27 温泉が出た 3
ーーーズィルバー
宿に帰ったら,ちょうどミャアコ達が帰ってきたところだった。
珍しく 蜥蜴型獣人も一緒だ。おや?小獣?
「ミャアコちゃん,その小獣はどこの小獣だい?」
ロートが聞いている。
「ロートさん!!!」
蜥蜴型獣人興奮しているぞ。何だ?
「この小獣はヴァイス君ですよ。」
・・・・・!!!!!・・・・・
ミャアコは珍しくにゃあにゃあ言ってこない。
「・・・あたしの虹の玉を食べさせたらこうにゃったの・・・ロート・・・服と靴を買ってあげて。」
いつものミャアコにしてはテンション低いな。
「おまえ,なんかやらかしたのか?」
「違うよ。ただ,お話しできるって言うから・・・」
興奮してロートと話していた蜥蜴型獣人が,
「そうなんですよ。虹色の玉にミャアコちゃんの魔力を溜めさせていたんですけどね。その玉をヴァイスに食べさせたら,獣人型に変身できるようになったんですよ。彼女の魔力はたいしたもんです。」
入り口に立っているのも何なので,みんなで宿屋に入る。
ここの宿屋は入り口が結構広い。入ってすぐ右に台があってそこで記帳したり,金を払ったりする。おかみさんや,旦那さん,働いている獣人が交代でここにいることが多い。
今日はおかみさんだった。
ヴァイスを見て,
「まぁまぁかわいい。見たことない小獣だね。どこから連れてきたの?
蜥蜴型獣人?」
蜥蜴型獣人はさっきのテンションのまま叫ぶように言った。
「おくさん,これはヴァイス君ですぞ!!!」
「は?」
「おかみさんびっくりしているよ。」
ミャアコがぼそぼそ言ってくるから,
「俺だってまだびっくりから抜け出せてねえし。」
と,返す。
ミャアコ・・・絶対こいつがなんかやらいかしたんだな。
・・・りゅう型はかっこいいけど,やっぱりまだ小獣だったんだ。ヴァイス。
まてよ。これで,泊まるとことかこれから先心配しなくていいじゃねえか。
でかくなりすぎたからなぁ。それに,一人で別のところに泊まらせるのもなあ。かわいそうだったからな。
おや。ミャアコどこに行くんだ?!
部屋だって?おい,部屋の中で暴れんなよ。
ちぇっ。また大人のお話かよ。
ロート一人いれば十分なんだけどな。
要するに,伝説のりゅうの子孫かもしれないから,調査させてくれってこと?
まぁ前の温泉に行ってみたらどうなんだ。
ロート、あの温泉なんて名前にしたんだっけ?
え?縞々温泉?なんか変な名前だね。
ミャアコの勉強が一通り終わったら,行ってみるって?
いいことだね。俺たちも知りたいから,なんか分かったら教えてくれ。
・・・・・・
「・・・そうですね。蜥蜴型獣人ありがとうございました。
ミャアコちゃんの魔力がおばあさんのものより大きいということが分かったので・・・これから我々も活動しやすくなります。」
あれ,意識が飛んだのかな。いつの間にか話は終わりに近くなっているらしい。
蜥蜴型獣人が
「いや。まだ全くコントロールできてないので・・・」
なんて言っている。
ミャアコ・・大丈夫か。
その後いったん部屋に荷物を置いてから夕飯にすることにした。蜥蜴型獣人も遅くなったからここで食べていくってさ。
蜥蜴型獣人をロートに任せ,二人分の荷物を持って部屋に行く。
「こらぁ!!!!!」
二人して部屋の中で大暴れしたようで,せっかくの布団がめちゃめちゃになっている。
俺に怒られながら二人で布団を直していた。ここにもう一人分布団をもらわないとな。
ミャアコが,今日は一緒に寝ようね。なんてヴァイスに言ってるぞ。ヴァイスのしっぽ,大丈夫かな。・・・おや。毛がないしっぽだ。毛がなくてもミャアコはしゃぶるんだろうか。ちょっと興味深いぞ。
二人を連れて食堂に行くと,もうロートも蜥蜴型獣人もお酒を飲んでいた。
「ズィルバーも飲むかい?」
いやいやいやいや・・・この前で懲りましたよ。
俺が断る前にミャアコが
「お酒は20歳ににゃってからだよ。」
と言ってきた。おまえの世界では20歳が大人なのかよ。ここでは15が大人だぞ。
返しながらも,俺はおとなしくホーニヒ入りの冷たいお茶の方を選んだ。
美味しそうな魚料理が並んでいる。やっぱり海の近くはいいな。
おっ
こら,ミャアコ!!がっつくな!!
ヴァイス!!食べ方が違う!!!
フォークを持て!!!
こうして夜はまったり更けていく・・・