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40 北の国へ 4

あたし達は,

「先に宿屋に帰って,女将さんを安心させろ」

「いないと分かると,心配するでしょうからね。」

・・・と言うことで 先に帰っていいことににゃったよ。

ヴァイス,朝ご飯の時間だね。急ごうか。


ヴァイス速い速い・・・・。


1刻ほどで宿屋に着いたよ。行きは,途中歩いたから,1時(いっとき)以上かかったけどね。


 部屋の窓から飛び込むのと一緒に,ヴァイスはぽんとをたてて 小獣(こども)にもどる。

 出て行くときも飛び出しにゃがら,ぽんってりゅうに変わったもんね。凄い技術を身につけたよねえ。

 あたしは一緒に飛び出せにゃいから,りゅうに変わったヴァイスが窓辺に来てくれなきゃ乗れにゃいよ。でも,入るときは,一緒で大丈夫。床の上にくるんって着地できるからね。


食堂へ行くと,女将さんが慌てた様子で寄ってきたよ。

???

「朝ご飯だよって呼びに行ったら誰もいなかったから心配したよ。お風呂にもいなかったし。どこにいってたの?」

・・・

「ちょっと散歩に・・・」

「ウン チョット サンポ。」

おかしいねぇ宿を出る時は,帳場を通るから,誰かしらいるんだけどねえ。


つぶやいていたけれど,あたし達のお腹はそれよりご飯ご飯と訴える。

「おやおや。お腹の虫の音かい?今,朝ご飯、持ってくるからね。手を洗って待っておいで。」


朝ご飯は卵だった。

 卵・・・ここの温泉は温泉卵出来にゃいのかにゃ。


・・・此処の温泉は湯温が低い。ちょっと無理・・・だれかがささやくよ。いつもささやいてくれる声。この声の獣人ひとに会ってみたいにゃあ。


・・・いつか会えるよ。獣人ひとじゃないけどね。


・・ささやいてくる・・・獣人ひとじゃない?ええっ


ふんわり焼いた卵に茶色いソースがかかっているよ。シンケン付きの焼き卵。脇に真っ赤なトマが添えてある。

 サラダもたくさん。

 スープは緑色だよ。何のスープ?え?お豆なの?へぇ。


 この宿のパンは渦を巻いている平たいパンだった。

 にゃんかどこかで見たようにゃ・・・女将さんがそばにいる。足下を見る。あ・・・これかぁ。女将さんの足はくるりんととぐろを巻いている。

「おや。わかりました?このパンは私たちの足を表しているんですよ。」

「足が丈夫で,元気に今日も一日働けますように,って願いを込めて焼いてるんです。」

「ヘェ。スゴイデスネ」

何で足?

「私たちには足がないでしょう?

 でも,ここから下は,足だと思うことになってるんです。」

 ちょうど椅子の脚の辺りから下を指して女将さんが言う。


「足だと思うことになってるって?」

「そうじゃないと,胴体で歩くことになっちゃうじゃないですか。」

「あぁ・・・そうにゃのぉ」

よく分からにゃいけど,頷いとこう。


「椅子もいらないんですよ。」

え?ここにあるのに?

そう言えば,夕べ蛇型獣人けいびたいのひと)達は,椅子をどけてたっけ。


蛇型獣人へびさん)の話をいろいろしてくれる女将さん,暇にゃのかにゃ。

 もう他に朝ご飯食べてる獣人ひと)はいにゃいもんねえ。


・・・・・



「にゃあにゃあの皆さんのおかげで,私たちは助かったんですよ。」

え?足の話はおわったの?

「前ににゃあにゃあの皆さんがいらした時,私たちは冬,いつもろくに動くことができなかったんですよ。」

ふんふん・・そうだったの?


「それを,温泉を掘ってそこに浸かることにより,みんながいつもスムーズに動けるようになったんです。」

へぇ~


「本当に温泉のおかげ。ひいては,見つけてくださったにゃあにゃあの皆さんのおかげですね。」 

 当時,にゃあにゃあは,温泉の話を町長さんのところに持って行ったらしい。でも,当時の町長さんは,話を信じてくれにゃかったんだって。

 それでもまちの何人かの蛇型獣人ひと)が 信じてくれて,泊まる場所を提供してくれたらしい。

「そのうちの一人が家の夫ですわ。私もご飯なんか協力しましたよ。」


 そして,温泉が発見され,温泉設備が作られた。実際にお湯に浸かることによって,体の動きがスムーズににゃっていく蛇型獣人しんせつなひと) 達を見て,ほかの蛇型獣人ひと)達も,信じてくれるようににゃったらしい。

 その時の町長さんは,みんにゃからやめさせられたって。にゃあにゃあを信じて支援してくれた,ほかの蛇型獣人ひと)が,今は町長さんをしているんだって。

それが3年前。ちょうどズィルバーがにゃあにゃあの一人ににゃった頃らしい。

 ズィルバーはがりがりにやせていて,目ばっかり目立っていたって。髪も艶がにゃくて落ち着きがにゃかったらしい。へぇ。3年でああにゃるのかあ。あたしも・・・


 ロートは,3年前も今もあんまり変わってにゃいらしい。

 いつも落ち着いた好青年でしたよって言う。

・・・

そんにゃ話をしていたら,外が騒がしくにゃってきた。

「おや。見てきましょうかね。」

女将さんが外に出て行った。

あたし達はすっかり冷めたホットだったミルクを飲む。ミルクを飲むのも久しぶりだよ。何のミルクだろうね。ヴァイス,白いおひげが生えてるよ。ミャアコチャンモダヨ。



 蛇型獣人へびさん)達があたし達に優しいのは,恩人だって思ってるからにゃのかあ。

 みやこおばあさん,押しの強い人だったんだろうか。

 町長さんに反対されても温泉を掘るのにこだわるにゃんてねぇ。


 まてよ。あたし達,お金をもらって温泉を掘ってるよねえ。依頼ってやつもされてるよねえ。此処の温泉の時だけ違ってるのはにゃぜ?

あとでロートに聞くことが増えたにゃあ。




 女将さんが戻ってきた。にゃんかうれしそうだよ。

蛇型獣人けいびたいのひと)達が小獣を連れて帰ってきたんだって。早いにゃ。

 もっとも,あたしたちが帰ってくる1時いっとき以上前に出発していたからね。あたし達が着いてから,半時はたっているから,小獣のみんにゃを,プフェー車に乗せてたから,もう着いてもおかしくにゃいよね。


女将さんの甥っ子さんもさらわれていたとかで,

「こうしちゃいられません。早速弟の家に行ってきます。」

って飛び出していっちゃったよ。


あふ・・・眠くにゃってきたね。


 あたしとヴァイスは部屋に帰ってぐっすり眠った。たくさんの 蛇型獣人(へびさん)たちが,お風呂で歌っている夢をみにゃがら。




1時いっときはここでは2時間計算


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