなったという,みやこおばあさん?
「ははは。亡くなっちゃいないさ。還っただけだよ。」
かえった?
「あんたもやがてはここにくるさ。」
・・・・・
「ほら。あんた達が名前を付けてくれたレーゲとゲリューだよ。」
え?羽?金色や虹色に輝く,透き通った羽を背負ってる?トンボ?でっかいトンボ?
「俺たちは温泉妖精さ。」
はあ?前,蜥蜴型獣人に見せてもらった妖精は美人で小さかったよ。
うっそ~
「本物だよ。」
はあ?
「あんた達がもっともっと温泉を広めるためにこの二人の中から一人あんたに付けてやろうと思ってね。」
いや・・いりません。
「失礼なこと考えなかったか?」
・・・・・
「どっちもあんた達に付いて行きたがっていてね。決められないのさ。」
だからって・・・・・
可愛い女の子の妖精さんっていにゃいの?
「可愛い女の子は,お花の妖精ばっかりでねえ。にゃあにゃあの活動には向かないねえ。」
じゃあ可愛い男の子の妖精さんは?
「ここにいるじゃないか」
残念・・いにゃいんですね。
「こらあ」
・・・・・どっちも一緒に来たがってて,どっちも譲る気がにゃい・・・
どっちもいらにゃい・・・だって男の子ばっかりだよ・・・女の子が言いに決まってる・・・ちょっと寂しいよ。お風呂に一緒には入れにゃいもん。
・・あ・・入ってた。温泉でいつも話しかけてきてたもん。
・・・あれえ・・・この二人って男の獣人だよねえ・・・わわわ・・『ぽいぽい服を脱ぐにゃ』って言うズィルバーとロートの言葉を思い出しちゃったよ。うわっ二人に怒られちゃうよ。どうしよう。
・・・・・
みやこおばあさんが,ロート達に決めてもらおうって言い出したよ。
杖を一振り・・・あら。ロートとズィルバー・・・ヴァイスにシュバルツまで。
「わ・・・ここは・・・え・・・まさか・・まさか・・・みやこばあさん?」
「みやこばばあ!!!生きてたのか?」
「コノ ハネ ハエタヒト ダレ?」
「わ~い わ~い」
「夢の中だよ。夢のね」
みやこおばあさんが歌うように言ったよ。
「レーゲとゲリューどっちかをあんたたちに付けてやる。どっちが付いて行っていいか決めな。」
ズィルバーは金色に光る羽のゲリューをじろっと見た。
「俺はこいつに反対だ。」
「じゃあレーゲ?」
ズィルバーは虹色に光る羽のレーゲもじろっと見た。
「俺はこいつにも反対だ。」
「ツマリ フタリトモ イヤ?」
「どちらが温泉の効能を確実に分析出来ますか?」
また難しいことを・・・ロート。
「俺様だな。」
「温泉の吹き出し方とか,地面を分析するのは僕が上ですよ。」
「・・・地面の分析なら僕も出来ますから。」
「ボクハネ アソンデクレルナラ ダレデモ イイヨ」
「ぼく たのしい すき」
・・・・・
レーゲが付いてくることににゃっちゃったよ。ズィルバーと似たようにゃ性格だけど大丈夫にゃのかにゃあ。
「僕も時々行きますからね!!!」
「「来るな!!!」」
あら。ズィルバーと息がぴったり。
うふふふふ・・・・
はっと目が覚めた。テントの中だった。にゃんだあ夢かあ・・・・
みやこおばあさん。
ロート,ズィルバー,会えて良かったね。
「あんのばばあ,やっぱり化け物だったのか。」
・・・・・
読んでくださっている方,ありがとうございます。
*今日の夕方5時から「私が私であるように あなたがあなたでいるように」を再開します。お時間がありましたら是非お読みください。15~16歳の女の子のお話です。「私は・・・」,今回からは毎日夕方5時投稿する予定です。
*「影と呼ばれた男」は9日最終回です。こちらも毎日5時に投稿しています。かなりこちらのお話とは雰囲気が違うお話ですが(こちらはR15ですが,過激な表現はあまりありません。)もしお時間がありましたら是非お読みください。




